食卓の星2021年03月10日 22時02分11秒

天文モチーフの品はどこにでも登場します。


テーブルの隅に、いつの間にかこんな彗星と土星が乗ってたらどうでしょう?


クロームメッキの輝きを放つ32ミリ角のキューブ。
これが何かといえば、パッパッと塩と胡椒を振るためのソルト&ペッパー・シェイカーのセットです。言ってみればどうということのない雑器ですが、意外に時代は古くて、1930年代にさかのぼる品。


銀色の外身を外すと、中身はベークライト製らしい容れ物になっています。

(底面のロゴマーク)

メーカーのチェイス社(Chase Brass & Copper Co.)は、1876年にコネチカットで創業。1930年代に、当時の一流デザイナーを起用したクローム製家庭用品をいろいろ売り出して、当時の製品は現在コレクターズアイテムになっているのだそうです。もちろん、この小さな容器もその一部。


このスマートな造形感覚は、1930年代における「モダン」がどんなものであったかを、問わず語りに教えてくれます。真っ白いお皿に載せたハムエッグに、こういう容器から塩胡椒を振りまいて、ぱくぱく食べるという生活スタイルが「モダン」に感じられた時代―。その輝きは、ポップアップトースターのそれと同質のものであり、クロームメッキの輝きが真鍮の輝きに置き換わったとき、我々の生活は「モダン」の波に呑み込まれたのかな…という気がします。

   ★

さて、明日はいよいよ3.11。

昔の買い物から…星のフェーヴ2018年05月19日 16時43分10秒

昨夜の雨が上がり、今日は爽やかな一日になりました。
透明な光の粒が感じ取れるほど日差しは明るいのに、冷涼な風が絶えず吹いて、木々の葉擦れの音がしきりに聞こえます。

  ★

「最近の買い物から」という書き出しは、わりと筆が走りやすいです。
買った時の感興が、まだ鮮明に残っているからです。でも、そればかりだとお蔵入りのモノが堆積してしまうので、ちょっと意識して昔の品も登場させることにします。


たとえば、本棚の隅にこんなものが載っているのを見つけました。

(裏面)

2001年にフランスで売り出された、フェーヴガレット・デ・ロワのページにリンク)のセットです。

ごく他愛ない品ですけれど、フェーヴというモノの性質上、こういうのはあまり整っていては面白くなくて、昔のグリコのおまけ的な、駄菓子っぽい「雑な華麗さ」こそが身上でしょう。濃紺の空に、金色の星がやけにまぶしく光っています。


ともあれ、甘いパイ菓子の中から、こんなのがひょっこり顔を出したら、子どもならずとも嬉しいし、かりそめの王様役を演じるのでも、まさに天界の王になったような気分では。

   ★

上でリンクしたガレット・デ・ロワの解説によれば、このお菓子にまつわる慣習は、古代ローマのサトゥルヌス神のお祭りにルーツがある由。サトゥルヌス神は、すなわち英語のサターンですから、この土星のフェーヴなんかは、まさに筋目正しい神への捧げものです。


なお、このセットのうち彗星のフェーヴは、前にも登場したことがあります。

タルホの匣…第8夜、彗星と土星



-----------------------------------------------
▼閑語(ブログ内ブログ)

成立年不詳の史書、『続増鏡』 より。

 「さるほどに彼の者の驕慢いよいよまさりて、果ては其の威を借る数なき者ども、「天皇はサヨク」「天皇はハンニチ」などと雑言をおめき叫ぶに至れば、あまりのことに主上も今はとて位を皇子にゆづらせたまひ、身を世より隠させたまふ。されど彼の者の暴虐猶もやまず、世の乱るることかぎりもなければ、心ある人みなみな紅涙を流し、誠を尽くして訴へければ、主上もげにもとや思はれけむ、つひに平家追討の院宣を下させたまひぬ…」

平家ではないですが、「彼の者」は平家みたいなものです。
ただし、平家ほどの革新性はありません。
尊王の士を以て自ら任じる者ならば、まことに堪えがたい惨状だと思うのですが、今の世に尊王は流行らないみたいで、そういう声はついぞ聞こえません。

まあ、こんなふうに安易に権威にたよったり、水戸黄門的解決を期待したりする心根は、結局「彼の者」を喝采する輩と同根なので、よっぽど用心しなければなりません。
が、それにしても、今の世に高山彦九郎はおらぬもの哉。

