土星の盾 ― 2011年08月29日 20時09分34秒
回る!惑星儀 ― 2010年11月14日 15時13分42秒
磁石の力で空中を浮揚する地球儀でおなじみのステラノバ社。
その製品は、このブログにも以前登場しました(http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/11/25/4720913)。
その製品は、このブログにも以前登場しました(http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/11/25/4720913)。
最近、同社から同じコンセプトで、惑星儀シリーズというのが出ているのを知りました。
(以下の画像は↓のページから勝手拝借しました。製品仕様についてもこちらを参照してください。http://www.ultimateglobes.com/Stellanova-Globes-s/237.htm)

探査機ジュノーに乗り込む(?)ガリレオの骨よりも一足先に、木星遊覧としゃれこむか!…とも思ったのですが、このシリーズは日本にはまだ入ってきていない模様。
まあ、探せば日本に発送してくれる業者も見つかるでしょうけれど、ただ、惑星探査機を模した架台パーツが、個人的に今一つ垢抜けない感じがして、注文に踏み切れずにいます。できれば惑星だけが静かに浮んでいて欲しかった。

この土星もなかなかカワイイんですが、うーん、ちょっとデフォルメがきついかな…
というわけで、この惑星儀はもうちょっと様子見です。
もし一足先に購入される(された)方がいらっしゃれば、どんな塩梅かご教示いただければ幸いです。
【付記】 電源の問題もありますが、アメリカ向け仕様だったら、たぶんそのまま動作するのではないかと踏んでいます。
タルホの匣…第8夜、彗星と土星 ― 2010年04月10日 21時06分06秒
ちょっとタバコ関連の品が多すぎる気がしなくもないですが、自分がタバコをやらない申し訳に、もうひと品<シガレットカード>も入れました。
右は、イギリスのタバコ会社 John Player & Sons が、1916年に発行した土星のシガレットカード。左は、2001年に Les Astres (天体)シリーズの1つとして作られた、彗星のフェーヴです(※)。
後者のサイズは、わずか1.2センチ四方ですから、これまた小さな小さな宇宙の光景。
その小さな青い空を金色の彗星がシューと翔び、土星は思わせぶりに環を見せたり隠したりしています。
(※)フェーヴ(feve)は陶製の豆細工で、ガレット・デ・ロワという季節菓子に入れて楽しむ、フランスでは伝統的なものらしいです。(日本にも似たようなものがありますね。金沢の縁起菓子「福徳(ふっとく)」に入っている、小さな土人形とか。)
ただ、今はどうなんでしょう。お菓子とは切り離されたところで、コレクター向けの市場が形成され、日本の食玩と同じような性格に変質しているようにも見受けられます。
★
「土星ってハイカラだね」
「すてきだよ」
「ほうきぼしもいいな」
「ほうきぼしもいい」
「きみ見たかい?」
「見た―きみは?」
「だいぶ前だ。夜中すぎに、北寄りの東のそらの果てにぼーっと幽霊みたいに浮き出したかと思うと、また見ているうちに薄らいでしまったので少うし怖かったよ」
オットーは、彼が以前にいた外国の街で、夜明け近くの冷えた露台でパジャマ姿で天際をうかがったことを想わせる様子をして、附け足しました。
「ハリー彗星だろう―あんなものが宙をはしっているのはへんちきりんだ」
(稲垣足穂「天体嗜好症」…引用は新潮社版『稲垣足穂作品集』より)
★
天体嗜好症(Uranoia)― タルホの造語です。
その名を冠した上掲作は実に不思議な味わいの作品。
気の合う友人、「私」とオットーは、「奇妙な永遠癖」あるいは「宇宙的郷愁」を主症状とするこの病に罹患し、「ハーヴァード氏の月世界旅行」なる卓上キネオラマづくりに熱中したり、紙製の天体を作って部屋中にぶら下げたり、天文学者のお爺さんを描いたお菓子屋のポスターにうっとりしたりします。
