ひとひらの雪2012年02月03日 21時11分41秒

雪、雪、雪。
白く、音のない世界。
昨日の朝は辺りがしんとして、その静けさに驚いて目が覚めました。


写真は、国際雪氷学会創立50周年を記念して、1986年に発行された英領南極(→ http://mononoke.asablo.jp/blog/2011/08/17/6053317)の切手。

薄く小さな画面にかっちり収まった雪の結晶が、美しく、愛らしく感じられます。

寒い時節に南極の切手とは、またえらく寒々しいですが、考えてみれば南極は今、夏。
昭和基地の気温は、この時期マイナス5度~プラス2度ぐらいだそうです。
寒いといえばやっぱり寒いですが、それでもつかの間の夏を彩る苔や地衣類が、精いっぱい鮮やかな緑を見せていることでしょう。

雪のフラスコ2012年01月10日 20時11分19秒

この前登場した雪のブルーベリー酒
飲み終わった壜をとっておこうと思い、水洗いして干しておきました。
それを今朝見たら、斜めの光を受けて、なかなかいい感じに見えました。


厚手のガラスなので、角度によって雪は奇妙にゆがんで見えます。



静かに壜の中に舞い落ちる雪。



壜にプリントされたフラットな雪片は紋様風。



この壜には「底」が2つあるので、直立も斜立も可能です。



透明な球体を満たす雪。



北海道大学に敬意を表して。水滴に曇った硝子の肌が美しい。

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上の写真は少し画像をいじってあります。
所詮は(失礼)、800円のお酒の空き瓶ですから、実物は、こんな風にクリスタルガラスのような輝きを放っているわけではありません。まあ、見方によっては美しくも見える…ということです。

雪と酌む酒2011年12月26日 22時41分20秒

きのうは初雪。
今朝目が覚めたら、窓の外はもう真っ白でした。
夕刻から雲が切れたせいか、今宵は寒気がことのほかきびしいです。

こういう晩は、温かくして早く寝るに限りますね。
就寝前に、雪へのあいさつ代わりに、雪のお酒を開けました。


北海道大学のオリジナル商品、「雪の天使たち」。
北大低温科学研究所の監修になる雪の結晶をあしらった、ころんとした形の瓶に入った、ブルーベリー酒です(梅酒もあります)。

この酒、実は2年前に買ったのを忘れていて、ふと今日の雪を見て思い出しました。
でも、買ったときには透明な美しい紫色の酒だったのに、今見たらウーロン茶のような色に変わっていて、しかも薄濁りしています。


どうやらリキュール中のブルーベリー成分が固化・析出してしまったようです。
一応、「沈殿物が生じても品質に問題ない」とタグには書かれているのですが、果たしてどんなものか。


おそるおそる口をつけたら、うん、味は大丈夫です。
これまた北海道名産の、「甜菜(てんさい)糖」を加えた甘々な酒ですが、体を温めるにはちょうどいい。

この品は、北大生協のオンラインショップで購入できます。
■ http://www.hokudai.seikyou.ne.jp/ordergoods/univ/index.html

銀輪は回るよ (付・ごあいさつ)2011年01月30日 18時09分07秒

ロビンソン風力計を別の角度から。


うん、こうして見るとなかなかカッコいいですね。
特に台座部の銀輪の並び。


風杯をクルクル回すと、ガラス越しにゆっくりと歯車が回るのが見えます。
歯車フェチの人にはたまらない光景では。

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ときに。
先週の今日、23日は「天文古玩」5周年だったんですね。
だんだん年をとると誕生日がどうでもよくなるのと同じで、知らないうちに過ぎ去っていましたが、でも5周年は1つの大きな節目には違いありません。

書き始めた頃には、5年後の自分は想像もできませんでした。
想像できなくて当り前だと思います。
人との出会い、物との出会い、この5年の間に本当にいろいろなことがありましたから。

さらに5年後にはどうなっているんでしょうね。
これまた全く想像できませんが、ぜひ驚異と味わいに満ちた歳月でありますように。
ともあれ、今後もどうぞよろしくお願いいたします。

風を読む2011年01月29日 22時32分13秒

この間の謎の器具の正体はこれ。

光学機器にあらずして、風力計用の電気盤でした。
ロビンソン式風力計(既出。http://mononoke.asablo.jp/blog/2010/12/11/5573444)と対で用いて、リモートで計測値を読みとるための装置です。
 