現代の古地図(後編)2018年03月26日 22時55分53秒

かつて、夏から秋へと季節が移るころ、2隻の船が相次いで故郷の港を後にしました。
その姿は、彼らがこれから越えようとする大洋の広さにくらべれば、あまりにも小さく、かよわく、今にも波濤に呑み込まれそうに見えました。

しかし、彼らは常に勇敢に、賢くふるまいました。彼らは声を掛け合い、互いに前後しながら、長い長い船旅を続け、ついに故郷の港を出てから3年後に、それまで名前しか知られていなかった或る島へと上陸することに成功します。その島の驚くべき素顔といったら!

後の人は、彼らが残した貴重な記録をもとに、その島の不思議な地図を描き上げ、2隻の船の名前とともに、永く伝えることにしたのでした…

   ★

勇気と智慧に富んだ2隻の船。それは、ずばり「航海者」という名前を負った、惑星探査機の「ボイジャー1号、2号」です。

1号は1977年9月5日に、2号は同年8月20日に、ともにフロリダのケープカナベラルから船出しました。途中で1号が2号を追い抜き、1号は1980年11月に、2号は1981年8月に土星に到達。(したがって、正確を期せば、2号の方は3年ではなく、4年を要したことになります。)

そして、彼らは上陸こそしませんでしたが、土星のそばに浮かぶ「島」の脇を通り、その謎に包まれていた素顔を我々に教えてくれたのでした。その「島」とは、土星の第一衛星・ミマスです。

   ★


この時のデータを使って、1992年にアメリカ地質調査所(U.S. Geological Survey)が出版したミマスの地図は、確かに「現代の古地図」と呼ばれる資格十分です。


例によって狭い机の上では広げることもままなりませんが、全体はこんな感じです(紙面サイズは約67.5×74cm)。地図は、北緯57度から南緯57度までを描いた方形地図(200万分の1・メルカトル図法)と、南極を中心とした円形地図(122万3千分の1・極ステレオ図法)の組み合わせからできています。


多数のクレーターで覆われた地表面は、何となくおぼろで鮮明さを欠き、データの欠落が巨大な空白として残されています。


そんな茫洋とした風景の中に突如浮かび上がる奇地形が、他を圧する超巨大クレーター「ハーシェル」です。

   ★

ボイジャーがミマスを訪れてから四半世紀近く経った2004年。
別の新造船が土星を訪れ、10年間の長期にわたって土星観測を続けました。
それが惑星探査機「カッシーニ」です。

このとき、ミマスについても一層詳細な調査が行われ、2014年には下のように精確な地図が作られました。

(ウィキペディア「ミマス」の項より)

解像度も高く、空白もないこの新たな地図を手にした今、ボイジャーがもたらした地図は価値を失ったのか…といえば、そんなことはありません。昨日の自分は、こんなことを書きました。

「古地図を見れば、当時の人が利用できたデータの質と量が分かる仕組みで、古地図には<地理的=空間的>データと、<歴史的=時間的>データが重ね合わされていると言えます。〔…〕古地図は古版画芸術であると同時に、人類の世界認識の変遷を教えてくれる、貴重な史資料でもあります。」

ボイジャーのミマス地図についても、まったく同じことが言えます。
繰り返しになりますが、これこそ「現代の大航海時代」が生んだ、「現代の古地図」なのです。(ボイジャーの地図は紙でできている…というのが、また古地図の風格を帯びているではありませんか。)

土星堂だより2017年08月17日 21時25分45秒



鳴り物入りでスタートした土星堂活版舎ですが、ご多分に漏れず、昨今の出版不況で、経営難にあえいでいます。しかも、会社の印刷技術がちっとも向上しないせいで、かしわばやし方面からも注文がさっぱり入りません。

それでも、時には新たに印刷ブロックを買い足して、顧客のニーズに応えようと努力はしているのです。


最近も、紙面を華やかに彩る銀河の飾罫を導入しました。

(何となく星条旗っぽいのは、アメリカで使われていたせいかも。)

これさえあれば、美しい星の詞がいっそう美しくなること疑いなしです。
それなのに、なぜ?…と、活版舎のあるじは、今日も窓から首を伸ばして、お客が来るのを日がな待っているのです。

