重い目で月と木星を見る2023年11月26日 19時38分45秒

風邪でずっと寝込んでいました。

でも月と木星の大接近は、私が風邪を引いたからといって待ってはくれませんから、昨夜は床の中から、この天体ショーを眺めていました。せっかくだから…と、だるい身体を起こして双眼鏡を持ってくると、双眼鏡の視野の中でも両者は仲睦まじく寄り添っていて、実にうるわしい光景です。ここでキャノンご自慢のスタビライザー機能をオンにすると、像はピタリと静止し、針でつついたような木星の月たちも見えてきます。地球の月、木星、そして木星の月たち。それを眺めている自分もまた、地球という惑星に乗って、今も宇宙の中を旅しているんだなあ…と今更ながら実感されました。と同時に、木星の4大衛星と地球の月は似たりよったりの大きさですから、両者を見比べることで、木星までの距離も直感されたのでした。

(いつも手の中で転がしている、木星の表面によく似た瑪瑙)

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それにしても今回の風邪。金曜日の朝にいきなり39.4度まで熱がガッと上がり、これはてっきり…と思って近医に行ったんですが、インフルもコロナも検査結果は陰性でした。「まあ、ふつうの風邪でしょう」と言われて、薬をもらって帰ってきたものの、ふつうの風邪でこんなふうに突然高熱が出るものなのか?そこがちょっと不審です。

ひょっとして、コロナの後遺症で、免疫系がおかしくなってしまったのか…と、風邪で気弱になっているせいもありますが、そんな想像が頭をよぎり、不安に駆られます。

太歳太白、壁に合す(たいさいたいはくへきにがっす)2023年03月04日 09時47分38秒

タイミングを逸して、いくぶん気の抜けた記事になりますが、今週末の木星と金星の接近。何と言っても全天で一二を争う明るい惑星が並ぶというのですから、これは大変な見もので、何だか只ならぬ気配すらありました。昔の人ならこれを「天変」と見て、陰陽寮に属する天文博士が、仰々しく帝に密奏したり、大騒ぎになっていたかもしれません。

(群書類従「諸道勘文」より)

今回の異常接近はうお座で生じましたが、二十八宿でいうと「壁宿(へきしゅく)」あたりで、今日のタイトルは、そこで太歳(木星)太白(金星)が出会ったという意味です。壁宿は占星では「婚姻に吉」とされるそうなので、折も良し、両者の邂逅はまるで男雛女雛が並んでいるように見えました。

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西洋に目を向けると、ジュピターとヴィーナスはローマ神話由来の名前で、ギリシャ神話だと、それぞれ主神ゼウス美神アプロディーテに当たるので、これまた好一対です。

(シガレットカード「星のささやき(What the Stars Say)」シリーズ(1934)から。イギリスの煙草ブランド‘De Reszke’(デ・レシュケ/デ・リスキー)のおまけカードです))

ただ、神話上、両者に婚姻関係はなく、ゼウスから見るとアプロディーテは娘(母はディオーネ)、あるいは息子(へパイトス)の嫁と伝承されています。そしてゼウスは周知のとおり多情な神様で、正妻ヘラ(星の世界では小惑星ジュノーに相当)以外に、あちこちに思い人がいたし、アプロディーテもアレス(同じく火星に相当)と情を通じたとか何とかで、なかなか天界の男女模様もにぎやかなのでした。

(ギリシャの学校掛図。惑星名はすべてギリシャ神話化されています。内側から、水・エルメス(へルメス)、金・アプロディーテ、地・ギー(ガイア)、火・アレス、木・ゼウス、土・クロノス、天・ウラノス、海・ポセイドーン、冥・プルトーン)

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話を東洋に戻すと、陰陽道では木星(太歳神)土星(太陰神 たいおんじん)を夫婦とみなす考えがあるそうで、これは肉眼で見ても、惑星の実状に照らしても、何となく腑に落ちるものがあります。太っちょで赤ら顔の旦那さんと、派手なアクセサリーを身につけた奥さんといったところですね。

歳星一巡2018年02月03日 15時01分33秒

今日は節分、明日は立春。
何だかバタバタしているのは、いよいよ年度末が近づいたからで、のどけき春は当分お預けでしょう。

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ときに、自分でもすっかり忘れていましたが、先月(1月)23日は、「天文古玩」の満12歳の誕生日でした。ちょうど暦が一回りしたことになります。

「この間、本当にあっという間でした」…と一寸前までなら書いたと思いますが、最近はかなり草臥れてきたので、正直「結構長かった」と感じます。

実際、12年という歳月は、そう短いものではありません。
それは「惑星の王」である木星が、星座の間をゆっくりと歩み、ちょうど天球を一周するのにかかる時間に等しく、文字通り「天文学的時間」です。(この事実から、木星は12年を単位とする干支紀年法と結びつき、古来「歳星」の名で呼ばれます。)

(木星の幻灯スライド。いずれも19世紀後半)

木星は今日現在、てんびん座の位置にあって、夜明け前の空に明るく見えるらしいですが、私の場合、その時間はグーグー寝ているので、実際に木星を眺めるのは、もうちょっと季節が進んでからでしょう。