小さな目盛りを読み取りやすいように、ものすごく分厚いレンズが正面にかぶさっています。
 
 
裏側にはガラスの小窓があって開閉できます。中には何やら機械装置が見えます。本体右側に見えるのが電極。


下は当時の理科教材カタログの1ページですが、右下の図のように、風力計との間に直流電源をかませて使用しました。



天上大風(3)2010年12月14日 19時42分22秒

おまけとして、この本の来歴を書き付けておきます。

これはイギリスの王立気象学会の旧蔵本です。たまたま同じ本がダブったために、こちらの方が処分されたようです(司書さんが記したらしい廃棄メモが本に挿入されています)。

さらに本への書き込みを見ると、同学会は1901年にこの本を寄贈されたことが分かります。寄贈者はFrancis Druce(1873-1941)。本には、彼のサインと共に、ドゥルース家の紋章(上の写真)が貼り込まれています。

といっても、ドゥルースはあまり有名な人ではないでしょう。もちろん私も知りませんでした。ネット情報によれば、ドゥルースは英国における良質のアマチュア学者の伝統を受け継いだ人のようです。若い頃はオックスフォードで学び、家業の会社経営のかたわら、気象学と植物学に入れ込んで、植物学関連書籍の蒐集家としても知らたそうです。1910年、健康問題のために会社経営から引退した後は、その経歴を買われ、王立気象学会やリンネ協会の会計担当役員をつとめました。

まあ、こういうのは、どうでもいいと云えばどうでもいいことです。
そもそも図書館廃棄本というのは、古書市場ではマイナス評価しかされないので、こういう来歴を書きつけたからと云って「お宝自慢」には全くなりません。

しかし…しかし、ですよ。
ドゥルースが、最期はドイツ軍の空襲によって不慮の死を遂げたと知るとき(哀れなドゥルース氏!)、あるいは王立気象学会の暗い書庫を思うとき(見たことはありませんが、たぶん暗いでしょう)、人は1冊の本を手に、そこに何がしかの感興を催すのではありますまいか?

少なくとも、私はそういう「ささやかな歴史性」に心を惹かれますし、そこにこそ、単なるデータではない「モノとしての本」の良さもあるのではないか…という気がします。

■参考:http://www.nature.com/nature/journal/v147/n3736/abs/147702a0.html 他

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さて、今夜はふたご座流星群。
天気の方がちょっと…気が揉めますね。
地球の息吹がどう作用するか?

天上大風(2)2010年12月13日 20時46分20秒

巻雲の動きを観測するといっても、1箇所ではもちろん十分なデータは得られません。
そのために国際協力が求められました。科学の分野における国際協力は、まず天文学で始まり、気象学もそれに続いた形です。


↑データ提供に協力した測候所と観測責任者のリスト。
地元のスウェーデン以外に、ノルウェー、デンマーク、イギリス、オーストリア=ハンガリー、ベルギー、スペイン、フランス、ポルトガル、ロシア、スイス、トルコ、そしてドイツ領邦のバーデン(統一ドイツを構成した小国家の1つ)が参加しています。


↑この図は、当時の気象観測項目、即ち気温、気圧、風向、風力、雲量、降雪状況の時系列変化を、1枚のグラフに表現したものです。スウェーデンのウプサラ測候所における、1876年2月18日午前6時~21日午前4時にいたるまでの約3昼夜の状況。
気温と気圧が美しい対照的なカーブを描いていること、そして気圧の変化につれて風向きがぐるっと変わっていることが読み取れます。(シンプルながら力強い図ですね。)

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さて、こうした観測網を使って、ヒルデブランドソンは、ヨーロッパ上空の雲の動きを、1875年から76年にかけて、約1年半にわたって追い続けました。この本は、それを53枚(すなわち53日分)の気象図にまとめたものです。

