月へ!2012年04月05日 21時41分50秒

ここまで来たら勢いに乗って、ロケットシリーズ第3弾


このドラえもんの鈴のような金色の球(直径18ミリ)を、真ん中からパカッと割ると…


中には鮮やかな月ロケットが。
そう、これは「月ロケットのロケット」なのです。
アメリカのミニアチュール作家の作品で、作者によるタイトルは「Fly Me to the Moon」。

小指の爪ほどの画面に封じ込められた宇宙空間。
そこに浮かぶ月。
炎を噴き上げるロケット。

果たして、このロケットには誰が乗り込んでいるのか、
そして、その背後にはどんなドラマがあるのか、
この小さな絵を見ていると、そんなことがボンヤリと思われてきます。

キミは本物の月ロケットを持っているか?2012年04月02日 21時03分26秒

昨日は他愛ない話題でしたが、今日は本物の月ロケットの話題です。
そう、正真正銘の月ロケット。


…やっぱり今日も他愛ない話ですみません(しかもダジャレ)。
でもこのロケット、ちょっと良くはないですか?
(ちなみに、空を飛ぶのはrocket、首から下げるのはlocket。)


本体の直径は約27mmで、パカッとふたが開きます。


以前載せた、足穂好み(?)の三日月タイピンと好一対。
こちらは乙女が持つのにふさわしいアイテムですね。
ちなみに、足穂氏によれば月は両性具有の存在だそうです。

小箱をカタカタ…ささやかな月食2011年12月10日 19時45分04秒

今日は話題の皆既月食。
朝方は快晴でしたが、途中から雲が出てきました。少なからず気がもめます。

   ★

写真↓は、月食の晩にふさわしい玩具。


紙箱の表には、「L’ECLIPSE DE LUNE/JUE DE PATIENCE」と書かれています。
「月食いらいらゲーム」とでも訳せば良いのでしょうか。


ふたを開けると、中には憎らしいほど肉付きのいい月人が、屈託なく微笑んでいます。


この玩具は、この満月のくぼみに、3つの黒いピースをはめ込んで「月食」を起そうという、ゲームというか、一種のパズルです。でも、表面はガラス蓋で覆われているので、手ではめるわけにはいきません。箱をあれこれ揺さぶって、少しずつピースをはめていくのですが、なかなかこれがうまくいきません。まさに Patience(忍耐)という商品名の通りです。

まあ、他愛ないといえば他愛ない品ですが、いかにも呑気で、のどかな時代を思い起こさせます。オリジナルはたぶん19世紀末のフランス製だと思いますが、ここに紹介したのは1984年に西ドイツで出た復刻品。ミュンヘンのFranz-Josef Holler という会社が売り出しました。

   ★

さて、本物の月食のほうはどうなるでしょう。こればかりは、小箱を揺さぶるようなわけにはいかないので、いっそうイライラ・ジリジリしますね。

【付記】
ところで、この外箱の絵。真昼(?)の情景というのも変ですが、天体とそれを覆い隠す影の大きさが同じです。ということは、これは月食ではなくて、日食なのか?

よく見ると、手前の女の子は、煤の付いたガラス板で透かし見ようとしているようです。でも、そうなると今度は、望遠鏡と双眼鏡を手にしたお父さんとお母さんの目玉が心配になります。


【さらに付記】
この品は、min_y 様の「日常と夢の記憶」(http://yumesuke.exblog.jp/16133906/)で拝見して以来、どうしても欲しくて、苦労の末にやっと手に入れました。

2011 足穂忌2011年10月25日 07時17分11秒

今日は稲垣足穂(1900-1977)の命日。
京都ヴンダー散歩の連載は1回お休みして、故人を偲ぶ一日とします。

「天文古玩」では、この日、彼にちなむ品を仏前に供えるのが例ですが、今年はまた至極好適な品を見つけました。
↓は1870年代の古いシガーラベル、すなわち箱詰め葉巻に貼られた商標ラベルです。
アメリカ製のリトグラフで、サイズは約15×23cm。