まあ、目にはせずとも、今は心のうちに歳星の姿を思い浮かべ、これまでの12年間を振り返るだけで十分です。

(同上)

陰陽五行の説によれば、木星は「木」の性を帯び、色は青、季節は春を象徴しています。木星はいわば春の星ですね。やがて訪れる春が、ぜひ良いものでありますように。

土星キャラ立ち史(その8)2016年08月27日 09時21分08秒

(昨日のつづき)

そのとき、恐怖に打ち震えるビル・スメイザーの身に、第2の異変が生じます。
服をはためかせる強い風。熱さと冷たさが交互に襲ってくる感じ。まるで風に舞う埃になったような気分です。


気が付くと、目の前に1人の異星人がいました。
消えたと思った友人たちもいます。
異星人はビルの「土星の頭」を脱がせながら、語りかけました。

「ようこそ、土星へ!私の名はカンデア・オール。私が君たちをここへ呼んだのだ。私を助け、この歴史上もっとも長きにわたる戦争を戦ってもらいたい。」

あの土星の頭は、カンデア・オールと名乗る土星人が送り込んだもので、それを被った者と、その光線を浴びた者たちを、土星に瞬間移動させる力があったのでした。
(何だか読んでいる方も「風に舞う埃」になった気分ですが、ここは理屈で考えることはやめて、さらにストーリーを追います。)


カンデア・オールの話によると、土星にはかつて多くの民が住んでいましたが、木星との激しい戦争によって荒廃し、今やカンデア・オールが唯一の生き残りとして、依然木星との戦争を続けているのだそうです。そして、木星もまた同じ運命をたどり、今や木星の唯一の生き残りが、アラゴア・ヴォン

彼らは元は同一の種族だったらしく、外見もそっくりで、さらには互いの心を読むこともできます。そのため戦いは膠着状態にあり、決着が着きません。


そこでカンデア・オールが思いついた秘策が、地球人に木星を攻撃させることでした。さすがのアラゴア・ヴォンも、地球人の心までは読めないので、その攻撃を防げないだろうというわけです。

しかし、カンデア・オールの計画は、ただちに木星側に知れるところとなり、アラゴア・ヴォンも対抗策を打ってきます。(そして対抗策を打ったことは、カンデア・オールにも伝わります。うーむ、何とややこしい話でしょうか。)

土星がアメリカの勇士をリクルートしたなら、木星はソ連で対抗です。

(ついに木星の頭も登場)

「あ、イワンの上に木星の頭が!いったい、あれはどこから来たんだ?」

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木星を制圧した後は、地球侵略をほのめかすカンデア・オールですが、既に彼によってマインド・コントロールされたビルたちは、カンデア・オールに逆らえず、宇宙船で木星に向かうはめになります。


その途中、ソ連の兵士が乗った木星の宇宙船とすれ違います。
もちろん、彼らはアラゴア・ヴォンの命を受けて、土星のカンデア・オール攻撃に向う途中です。

「地球上では、彼らは我々の敵だったかもしれない。だが、ここでは異星人に立ち向かう同じ地球人だ!」 「よし、いい考えがある!」

ビルは通信システムを使って、彼が思いついた「ある計画」を、ソ連の兵士にモールス信号で伝えます。


(あまり引っ張るような話でもありませんが、冷戦を背景にした、この奇怪なストーリーを追って、さらにこの項つづく。次回、大団円)

粋な衣装のお大尽…カテゴリー縦覧:木星編2015年03月13日 07時10分50秒



その巨体を、ゆらりと宙に浮かべた木星。

ガリレオも観賞した4大衛星のダンス、美しい縞々模様、それに何といっても大赤斑。
小さな望遠鏡でも見ごたえ十分の天体で、私は子供のころから大好きです。ひょっとしたら土星より好きかもしれません。

写真に掲げたのは19世紀末にイギリスで作られた幻灯スライドです。


明るいところで見ると、こんな表情。凝った装飾をほどこした、いかにもヴィクトリアンな雰囲気ですが、この繊細な紋様も、実際の投影時にはまったく見えないので、まあ無駄といえば無駄です。でも、真の衣装自慢は、外から見えない着物の裏地にこだわると聞きますし、このスライドにも、そんな粋な美学を感じます。


メーカーはロンドンの Eyre & Spottiswoode 社。
ここは18世紀創業の王室御用達の出版社で、そんなこともあって、このスライドは豪華な衣装をまとっているのかもしれません。

金星、木星、火星のイメージを追う2013年12月23日 09時06分55秒

過去記事フォローシリーズ。
以前、下のような絵葉書を載せました。


そのときは、女A 「あら、金星が見えるわ」、女B「 あたしの方は木星が見えるわ」、男 「おいらにゃ火星が見えるよ」 …という掛け合いの、結局何がオチになっているのか、なんで男が火星を持ち出したのかよく分からんなあ…というところで話が終わっていました。

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一昨日、その謎を解くヒントとなりそうな、こんな絵葉書を購入しました。