ある晩、オットーの提案で、ふたりはE氏の私設天文台を訪ねることに決めます。森閑と人影のない街。少年たちは、“Starry Night”という不思議なハッカ煙草を吸いながら、青いガス燈がどこまでも続く道を歩き、古めかしい洋館の並ぶ区画をひっそりと過ぎ、これが現実なのか、映画の一場面なのか判然としなくなった頃―。
「そら!」とオットーが指差した先には、銀梨地の星空の下に「オットーの服の色と同じ緑色の灯影が洩れた円屋根の影とが透かされました」。
…話はここで突然終っています。
「空虚で音のない感じ」や「奇妙な切断感」がいつまでも心に残る作品です。
右は、イギリスのタバコ会社 John Player & Sons が、1916年に発行した土星のシガレットカード。左は、2001年に Les Astres (天体)シリーズの1つとして作られた、彗星のフェーヴです(※)。
後者のサイズは、わずか1.2センチ四方ですから、これまた小さな小さな宇宙の光景。
その小さな青い空を金色の彗星がシューと翔び、土星は思わせぶりに環を見せたり隠したりしています。
(※)フェーヴ(feve)は陶製の豆細工で、ガレット・デ・ロワという季節菓子に入れて楽しむ、フランスでは伝統的なものらしいです。(日本にも似たようなものがありますね。金沢の縁起菓子「福徳(ふっとく)」に入っている、小さな土人形とか。)
ただ、今はどうなんでしょう。お菓子とは切り離されたところで、コレクター向けの市場が形成され、日本の食玩と同じような性格に変質しているようにも見受けられます。
★
「土星ってハイカラだね」
「すてきだよ」
「ほうきぼしもいいな」
「ほうきぼしもいい」
「きみ見たかい?」
「見た―きみは?」
「だいぶ前だ。夜中すぎに、北寄りの東のそらの果てにぼーっと幽霊みたいに浮き出したかと思うと、また見ているうちに薄らいでしまったので少うし怖かったよ」
オットーは、彼が以前にいた外国の街で、夜明け近くの冷えた露台でパジャマ姿で天際をうかがったことを想わせる様子をして、附け足しました。
「ハリー彗星だろう―あんなものが宙をはしっているのはへんちきりんだ」
(稲垣足穂「天体嗜好症」…引用は新潮社版『稲垣足穂作品集』より)
★
天体嗜好症(Uranoia)― タルホの造語です。
その名を冠した上掲作は実に不思議な味わいの作品。
気の合う友人、「私」とオットーは、「奇妙な永遠癖」あるいは「宇宙的郷愁」を主症状とするこの病に罹患し、「ハーヴァード氏の月世界旅行」なる卓上キネオラマづくりに熱中したり、紙製の天体を作って部屋中にぶら下げたり、天文学者のお爺さんを描いたお菓子屋のポスターにうっとりしたりします。
ある晩、オットーの提案で、ふたりはE氏の私設天文台を訪ねることに決めます。森閑と人影のない街。少年たちは、“Starry Night”という不思議なハッカ煙草を吸いながら、青いガス燈がどこまでも続く道を歩き、古めかしい洋館の並ぶ区画をひっそりと過ぎ、これが現実なのか、映画の一場面なのか判然としなくなった頃―。
「そら!」とオットーが指差した先には、銀梨地の星空の下に「オットーの服の色と同じ緑色の灯影が洩れた円屋根の影とが透かされました」。
…話はここで突然終っています。
「空虚で音のない感じ」や「奇妙な切断感」がいつまでも心に残る作品です。
The Crystallized Saturn…接写2 ― 2009年10月04日 17時43分51秒
The Crystallized Saturn…接写 ― 2009年10月04日 17時32分41秒
例の土星を下(=南側)から見上げたところ。
環と本体の位置関係が分かりにくいのですが、土星の環は、写真の上の方で本体の手前に来ています。そしてその奥に、北極側にある目玉模様が、半透明の土星本体を透かしてうっすらと見えています。
こうして見ると、カッシーニやエンケの間隙ばかりでなく、レコードの溝にたとえられる多重リング構造がリアルに表現されているのがよく分かります。
製品に同封されていたパンフによれば、この模型は厳密な科学データに基づいて作られており、本体表面の雲のパターンは、探査機ボイジャーとハッブル宇宙望遠鏡のデータを元に、また環の構造は、探査機カッシーニのデータを元にしているそうです。
何でも、よーく目を凝らして見ると、環の最外周(F環)のそばを回る「羊飼い衛星」プロメテウスとパンドラまで表現されているらしいのですが、残念ながら、私にはまだ見つけられません。何とも凝ってるというか、作り手のこだわりを感じさせる話です。
