月の風流を嗜む2023年11月16日 18時40分58秒

昨年、ジャパン・ルナ・ソサエティ(JLS)のN市支部を設立し【参照】、その後も活動を続けています。

毎月の例会では、当番の会員が月に関する話題を提供し、みんなで意見交換しているうちに、いつのまにやら座は懇親の席となり、座が乱れる前に散会するという、まさにこれぞ清遊。しかも支部員は私一人なので、話題提供するのも、意見交換するのも、懇親を深めるのも、肝胆相照らすのも、常に一人という、気楽といえばこれほど気楽な会もなく、毎回お月様がゲストで参加されますから、座が白けるなんてことも決してありません。

   ★

N市支部では会員の意向にもとづき、もっぱら月にちなむモノを披露し、それを品評するという趣向が多いのですが、最近登場した品はいつになく好評でした。


漢字の「月」の字をかたどった襖の引手金具です。
オリジナルは京都の桂離宮・新御殿一の間に使われたもので、“これは風流だ”というので、後世盛んに模倣されましたが、今回の品はその現代における写しで、真鍮の輝きを強調した磨き仕上げにより、本物の月のような光を放っています。

(出典:石元泰博・林屋辰三郎(著)『桂離宮』、岩波書店、1982)

(有名な「桂棚」のあるのが新御殿一の間です。出典:同上)

古風な姿でありながら、その質感はインダストリアルであり、風変わりなオブジェとして机辺に置くには恰好の品だと感じました。



この品は京都にある、家具・建物の金具メーカー「室金物」さんのサイト【LINK】から購入しました。

コメント

_ S.U ― 2023年11月18日 07時27分47秒

この金具は、時代を超えたデザインですね。
そういや繰り返す「月ブーム」というのがありますよね。
タルホ先生によると、ポーやベルヌの時代、それからメリエス+バワリア鉛筆・花王石鹸の時代、アポロに至る時代と指折ることができますが、先生の没後はいかがでしょうか。
 私が思いますに、竹取物語のSF作家(あるいはSF映画)によるリメイクが流行った1980年代、そして、月面探査が復活した現在も「月ブーム」の時代と言えるのではないかと思います。ただ、それらは営業・商業上の分野に留まっていて、一般人の感性レベルにはまだ落ちてきていないように思います。長年、月を愛でてきた日本人ですが、今後はもう感性のレベルに落ちてくることはないのかもしれないと思います。

_ 玉青 ― 2023年11月18日 14時11分25秒

たしかに平均的日本人の月に対する感性は、ずいぶん衰えてしまったかもですね。
でもその一方で、月をテーマにした本や写真集は最近もずいぶん出ているようです。そうした本を手に取る「月派」の人が一定数いることで、世の中案外バランスがとれているのかもしれません。月派の勢力を保つため、S.Uさんが主宰されているJLSのT市支部と、こんどはぜひ合同例会を開きましょう。

_ S.U ― 2023年11月19日 06時53分39秒

日本のあちこちに支部があることになっているのですね。
では、例会の準備をしましょうか。

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