星のかさね色目(中編)2024年04月08日 05時42分31秒

さて、ギユマンの『Le Ciel』掲載の二重星を順次ながめていきます。以下、かさね色目については、長崎氏の前掲書からお借りします。またWikipedia(英語版、日本語版)に写真が掲載されている二重星は、その画像も載せておきます(アトリビュートが必要なものを除き、撮影者名は省略)。


まずは「2 ペガスス座カッパ星」です。


これはもう「桜」で決まりでしょう。


お次は「3 はくちょう座61番星」


これは「黄朽葉(きくちば)」がピッタリです。
「かさね色目」には、こんな風にあえて同色を取り合わせたものもあります。


写真に写った61番星を見ても、この色目はかなりリアルであることが分かります。


次いで青い双子星、「4 へび座デルタ星」


この鮮やかな青は、日本の伝統色にない色調で、強いて挙げると、この「朝顔」がわりと近い感じです。これも縹(はなだ)の同色のかさねです。


「5 アンドロメダ座ガンマ星」、固有名はアルマク。ここではオレンジの主星とグリーンの小二重星の「三重連星」として描かれていますが、グリーンの方は実際には三重星で、全体として「四重連星」を構成している由。


これもうまい色目が見つかりませんが、この「黄柳(きやなぎ)」なんかはどうでしょう。

(撮影:NVN271)

望遠鏡ごしに眺めると、はくちょう座のアルビレオばりの美しい多重星です。


「6 カシオペヤ座イータ星」


これは「裏山吹(うらやまぶき)」がよさそうです。
最初は下の「莟菊(つぼみぎく)」を当てたんですが、目立つ主星を表地に、差し色となる伴星を裏地に当てた方がいいいと思い直して、改めて「裏山吹」としました。


ちなみに、「かさね色目」という言葉は、装束の表地と裏地の色の配合をいう場合と、重ね着した装束が生む襟元や袖口の美麗な色彩配列をいう場合があって、引用書の著者・長崎盛輝氏は、前者を「重色目」、後者を「襲色目」と書き分けています。拙記事で採り上げているのは、もっぱら前者の意味ですが、二重星に対して「重色目」の用字はまさにぴったり。

(この項つづく。次回完結)

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