タルホ氏も今年で111歳の川寿(せんじゅ)を迎えられます。
そろそろシガレットばかりでなく、三日月相手にシガーでも嗜んでいただいてはいかがかと、僭越ながら思いました。

(自らに焼香。あるいはシガーで乾杯。)

それにしても何とニクイ絵柄ではありませんか。

【おまけ/10月26日記】
上の絵から連想する足穂作品は、「月とシガレット」(『一千一秒物語』 所収)

ある晩 ムーヴィから帰りに石を投げた
その石が 煙突の上で唄をうたっていたお月様に当たった お月様の端がかけてしまった お月様は赤くなって怒った
「さあ元にかえせ!」
「どうもすみません」
「すまないよ」
「後生ですから」
「いや元にかえせ」
お月様は許しそうになかった けれどもとうとう巻タバコ一本でかんにんして貰った

上の絵ではご両人とも、妙に和気あいあいとしています。
まあ、折れた巻タバコよりは、「葉巻をどうぞ…」とやった方が、相手も悪い気はしないでしょう(たぶん)。

月と灯台2011年09月12日 21時42分22秒

今宵は中秋の名月。
そのことを日が暮れるまで忘れていました。

仕事からの帰り道、すっきり晴れた東の空に
やわらかい色合いの真ん丸な月が浮かび、
ビルや高速道路の直線と小気味よい対照を見せていました。
それを見て、初めてお月見のことを思い出しました。

そういえば、今記事を書き続けている明石も、古来月の名所です。
モダニストの足穂も、ときには月照寺あたりから、古典趣味の月を眺めた晩もあったことでしょう。

   ★

写真は1906年9月15日(惜しい!)、ボストンの消印を持つ古絵葉書です。
写っているのは、マサチューセッツ州東部、大西洋のマイノット岩礁にそびえる海上灯台。

灯台の光と月の明かり。波のきらめきと雲の陰影。
まるで夢の中で見る光景のようです。
耳を澄ませば、かすかなさざなみの音も聞こえてきます。

THE MOON …エルガーの月面図2011年07月22日 21時16分45秒

前回、思わせぶりに顔を出したのはこの本です。


エルガーが著した月面図の原典。

Thomas Gwyn Elger
 THE MOON:A Full Description and Map of its Principal Physical
  Features.
 George Philip and Son, London, 1895
 8vo, 173p.


以前、京都のラガード研究所さん(http://lagado.jp/)が我が家に来られたときに、このブックデザイン、特に背表紙を激賞され、改めて見直した思い出があります。

本書に挿入されている図は4枚。月の表側を4つに分割して表示しています。


この前の1957年版とは違って、淡彩が施されています。


ちなみに、この本とは別に、月面図だけを別刷りにしたものが、当時売り出されていたようで、その案内が載っていました。壁にかけるのに便利なよう、厚紙で裏打ちされた品(4シリング也)もあったらしく、これはぜひ欲しいな…と思いますが、まだ現物を見たことはありません。


月面図以外は、ご覧のように月の地形解説がびっしり。


右下にケプラー・クレーターの説明がちらっと出ています。
内容は、純粋にクレーターの物理的特徴に限られ、ケプラーその人の伝記事項や、このクレーターがケプラーと命名されたいきさつ等は一切省かれています。
この辺は非常にサバサバしていて、何となくイギリス的だと思いました。
(漠然としたイメージですが、この本がもしフランスで出ていたら、そういう人文的な事項が、むしろ前面に出たんじゃないでしょうか。)

嵐の夜に思ったこと2011年07月20日 20時00分19秒

(↑この本の詳細については次回)

昨夜は迫りくる台風に備え、職場の非常配備に付きました。
動きの遅い台風にじりじりしながら、暑苦しい一夜を過ごし、いささか疲れました。
先ほどシャワーを浴びて、ビールを開けて、ホッと一息というところです。

   ★

ところで、月面を描くには半球図だけで足りるというシンプルな事実。
そこから思い出す警句があります。

「人間は誰しも月だ。皆、誰にも見せない暗い面を持っている。」
(Every one is a moon, and has a dark side which he never shows to anybody.)