   ★


今回使用したインクは、星の詞に最適の(株)ツキネコ製 「ミッドナイト・ブルー」

この世ならざる天体写真展2017年08月10日 06時06分05秒

人気のない小学校の校庭、誰かの家のホオズキの朱い実…そんなものに、そこはかとない詩情を感じる時期です。立秋も過ぎ、昨日は青い空に赤とんぼが一匹飛んでいるのを見ました。

   ★

さて、前回、前々回の続きです。
遠い宇宙を極微の世界に眺める、不思議な天体写真展。


手元にあるのは、以前5枚セットで売っていたものです。


画題となっているのは、以前もご紹介した「満月」と「アンドロメダ銀河」のほか、「半月」、「モアハウス彗星」、そして「土星」という顔ぶれ。

月、彗星、土星、銀河…と来れば、ポピュラーな宇宙イメージは尽くされており、写真展の開催に不足はありません。でも、ラベルに振られたナンバーを見ると、1番のアンドロメダ銀河から、12番のモアハウス彗星まで、番号が飛び飛びです。ですから、本来はもっと充実したセットで(12番以降もあったかもしれません)、私が持っているのは、その一部に過ぎないのでしょう。

   ★


オリジナルは1910年に、シカゴ近郊のヤーキス天文台で撮影された写真。
ごつごつした、良い面構えの月ですね。硬派な感じです。

それにしても、この小さな感光面に、顕微鏡でようやく見えるぐらいのクレーターまで鮮明に写し込むとは、写真術とは大したものだなあ…と改めて驚きます。

なお、この写真は、マイクロフォトグラフの創始者、J.B.ダンサーが1896年に店を閉じた後に撮影されたものですから、マイクロフォトグラフ化したのも、ダンサー以降の人ということになります。

   ★


1908年に接近したモアハウス彗星。

この彗星は、世界中で競って写真に収められましたが、このマイクロフォトグラフの原版は、月と同じくヤーキス天文台で撮影されたものです。
その姿は身をくねらせる竜を思わせ、今にも「シュー」という飛翔音が聞こえてきそうです(上下反対にすると、花火っぽい感じもします)。

   ★


むむ、これは…?

これも現実の写真を元にした画像だと思うのですが、露骨に補筆したせいで、まったくマンガチックな表情の土星になっています。

なんだか不真面目な気すらしますが、でも、足穂先生に言わせれば、「本当の星なんてありゃしない、あの天は実は黒いボール紙で、そこに月や星形のブリキが貼りつけてあるだけだ」そうですから、むしろこの方が真を写しているのかもしれません。

   ★

首をひねりつつ接眼レンズを覗き、
レンズから目を離して、ふたたび首をひねり、
スライドグラスに載った粒状のフィルムを見て、みたび首をひねる。

―夏の夜の夢、不思議な写真展にようこそ。

真夜中色2016年10月11日 06時48分47秒

そういえば、この土星の青い缶も、最初まちださんのところで見たのではなかったか…

(背景は雑誌『Flâneur』 裏表紙)

カーター社のタイプライター用インクリボン。
ブランド名は『ミッドナイト』。


この缶は数が残っているので、わりとよく見かけますが、中のリボンも完品なのは比較的珍しいと思います(リボンは所詮消耗品なので)。

気になる「真夜中色」はどんな色かというと…


この藍染のような色が、深夜の空を染め抜く色なのです。


真夜中に、真夜中色の文字が綴る、真夜中の物語。
まあ実際には、散文的なビジネスレターなんかに使われることが多かったでしょうが、遊歩者流に想像すると、そこにいろいろなドラマが浮かびます。

土星キャラ立ち史(その9)2016年08月28日 08時05分44秒

木星に着くと、すぐに無人コントロールの戦車が、ビルたちを襲ってきます。


しかし、朝鮮戦争で鍛えた歴戦の戦士は、光線銃で機敏に塹壕を掘り、これを撃破。


さらに隙をついてアラゴア・ヴォンのいるドーム内に侵入するビル。


アラゴア・ヴォンも銃で必死に応戦し、時間だけが空しく経過します。
焦りの色を隠せないビル。顔を伝って汗が盛んに流れ落ちます。

「たとえアラゴア・ヴォンを倒しても、みんなで地球に帰る私の計画が失敗したら、このまま木星に島流しだぞ…!」


しかし、アラゴア・ヴォンと銃撃戦を演じながら、ビルは冷静に「ある場所」を探り当てます。

「私が銃を撃ってる間、奴は用心してこのキャビネットの前に立とうとしなかった。奴がわざとそうしなかったということは、この中に私の探しているものが隠してあるに違いない!」