ちなみにレーザーが刻む個々の点の大きさは、約50ミクロンしかないそうですが、それでも実際の大きさは、250キロメートルに相当するとのこと。さすがに土星は大きいですね。
■商品情報■
この素敵な品は、イギリスの Crystal Nebulae(http://crystalnebulae.co.uk/)というメーカーが作りました。上記サイトからもオンラインで購入可能ですが、決済にはPaypalアカウントが必要となります。
環と本体の位置関係が分かりにくいのですが、土星の環は、写真の上の方で本体の手前に来ています。そしてその奥に、北極側にある目玉模様が、半透明の土星本体を透かしてうっすらと見えています。
こうして見ると、カッシーニやエンケの間隙ばかりでなく、レコードの溝にたとえられる多重リング構造がリアルに表現されているのがよく分かります。
製品に同封されていたパンフによれば、この模型は厳密な科学データに基づいて作られており、本体表面の雲のパターンは、探査機ボイジャーとハッブル宇宙望遠鏡のデータを元に、また環の構造は、探査機カッシーニのデータを元にしているそうです。
何でも、よーく目を凝らして見ると、環の最外周(F環)のそばを回る「羊飼い衛星」プロメテウスとパンドラまで表現されているらしいのですが、残念ながら、私にはまだ見つけられません。何とも凝ってるというか、作り手のこだわりを感じさせる話です。
ちなみにレーザーが刻む個々の点の大きさは、約50ミクロンしかないそうですが、それでも実際の大きさは、250キロメートルに相当するとのこと。さすがに土星は大きいですね。
■商品情報■
この素敵な品は、イギリスの Crystal Nebulae(http://crystalnebulae.co.uk/)というメーカーが作りました。上記サイトからもオンラインで購入可能ですが、決済にはPaypalアカウントが必要となります。
みんな土星が大好き…The Crystallized Saturn ― 2009年10月01日 23時00分59秒
江戸の想像力(2) ― 2008年07月19日 15時02分15秒
さて、昨日の絵の正体は…
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ni05/ni05_02338/ni05_02338_p0011.jpg
なんと土星人の親子でした!
タイトルは「土星界に入りて輪環小星を観る図」
ドセイジンノ オヤコガ オウチノ ヨコデ ナカヨク ワッカト イツツノ オツキサマヲ ナガメテヰル トコロデス。トテモ ホホエマシイ デスネ。
ひいいい………!!
★
正気に戻って話を続けますが、この本は、片山松斎(円然)著の『地転窮理論』といいます。序文は文政10(1827)年、刊本ではなく写本です。
序文によると、この書は司馬江漢の『和蘭天説』(1795)や『刻白爾天文図解』(1808、「刻白爾コッペル」はコペルニクスのこと)の評判を受けて、それをさらに一般向けに書き改めたもの、とあります。
「予、本より蘭字に疎し。定めて訛謬多かるべし」と凡例にありますが、松斎は原書に当たることなく、利用可能な和訳・漢訳の書だけをたよりに、最新の天文知識を説くという、いささか無理な仕事をしたので、そこに江戸のイマジネーションが闊達に働く余地があったと言えます。
土星から見上げた光景の想像図というのは、たぶん当時の西洋書にオリジナルがあったと思いますが、それが文字を通じて日本の町人学者を刺激し、その脳髄で濾過された結果、このような傑作が生まれたのでしょう。
ただし、本文を見ると、「土星界も我が地界と同じく、山嶽河海有りて大地たること必然たり。されども彼の地界は日輪を離るることいよいよ極遠なるが故に、太陽の火気微力にして常寒の気候にて、人畜草木類は生ずべからずと云へり」とあって、松斎もさすがにこれが実景とは思っていなかったようです(原文の表記を一部改めました。以下同じ)。ちょっと残念。
だが、しかし。江戸の想像力はまだまだ燃え盛ります。以下は月の描写。
