ふしぎの人2021年01月16日 17時08分40秒

安野光雅氏が亡くなられました。
享年94歳。世間的には大往生といえるのかもしれませんが、やはり深い寂しさをぬぐえません。

その死が公になったのは今日ですが、実際に亡くなられたのは昨年12月24日のことだそうです。その前日、12月23日に、このブログで偶然氏の絵本を採り上げたのも、何かの縁でしょう。そしてその後は「月の流れ星」の話題と、「死と再生」の話題が続いたのでした。

安野氏の本を手にしたのは、私がまだ小学校に上がるか上がらないかの頃です。その幼い子供の頭が、いつのまにか霜のようになっているのですから、なんだか夢を見ているような、安野氏の不思議な作品世界に迷いこんだような気分です。

とはいえ、氏はことさら<不思議>を描こうとしたわけではなくて、この世の成り立ちを正確に描こうとすれば、それは必然的に不思議なものにならざるを得ないのだ…と思います。

世界は安野氏の巨大な絵本であり、安野氏の絵本の中には確かに世界がありました。

(出典:平塚市美術館 https://bijutsutecho.com/exhibitions/4214