マーク・トウェインの言葉だそうです。
誰しも一読納得するのではないでしょうか。ちょっと寂しい気もしますが。
おそらく真実とは、一抹の寂しさを含んでいるのでしょう。

水のない海2011年07月18日 17時34分40秒

台風の接近で、日本近海は大荒れのようです。
今日は海の日なので、何か海にちなんだものをと思い、いっそ月の海に行ってみることにしました。

   ★

青い星図帳に続き、これも George Philip & Son 社が出した、ちょっと昔の月面図(1957年刊)。


アマチュアの立場で月面研究にのめりこんだ T. Gwyn Elger(1836-1897)が19世紀末に編んだ月面図を、同じくH. Percy Wilkins(1896-1960)という人が、60年後に改訂したものです。おそろしく息の長い地図ですが、昔のイギリスのアマチュア天文家は、たいていこのエルガー月面図の世話になったらしいです。

それにしても、エルガーもウィルキンスも、まだ60代に踏み込んだばかりだというのに、月面図を公刊すると間もなく亡くなっているのは、何だかヒヤッとする話です。月に呼ばれたんでしょうか。


折り畳み式のマップは、広げると約70 x 50cmの月面図になります。
この月面図は、天体望遠鏡で観察したときと同じ見え方になるよう、上下(南北)が逆転して描かれています。そして東西の表示が、現在とは逆のシステムを採用しているので、ちょっとややこしいです(※)。以下、東西は現行のシステムに従って呼ぶことにします。

   ★

身近な台風の接近に怯えつつ、まずは「嵐の大洋(Oceanus Procellarum)」に行ってみましょう。


月の表(おもて)の北西一帯を広く占める、いわゆる「兎の臼」が「嵐の大洋」。


嵐の大洋の真ん中にポツンとあるのは、ケプラーの名を負ったクレーター。
社会の荒波に翻弄され続けた、孤高の天才には、いかにもふさわしい場所。


そこから少し東に寄ったところに、一際大きなコペルニクスが鎮座しています。

   ★

荒れ狂う大洋から、一転して「静かの海(Mare Tranquilitatis)」を見てみます。
月の東側、「兎の顔」に当たるのが「静かの海」。言うまでもなく、42年前のちょうど今ごろ、アポロが初めて有人着陸をした場所です。


その中心にあるクレーターには、Nevil Maskelyne(1732-1811)の名前が付いています。マスケラインは、少壮の頃から高齢で没するまで、半世紀近くもイギリスの王室天文官(アストロノマー・ロイヤル)の職にあった人物。学者としては凡庸でしたが、世間的には恵まれた人生を送った人ですから、これまた所を得たというべきでしょう。

   ★

二つの「海」の中間、ちょうど月の表側の中央付近に目をやれば、そこにはハーシェル、フラマリオン、ラランデの名が。


それぞれ天文学史に名を残す人たちですが、あまり縁が濃いとも思えない彼らが、仲良く隣り合っている様は、ちょっとした見物(みもの)です。


(※)南中した月を肉眼で眺めている場面を想像してください。月は向って左(東)から右(西)に移動していくわけですが、これに準じて月面の地理表示も、向って左側を東、向かって右側を西と考えたのが古典的システムです。でも、満月の位置に、仮に地球が浮かんでいるとします。すると、日本列島の左側にユーラシア大陸、右側に太平洋があって、上の古典的システムに従えば、ユーラシア大陸は日本の東、太平洋は西ということになって、地球上の地理表示と逆になってしまいます。これでは不便だということで、1961年に国際天文学連合が、地球の地理表示と同じように、北を上にしたとき、向って左側を西、右側を東とする現在のシステムを採用したということです。

Adler at Night2011年05月21日 11時11分34秒



ぽつんと灯る街灯。
それに照らされて、深い陰影を見せる街路樹。
その脇を、サッと光の尾を曳いて走り去るバス。
ライトアップされて、静かに存在を主張するドーム。
そして、それら全ての上に、ゆったりとした夜の雲と、やさしい表情の月。