「月輪も一箇の小土塊にして、即ち地球なり。山川河海人類禽獣魚鼈歴然たること、あたかも我が大地に異なることなしと知るべし。月輪は我が天に至て近きが故に、望遠鏡を以てこれを見るに月中鮮やかにして、暗黒なるは山岳大地、銀色なる所は河海なり。一凸一凹に至るまで掌中の物を見るが如し。故に西洋には月中の人の尺を測る器あり。」
松斎は、こうして月をはじめ金星や火星には「動植物はもとより人間もいる!」と言い切るのです。
そして、出るべくして出た図。
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ni05/ni05_02338/ni05_02338_p0005.jpg
月の住人が我が地球を見上げて、じっと物思いにふけっています。
彼もなぜか―あるいは「やっぱり」と言うべきか―松の木の下に庵を結んで、風流を決め込んでいるのです。
異星人の存在を平然と語り、それにこうした図像表現を与えた江戸人に、完全に脱帽です。
■本の全体はこちらから(早稲田大学古典籍総合データベースより)
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ni05/ni05_02338/index.html
(S.Uさま、本当にありがとうございました。)
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ni05/ni05_02338/ni05_02338_p0011.jpg
なんと土星人の親子でした!
タイトルは「土星界に入りて輪環小星を観る図」
ドセイジンノ オヤコガ オウチノ ヨコデ ナカヨク ワッカト イツツノ オツキサマヲ ナガメテヰル トコロデス。トテモ ホホエマシイ デスネ。
ひいいい………!!
★
正気に戻って話を続けますが、この本は、片山松斎(円然)著の『地転窮理論』といいます。序文は文政10(1827)年、刊本ではなく写本です。
序文によると、この書は司馬江漢の『和蘭天説』(1795)や『刻白爾天文図解』(1808、「刻白爾コッペル」はコペルニクスのこと)の評判を受けて、それをさらに一般向けに書き改めたもの、とあります。
「予、本より蘭字に疎し。定めて訛謬多かるべし」と凡例にありますが、松斎は原書に当たることなく、利用可能な和訳・漢訳の書だけをたよりに、最新の天文知識を説くという、いささか無理な仕事をしたので、そこに江戸のイマジネーションが闊達に働く余地があったと言えます。
土星から見上げた光景の想像図というのは、たぶん当時の西洋書にオリジナルがあったと思いますが、それが文字を通じて日本の町人学者を刺激し、その脳髄で濾過された結果、このような傑作が生まれたのでしょう。
ただし、本文を見ると、「土星界も我が地界と同じく、山嶽河海有りて大地たること必然たり。されども彼の地界は日輪を離るることいよいよ極遠なるが故に、太陽の火気微力にして常寒の気候にて、人畜草木類は生ずべからずと云へり」とあって、松斎もさすがにこれが実景とは思っていなかったようです(原文の表記を一部改めました。以下同じ)。ちょっと残念。
だが、しかし。江戸の想像力はまだまだ燃え盛ります。以下は月の描写。
「月輪も一箇の小土塊にして、即ち地球なり。山川河海人類禽獣魚鼈歴然たること、あたかも我が大地に異なることなしと知るべし。月輪は我が天に至て近きが故に、望遠鏡を以てこれを見るに月中鮮やかにして、暗黒なるは山岳大地、銀色なる所は河海なり。一凸一凹に至るまで掌中の物を見るが如し。故に西洋には月中の人の尺を測る器あり。」
松斎は、こうして月をはじめ金星や火星には「動植物はもとより人間もいる!」と言い切るのです。
そして、出るべくして出た図。
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ni05/ni05_02338/ni05_02338_p0005.jpg
月の住人が我が地球を見上げて、じっと物思いにふけっています。
彼もなぜか―あるいは「やっぱり」と言うべきか―松の木の下に庵を結んで、風流を決め込んでいるのです。
異星人の存在を平然と語り、それにこうした図像表現を与えた江戸人に、完全に脱帽です。
■本の全体はこちらから(早稲田大学古典籍総合データベースより)
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ni05/ni05_02338/index.html