ビルが探していたもの、それは「地球の頭」でした。
土星のカンデア・オールが、やすやすと地球に行けたのは、彼が「地球の頭」を被ったからに違いない…そしてカンデア・オールがそうしたなら、木星のアラゴア・ヴォンも同じことをしたはずだ…と、ビルは推理したのでした(嗚呼、何という名推理でしょう)。


地球の頭が手に入れば、あとはこちらのものです。
ビルは仲間とともに、「地球の頭」の力で、あっという間に地球に戻ることができました。そして、生命維持装置を着けないまま地球に飛ばされたアラゴア・ヴォンは、たちまち絶命し、灰の山となりました。

これこそがビルの作戦であり、ソ連の兵士にモールス信号で伝えた内容です。

   ★

ソ連の兵士も、我々のようにうまくやりおおせただろうか?…と気を揉むまでもなく、その答はすぐにラジオから聞こえてきました。


「アメリカの同胞の計画のおかげで、我々も土星のカンデア・オールを倒すことができました。我々両国、さらに世界の他の国々は、この地球や、木星・土星の上で、共に平和に暮らせることが証明されました。」

それを聞いて、ビルは深く頷きます。

「そのとおり!土星や木星では素晴らしい発明品の数々が我々を待ち受けている。それはみんなのものだ。宇宙時代にはもはや敵国なんて存在しない。あるのはただ平和を愛する地球人だけだ!」

   ★

まずはめでたし、めでたし。
いささかオメデタすぎる気がしなくもないですが、この楽天性こそが、平均的アメリカ人の有する(あるいは有した)資質なのでしょう。

冷戦期の極度の緊張状態の中、人類の宇宙進出によって、「地球人意識」が芽生え、国家間の戦争も終結するに違いない…というかすかな願望が、ある程度(少なくともコミック誌の中で真顔で語られるぐらいには)一般化していたらしいのも、興味深く思いました。

   ★

今、南の空では、土星が火星やアンタレスと明るく競演しています。

いつかあそこから「土星の頭」が届き、それをきっかけに地球に平和が訪れることはないにしろ、みんなが星空を見上げ、頭の中が少しずつ宇宙色に染まれば、少しは平和の訪れも近づくだろう…という程度の楽天性は、あって然るべきではないでしょうか。(各種の国際会議も、ときには満天の星をふり仰いでやってほしいです。)

土星キャラ立ち史(その8)2016年08月27日 09時21分08秒

(昨日のつづき)

そのとき、恐怖に打ち震えるビル・スメイザーの身に、第2の異変が生じます。
服をはためかせる強い風。熱さと冷たさが交互に襲ってくる感じ。まるで風に舞う埃になったような気分です。


気が付くと、目の前に1人の異星人がいました。
消えたと思った友人たちもいます。
異星人はビルの「土星の頭」を脱がせながら、語りかけました。

「ようこそ、土星へ!私の名はカンデア・オール。私が君たちをここへ呼んだのだ。私を助け、この歴史上もっとも長きにわたる戦争を戦ってもらいたい。」

あの土星の頭は、カンデア・オールと名乗る土星人が送り込んだもので、それを被った者と、その光線を浴びた者たちを、土星に瞬間移動させる力があったのでした。
(何だか読んでいる方も「風に舞う埃」になった気分ですが、ここは理屈で考えることはやめて、さらにストーリーを追います。)


カンデア・オールの話によると、土星にはかつて多くの民が住んでいましたが、木星との激しい戦争によって荒廃し、今やカンデア・オールが唯一の生き残りとして、依然木星との戦争を続けているのだそうです。そして、木星もまた同じ運命をたどり、今や木星の唯一の生き残りが、アラゴア・ヴォン

彼らは元は同一の種族だったらしく、外見もそっくりで、さらには互いの心を読むこともできます。そのため戦いは膠着状態にあり、決着が着きません。


そこでカンデア・オールが思いついた秘策が、地球人に木星を攻撃させることでした。さすがのアラゴア・ヴォンも、地球人の心までは読めないので、その攻撃を防げないだろうというわけです。