せっかくですから、125年前の今日、1875年12月13日の図を見てみます。

曲線は等圧線。気圧の単位は水銀柱ミリメートルで、標準大気圧=760mmHGを基準として、それよりも低圧部は点線で、高圧部は実線で表現されています。

↑図中の赤い矢印が巻雲の動き。

この日は、ちょうどスウェーデンの上空を、大量の巻雲が次々に南下していきました。

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真っ白な雲の一団が流れていった125年前の空を思いつつ、さて日本はといえば…ああ、今宵は全国的に雨模様ですね。雷の所も、雪の所もある様子。幸い、地球の息吹はまだ健やかなようです。

天上大風2010年12月12日 20時12分44秒

そよとも風の吹かぬ部屋を見下ろす遥かな空の高み。
そこには大いなる大気の流れがあります。地球が生きていることの何よりの証しです。

ここに1冊の本があります。


これこそ19世紀の後半、「地球の息吹」を明らかにしようとした本です。

■H.H.ヒルデブランドソン(著)、『大気の上層運動図集』
  Hildebrandsson, Hugo Hildebrand,
  ATLAS DES MOVEMENTS SUPÉRIEURS DE L’ATMOSPHÈRE.
  Beckman, Stockholm, 1877.
  本文20p. + 図版53葉、高さ28cm..

著者のヒルデブランドソン(1838-1925)は、スウェーデンの気象学の大家で、気象観測の基礎となる『国際雲級図』(一種の雲の分類図鑑)を編纂したことで知られる雲博士です。ウプサラ大学の初代気象学教授もつとめました。

(↑1877年はウプサラ大学創立400周年に当たり、本書はそれに捧げられています。)

何故こういう渋めの本を買ったかと云えば、以前書いた記事(↓)の中にヒルデブランドソンの『雲級図』のことが出てきて、その現物をぜひ見たいと思ったからでした。結果的にそれは見つからなかったのですが、ヒルデブランドソンの著書として、この本が売りに出ていたのを見つけ、「雲博士」を身近に感じるために取り寄せてみたわけです。

■雲をつかむような話(2)
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2010/03/14/4948058

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さて、気象衛星も飛行機もない時代、高層大気の動きを、ヒルデブランドソンはどうやって調べたのでしょうか?言われてみれば「なーんだ」ですが、それは高空に特有の雲の動きを観察すれば分かるのです。

彼が注目したのは空のてっぺん、対流圏の上部に発生する巻雲(けんうん)です。いわゆる「すじ雲」。氷晶でできているため純白で、そのため絹雲(けんうん)の称もありますが、輪郭のくっきりした、いかにも爽やかな雲です。

(この項つづく)

風よ!2010年12月11日 21時01分50秒

4椀受風器付きロビンソン風力計(1960年製)。

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かつては、風を受けて勢いよく回っていた頃もあったでしょうに。
今は、風の夢を見ながら、そよとも吹かぬ部屋の中で、静かにまどろむばかりです。

雲よ!2010年12月10日 07時04分05秒

悲しい時、淋しい時、楽しい時、疲れた時、気分が高揚した時。
雲は、折に触れて湧いてくる感情を托すのに、ふさわしい相手です。

雲も、感情も、どこからともなく湧いて出るものだからでしょうか。
心をよぎるのが感情で、空をよぎるのが雲。
遥かな高みにある星々よりも、雲は我々にずっと近しい「有情の存在」という気がします。


↑は昭和13(1938)年発行の「雲形図」。
発行者は水路部です。水路部というのは、今は海上保安庁の所管ですが、昔は海軍に所属し、文字通り海図の作成や海洋測量を行うほか、海洋気象観測も掌っていたので、こうした図が作られたわけです。


そういう理由だからでしょう、各種雲の図はたいてい海の上に浮かんでいます。



ちょっとピンぼけですが、下は凡例と観測要領の解説。


ご覧のとおり、この図にはあちこち書き込みがあります。
「機上ヨリ見」た塔状雲には、「高積雲又ハ積雲カラ 幾ツカノ小サナ雲柱ガ並ンデ 聳立スルモノ 雷雨ノ前兆」と几帳面にペンで書かれています。

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昭和13年。いろいろなことがあり、そして、いろいろなことがその後に続きました。
この図の以前の持ち主は、いったいどんな思いで雲を見上げていたのでしょうか。
機械的観測ばかりでなく、時には喜怒哀楽をそこに投影することもあったんでしょうか。おそらくそうだろうと想像しますし、ぜひそうあってほしいです。