ウミグモ ― 2025年12月21日 09時38分00秒
地球研究室で購入した第3の品。
その正体はラベルに明記されているように、ウミグモの一種である「ヤマトトックリウミグモ」です。
それにしても、何と奇怪な姿でしょうか。
ウミグモ類(ウミグモ綱)は、節足動物の仲間で、系統的には昆虫よりもクモに近いのですが、クモ類とも進化の過程で、遠い昔に袂を分かった全く別のグループです。とはいえ、その進化や系統関係は、まだまだ不明の点が多い謎の生物群。
ウミグモ類は、化石種も含めると複数のサブグループに分けられますが、現生種はすべて「皆脚目(Pantopoda)」に分類されます。
「皆脚目」とはよくぞ名づけたものです。クモにしろ、カニにしろ、同じく足長のザトウムシにしろ、いずれも「胴体」と称する部位ははっきりしているのに、ウミグモは本当に足ばかりの姿です。
(裏面は樹脂の表面が少しざらついていて、透明度が低いです)
上は裏面から撮影した姿ですが。こうして較べても、どちらが背でどちらが腹かよく分りません。ウィキペディアの記述を引けば、「外骨格は他の節足動物で一般に見られる明確な上下区別(背板 tergite と腹板 sternite)はない」とのことなので、これもウミグモ類の大きな特徴でしょう。
その姿はいかにも原始的であり、ヒトの姿からは遠く、だからこそ感情移入もしにくいし、不気味な印象を受けます。幽霊や妖怪とは別種の、いわばエイリアン的な不気味さですね。でも逆説的に、だからこそ興味を覚えるし、私の心を捉えたのも、その不気味さと深海ロマンがまじりあった不思議な魅力です。
この樹脂封入標本はラベルの記載がきわめて詳細で、その点も理科室趣味に強く訴えかけるものがあります。採集日は2025年1月6日、静岡県戸田(へだ)港沖の駿河湾、水深380メートルの深海域で採取された個体です。
標本を製作したのは、田崎義勝氏が設立した深海調査研究会社、田崎物産「深海倶楽部」【LINK】です。同社は営利活動とは距離を置いており、その標本をオンラインで販売することも一切なく、唯一ハンズ名古屋店の地球研究室でだけ展示販売を行っている由(地球研究室のバイヤーさんが相当頑張ったのでしょう)。
その意味で、これは非常に貴重な標本であり、同社の姿勢にも少なからずロマンを感じます。




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