しかし、カンデア・オールの計画は、ただちに木星側に知れるところとなり、アラゴア・ヴォンも対抗策を打ってきます。(そして対抗策を打ったことは、カンデア・オールにも伝わります。うーむ、何とややこしい話でしょうか。)

土星がアメリカの勇士をリクルートしたなら、木星はソ連で対抗です。

(ついに木星の頭も登場)

「あ、イワンの上に木星の頭が!いったい、あれはどこから来たんだ?」

   ★

木星を制圧した後は、地球侵略をほのめかすカンデア・オールですが、既に彼によってマインド・コントロールされたビルたちは、カンデア・オールに逆らえず、宇宙船で木星に向かうはめになります。


その途中、ソ連の兵士が乗った木星の宇宙船とすれ違います。
もちろん、彼らはアラゴア・ヴォンの命を受けて、土星のカンデア・オール攻撃に向う途中です。

「地球上では、彼らは我々の敵だったかもしれない。だが、ここでは異星人に立ち向かう同じ地球人だ!」 「よし、いい考えがある!」

ビルは通信システムを使って、彼が思いついた「ある計画」を、ソ連の兵士にモールス信号で伝えます。


(あまり引っ張るような話でもありませんが、冷戦を背景にした、この奇怪なストーリーを追って、さらにこの項つづく。次回、大団円)

土星キャラ立ち史(その7)2016年08月26日 06時13分41秒

「サターンマン」のルーツは依然さっぱりです。
でも、まさにその名にふさわしいのが下の人物。


 “The MAN with the HEAD of SATURN!”「土星の頭を持つ男!」

…という文字の脇で、土星頭の男がビビビビ!と怪光線を発し、人々が逃げまどっています。見るからにわけが分かりませんが、これは『ストレンジ・アドベンチャーズ』というアメコミ誌の1963年9月号の表紙です。

9月号は、この「土星の頭を持つ男」と「原子の騎士(Atomic Knights)」というコミックの2本立てですが、とにもかくにも「土星の頭を持つ男」の内容を見てみます。

   ★


謎の宇宙船と戦う男たちのタイトルページ。

その脇に、私の名前はビル・スメイザーズ。カルダー・カレッジの天文学教授だ。だが10年前、私は朝鮮戦争で中国共産党と戦う中尉だった…」という主人公の独白が書かれています。このビル・スメイザー教授が、本作の主人公。


かつての戦友たちと懐かしい再会を果たし、自分の勤務する大学を案内するビル。
しかし、そのとき彼の身体に突如異変が生じます。

「あ、いったいどうしたんだ?目が、目が見えない!」
「ビル、君の頭の回りに変な光が!」

「なんてこった!土星の形になったぞ!」
「ビル、早くそれを取れ!」

…と騒然となったところで、表紙絵のコマになります。


必死に土星のかぶりものを取ろうとするビル。
しかし、土星の頭は怪光線を発射し、それを浴びた友人たちは次々に消滅してしまいます。ビルはその気配を察して、さらに焦ります。

「いけない、この土星の頭を脱がないと、私は地球上の人々を全て破滅させてしまうかもしれない!」

ビルは…そして人々の運命は…?!

(この項、緊迫してつづく)

土星キャラ立ち史(その6)2016年08月24日 20時56分37秒

土星は、その輪っかのせいで擬人化されやすく、これまでいろいろな“サターンマン”が本や絵画や映像に登場してきました。その姿の変遷をたどりつつ、できればそのルーツも探りたい…という願望から、「土星キャラ立ち史」というのを、これまで都合5回書いてきました。

それは左のカテゴリー欄の「土星」を見ていただければ良いのですが、手っ取り早く、下にリンクを張っておきます。


その最後(直上リンク先ページ)に登場した、「憎らしい土星」の現物を、その後手にしたことはまだ書いていませんでした。


1890年頃のシガーボックスラベル(ラベル全体のサイズは12×18.5cm)。


うーむ、何と憎々しい土星でしょう。


以前の記事で書いたように、リトグラフの版元はフィラデルフィアの George Harris & Sons社です。

   ★

…というのは、あまり意味のない前振りで、最近これに負けず劣らずキャラが立った土星を見かけたので、そのことを書こういうのが本題です。

(この項つづく)