(S.Uさま、本当にありがとうございました。)
神霊降臨天文台 ― 2008年01月26日 13時50分33秒
(出口王仁三郎とクシー君)
今日はハーシェル協会の仕事に専念するはずでしたが、これは書かずにはおられない。
‡ ‡
ポップでレトロ―。稲垣足穂に強い影響を受け、名作「クシー君」シリーズで一部に熱狂的なファンを生んだ、マンガ家・イラストレーターの鴨沢祐仁氏が、今月亡くなりました。
晩年は(あまりにも早すぎた晩年ですが)、長期の鬱病に苦しまれ、創作活動も思うにまかせず、経済的にも非常に困窮されたということで、ある意味では生き様そのものが劇的色調を帯びた方といえるのではないでしょうか。
‡ ‡
さて、鴨沢氏が遺された文章(公式サイト http://www.kamosawa.com/ )を見ていて、妙な記述を見つけました。
氏の天文嗜好をはぐくんだのは、郷里・岩手にあった奇妙な天文台だというのです。
★自作解題 鴨葱堂のカモフラージュ・ノートー2−
『キチンポット氏の土星旅行』●「ガロ」1976年五月号
(http://diary.jp.aol.com/3t2fvrp/10.html)
〔…〕オートバイで土星にジャンプする話はタルホからの剽窃だが、土星に関しては特別な思いでがある。
町外れの高台にあった幼稚園の隣に奇妙な天文台が建っていた。それは、平等院鳳凰堂のような純和風寝殿造の堂々としたシンメトリー構成の正面左端に銀色に光るドームを載せたコンクリート三階建て純白の塔がドッキングした実にエキセントリックな建物だった。小学生になって天文に興味を持ち何度かそこを見学した。そして、当時東北最大と自慢していた65cm屈折赤道儀で覗かせてもらったのが土星だった。
それは想像していた。太陽、木星に次ぐ大きさを誇るカッコイイ土星とは大違いで、驚くほどの小ささだった。しかし確かにミニチュアのリングも付いていて、ぼーっと儚げに光るチャーミングな姿はまるで模型だった。後に土星が自分の星座・山羊座の守護星であることも知り、ぼくはすっかり土星ファンになったのだ。この天文台での体験は、他のマンガや様々な創作シーンでのヒントにもなっている。〔…〕
‡ ‡
65センチ屈折とはまた途方もないサイズです。ひょっとして鴨沢氏の記憶違いかもしれませんが、それにしても純和風の屋根と大ドーム、これはいったい…??
鴨沢氏によれば、この天文台は後に以下のような運命をたどったとのこと。
「我が郷里北上に在ったアナナイ教の天文台は、昭和30年頃「天文普及」と言う理由で市から土地等助成を受け活動をしたが、段々に「天文活動」ではなく、人を集めては「宗教活動」が主体になり、活動理由が違うという事で市から立ち退きを迫られ、3千万程出し撤去させられたそうである。」
(http://blog.goo.ne.jp/kamonegi_001/e/98e845b06ced191b7b4a409eb016a77a)
‡ ‡
アナナイ教。「三五教」と書いて「アナナイ教」と読みます。
明治に創始され、異能の宗教者・出口王仁三郎の活動で知られる「大本教」の分派。創設は戦後間もない昭和24年で、開祖は中野与之助(1887-1974)という人物です。
★宗教教団情報データベース http://www.rirc.or.jp/data/output.cgi?id=99022601
三五教は、宗教活動の一環として、各地に天文台を建設していきます。鴨沢氏が胸を躍らせた、奇怪な天文台もまさにその一つでした。
その三五教に協力したのが、誰あろう偉大なる天文学者にして啓発家であった山本一清氏(東亜天文学会創設者)であり、氏が一時京大の花山天文台に据え付けた「46センチ・カルヴァー鏡」は、その後、沼津の教団施設に移され、そこで使用されました。ここは現在の月光天文台(http://www.gekkou.or.jp/)の前身にあたります。
この辺の事情、そしてカルヴァー鏡の行方については、以下に記述があります。
★坂井義人氏・「小川天文台の話(3)」
http://www.bekkoame.ne.jp/~masa-ki/ogawa_tenmondai/histry/history_03.html
‡ ‡