“世界で最も絵になるプラネタリウム”、シカゴのアドラーの夜景です。
題して「ハーベスト・ムーン」、日本風に言えば「中秋の名月」。

もとは通信社が配信した報道用写真ですが、撮影者は明確にアートを狙っており、しかもそれが成功していると思います。(写真の高さは25センチ)

裏面には以下のようなクレジットが貼付されていました。


ハーベスト・ムーン:  アドラー・プラネタリウムの上にかかるおぼろ月。その姿は、毎日星たちがパレードを繰り広げる円屋根の内部から浮び出たように見える。
サンタイムズのカメラマン、ジーン・ペセックは、愛機に望遠レンズを取り付けて、この見事なシーンを捉えた。」  (サンタイムズ、1963年10月10日)

   ★

この写真を見ていると、何だか音楽が聞こえてくるような気がします。

たとえば、ジャズの名曲 Round Midnight とか、
http://www.youtube.com/watch?v=td3SE3zEVP0
あるいは、シナトラが歌う Fly Me To The Moon とか。
http://www.youtube.com/watch?v=oCW9Hey6IVY (歌詞付き)

皆さんの耳にも聞こえますか?それはどんな音楽でしょう?

The Moon on the Shore2011年04月03日 18時35分53秒

今日は新月。干満の差が大きい大潮の時期にあたります。
春の大潮はことに干満の差がはげしく、歳時記には「春潮(しゅんちょう)」の季語が載っています。関連して、「潮干狩り」や「磯遊び」なども春の季語。

  暁や北斗を浸す春の潮  青々

美しい句です。北に海が開けた日本海の景でしょうか。
もっとも、明け方に北斗七星が海に身を浸すのは7~8月頃なので、これは正確な叙景ではありません。ですが、俳人には、春の海が北斗を濡らしているように感じられたのでしょう。

  磯あそび飽くこと知らぬ子がたのもし  ひろし

一読、磯の香がよみがえるようです。作者は自らの幼い日に、眼前の我が子を重ねて、季節と世代の循環を感じ取っているのかもしれません。うららかな楽しい春の一日。

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それにしても、今年の東北地方では、磯遊びをする親子の姿が見られるのでしょうか。
福島では放射能汚染で、磯に近づくことすらできない地域も多いでしょう。
津波に襲われた町では、磯に寄せる波に恐怖する子だっているでしょうし、そもそも、津波の危険は完全に去ったわけではなく、まだ海辺に近寄らない方がいいのかもしれません。

何でも震災に結び付けて考えるのもどうかと思いますが、ささやかな春の行楽までも奪われてしまった現状は、やっぱり寂しいものです。

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さて、写真は古い月のガラススライド。


科学機器や光学製品の老舗、John Browning 社の製品で、19世紀末ぐらいのもの。
撮影機材は、オーストラリアのメルボルン天文台にあった口径1.2mの巨大反射望遠鏡です。1868年に完成したこの望遠鏡は、金属鏡を採用した最後の大型望遠鏡として知られますが、メンテナンスと運用に失敗した結果、ほとんど成果の挙がらなかった「悲運の望遠鏡」としても有名です。

(メルボルン天文台の巨大反射望遠鏡。H.C King, The History of the Telescope より)

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人間の営みは時には微笑ましく、時には悲惨な結果をもたらしますが、それを見下ろす月は昔と変わらず…。 何となく月並みな感想ですが、でも、変らないのは月ばかりでなく、月に思いを託す人間の心だって数千年来変わっていないぞ…とも思います。

軋みと歪みが続く今、人間の変わらない部分こそが大事なのではないでしょうか。


【付記】
心を寒くする出来事が多い中、ちょっと嬉しかったのは、デジカメが復活したこと。液晶モニターが映らなかったのが、グイと押したらまた映るようになりました。もうしばらくこれで頑張ります。