あえてコメントはしませんが、何とも摩訶不思議な精神の水脈が、日本の天文シーンをひそかに彩っていたことは確かです。
この話、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、宗教が絡んでいるということで、あまりあからさまに語られることがなかったように思います。私は今日初めて知りました。ちょっと頭がボーっとしています。
今日はハーシェル協会の仕事に専念するはずでしたが、これは書かずにはおられない。
‡ ‡
ポップでレトロ―。稲垣足穂に強い影響を受け、名作「クシー君」シリーズで一部に熱狂的なファンを生んだ、マンガ家・イラストレーターの鴨沢祐仁氏が、今月亡くなりました。
晩年は(あまりにも早すぎた晩年ですが)、長期の鬱病に苦しまれ、創作活動も思うにまかせず、経済的にも非常に困窮されたということで、ある意味では生き様そのものが劇的色調を帯びた方といえるのではないでしょうか。
‡ ‡
さて、鴨沢氏が遺された文章(公式サイト http://www.kamosawa.com/ )を見ていて、妙な記述を見つけました。
氏の天文嗜好をはぐくんだのは、郷里・岩手にあった奇妙な天文台だというのです。
★自作解題 鴨葱堂のカモフラージュ・ノートー2−
『キチンポット氏の土星旅行』●「ガロ」1976年五月号
(http://diary.jp.aol.com/3t2fvrp/10.html)
〔…〕オートバイで土星にジャンプする話はタルホからの剽窃だが、土星に関しては特別な思いでがある。
町外れの高台にあった幼稚園の隣に奇妙な天文台が建っていた。それは、平等院鳳凰堂のような純和風寝殿造の堂々としたシンメトリー構成の正面左端に銀色に光るドームを載せたコンクリート三階建て純白の塔がドッキングした実にエキセントリックな建物だった。小学生になって天文に興味を持ち何度かそこを見学した。そして、当時東北最大と自慢していた65cm屈折赤道儀で覗かせてもらったのが土星だった。
それは想像していた。太陽、木星に次ぐ大きさを誇るカッコイイ土星とは大違いで、驚くほどの小ささだった。しかし確かにミニチュアのリングも付いていて、ぼーっと儚げに光るチャーミングな姿はまるで模型だった。後に土星が自分の星座・山羊座の守護星であることも知り、ぼくはすっかり土星ファンになったのだ。この天文台での体験は、他のマンガや様々な創作シーンでのヒントにもなっている。〔…〕
‡ ‡
65センチ屈折とはまた途方もないサイズです。ひょっとして鴨沢氏の記憶違いかもしれませんが、それにしても純和風の屋根と大ドーム、これはいったい…??
鴨沢氏によれば、この天文台は後に以下のような運命をたどったとのこと。
「我が郷里北上に在ったアナナイ教の天文台は、昭和30年頃「天文普及」と言う理由で市から土地等助成を受け活動をしたが、段々に「天文活動」ではなく、人を集めては「宗教活動」が主体になり、活動理由が違うという事で市から立ち退きを迫られ、3千万程出し撤去させられたそうである。」
(http://blog.goo.ne.jp/kamonegi_001/e/98e845b06ced191b7b4a409eb016a77a)
‡ ‡
アナナイ教。「三五教」と書いて「アナナイ教」と読みます。
明治に創始され、異能の宗教者・出口王仁三郎の活動で知られる「大本教」の分派。創設は戦後間もない昭和24年で、開祖は中野与之助(1887-1974)という人物です。
★宗教教団情報データベース http://www.rirc.or.jp/data/output.cgi?id=99022601
三五教は、宗教活動の一環として、各地に天文台を建設していきます。鴨沢氏が胸を躍らせた、奇怪な天文台もまさにその一つでした。
その三五教に協力したのが、誰あろう偉大なる天文学者にして啓発家であった山本一清氏(東亜天文学会創設者)であり、氏が一時京大の花山天文台に据え付けた「46センチ・カルヴァー鏡」は、その後、沼津の教団施設に移され、そこで使用されました。ここは現在の月光天文台(http://www.gekkou.or.jp/)の前身にあたります。
この辺の事情、そしてカルヴァー鏡の行方については、以下に記述があります。
★坂井義人氏・「小川天文台の話(3)」
http://www.bekkoame.ne.jp/~masa-ki/ogawa_tenmondai/histry/history_03.html
‡ ‡
あえてコメントはしませんが、何とも摩訶不思議な精神の水脈が、日本の天文シーンをひそかに彩っていたことは確かです。
この話、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、宗教が絡んでいるということで、あまりあからさまに語られることがなかったように思います。私は今日初めて知りました。ちょっと頭がボーっとしています。
にぎやかな本…ギブソン著 『星とその謎』 ― 2007年09月29日 11時41分27秒
■Charles R. Gibson
THE STARS AND THEIR MYSTERIES (Science for Children Series)
Seeley, Service & Co., London, 1925
p.248, 13×20cm
本の中で、著者のギブソンは「エディンバラ王立協会会員にして、『電気-我らが良きしもべ』、『私たちが暮らす巨大な球』、『科学界の英雄たち』等々の著者」と紹介されています。天文学が専門の人ではなく、一種の科学啓蒙家でしょう。
それにしてもこの表紙は、何ともにぎやかですね。グリーンとオレンジの配色が鮮やか。両大戦間期、一般に「黄金の20年代」と呼ばれる、屈託のない時代の産物です。
潜水夫や路面電車、複葉機など、天文と関係ない絵も描かれていますが、これは「子どもたちの科学」シリーズの統一デザインなのかもしれません。本文活字も大きくて、日本でいえば小学校高学年向けぐらいの本の感じです。
背表紙の土星とその背景も洒落ていて、児童書のデザインにもアール・デコの波が押し寄せていたことがわかります。
★付記:
手元の本の見返しには‘Elizabeth from Mummy Xmas 1933’とペンで書かれていて、こういう書き込みを見ると思わずニッコリ。
THE STARS AND THEIR MYSTERIES (Science for Children Series)
Seeley, Service & Co., London, 1925
p.248, 13×20cm
本の中で、著者のギブソンは「エディンバラ王立協会会員にして、『電気-我らが良きしもべ』、『私たちが暮らす巨大な球』、『科学界の英雄たち』等々の著者」と紹介されています。天文学が専門の人ではなく、一種の科学啓蒙家でしょう。
それにしてもこの表紙は、何ともにぎやかですね。グリーンとオレンジの配色が鮮やか。両大戦間期、一般に「黄金の20年代」と呼ばれる、屈託のない時代の産物です。
潜水夫や路面電車、複葉機など、天文と関係ない絵も描かれていますが、これは「子どもたちの科学」シリーズの統一デザインなのかもしれません。本文活字も大きくて、日本でいえば小学校高学年向けぐらいの本の感じです。
背表紙の土星とその背景も洒落ていて、児童書のデザインにもアール・デコの波が押し寄せていたことがわかります。
★付記:
手元の本の見返しには‘Elizabeth from Mummy Xmas 1933’とペンで書かれていて、こういう書き込みを見ると思わずニッコリ。
土星がいっぱい…マッチラベル ― 2007年01月26日 22時30分40秒
シガレットカードはこれまでも何度か取り上げました。
シガレットの友はマッチ…というわけで、今日はマッチラベルのコレクションです。
オーストリアやら、ベルギーやら、その他国籍不明のものやら、もろもろの土星マッチ。仔細に見るとすべてデザインが違います。時代は不明。
最近の買い物の中では出色の品で、見た瞬間に「おお!」と思いました。
これもまた文句なしにタルホチックな品。
シガレットの友はマッチ…というわけで、今日はマッチラベルのコレクションです。
オーストリアやら、ベルギーやら、その他国籍不明のものやら、もろもろの土星マッチ。仔細に見るとすべてデザインが違います。時代は不明。
最近の買い物の中では出色の品で、見た瞬間に「おお!」と思いました。
これもまた文句なしにタルホチックな品。







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