1920年代のこれまたコミカルな絵葉書。
金星、木星、火星を擬人化して、海水浴客に見立てています。

これを見ると、当時は「金星=美女」、「火星=太った猛女タイプ」という見立てが一般的で、前の絵葉書もそれを踏まえたものか…と推測がつきます。また、そこに貧相な男(=木星)を配して、三者をセットにして何か言うというパターンも、一部で流行っていた気配があります。

このうち「金星=美女」は、Venus が美の女神であることを考えれば、ごく自然です。また、火星が猛々しいのも、Mars が軍神であり、古来凶星とされたので分かる気がします。しかし、それが「太った女性」であるのはなぜか(本来のマルスは、りりしい男神)、また天空を支配するJupiter が、なぜかくも貧相な男となってしまったのか? 実際の火星は、直径でいうと木星の約20分の1、並べばハムスターと相撲取りほど違うはずなので、両者の立場の逆転も気になります。

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謎を解くべく、こうしたマンガ的表現の類例をさらに求めて、「venus jupiter mars comic」で検索したら、こんな画像↓が出てきて、虚を突かれました。
http://www.flickr.com/photos/dtjaaaam/11098118194/

うむ、結局どの惑星も、大なり小なり火星的であるということか…」と、つまらないところで話を落としてしまいますが、上の謎は謎として真面目に(そんなに真面目でもないですが)考えてみたいと思います。

回る!惑星儀2010年11月14日 15時13分42秒

磁石の力で空中を浮揚する地球儀でおなじみのステラノバ社。
その製品は、このブログにも以前登場しました(http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/11/25/4720913)。

最近、同社から同じコンセプトで、惑星儀シリーズというのが出ているのを知りました。
(以下の画像は↓のページから勝手拝借しました。製品仕様についてもこちらを参照してください。http://www.ultimateglobes.com/Stellanova-Globes-s/237.htm



探査機ジュノーに乗り込む(?)ガリレオの骨よりも一足先に、木星遊覧としゃれこむか!…とも思ったのですが、このシリーズは日本にはまだ入ってきていない模様。

まあ、探せば日本に発送してくれる業者も見つかるでしょうけれど、ただ、惑星探査機を模した架台パーツが、個人的に今一つ垢抜けない感じがして、注文に踏み切れずにいます。できれば惑星だけが静かに浮んでいて欲しかった。


この土星もなかなかカワイイんですが、うーん、ちょっとデフォルメがきついかな…

というわけで、この惑星儀はもうちょっと様子見です。
もし一足先に購入される(された)方がいらっしゃれば、どんな塩梅かご教示いただければ幸いです。

【付記】 電源の問題もありますが、アメリカ向け仕様だったら、たぶんそのまま動作するのではないかと踏んでいます。


人間ガリレオ、木星へ旅立つ?2010年11月07日 10時50分48秒

(↑木星に近づくジュノーの想像図。ウィキメディアコモンズより)

メーリングリスト(ML)経由の情報です。

以前、ガリレオの遺骨が、博物館で展示されているというニュースについて書きましたが(http://mononoke.asablo.jp/blog/2010/06/18/5170081)、それとは別に、今度ガリレオの遺骸の一部が、木星に行くかもしれない…という話題を耳にしました。

どういうことかというと、来年打ち上げ予定の木星探査機「ジュノー」に、ガリレオの遺骨を積み込む計画があるのだとか。

ソースはこちら。

■Nature 468, 6 (2010年11月4日付)
 http://www.nature.com/nature/journal/v468/n7320/full/468006a.html

以下、いつにもまして適当訳(原文を確認してください)。

  ■  □  ■

 「コロラド州デンバーの航空宇宙施設では、現在技術者たちが、NASAの後続木星探査機に科学機器を組み込む作業に追われている。この探査機は、1年以内に打ち上げが見込まれている。しかし、十億ドルの巨費を投じた探査機ジュノーに関わる作業チームのメンバーは、この宇宙船に、ちょっと毛色の変わった物が乗り込むことについては、声をひそめている。すなわち、ガリレオ・ガリレイの遺骨のひとかけらだ。

 この有名な天文家の遺骸の一部を、巨大な惑星をめぐる軌道に送り込み、彼自身が発見した衛星の仲間に加えようというアイデアは、この探査計画に参加するアメリカ側の関係者を少なからず魅了した。それに比べて、2種類の科学機器を提供するイタリア航空宇宙局(Italian Space Agency)の職員は、さほど熱心ではないようだ。しかし、この計画はきっと前進するにちがいない。

〔…〕

 ガリレオの安らかな眠りを乱す、〔ガリレオの遺骨を遺伝子解析にかけたり、その一部を私蔵したりといった、従来なされてきた〕振る舞いに比べれば、一片の骨などは、ごくささやかな捧げ物だとも思える。すなわちこの骨は、探査計画に感動のエネルギーを充てんし、科学が人類固有の努力であることを人々に思い出させる標(しるし)として捧げられる、供犠の品なのだ。

 ガリレオ自身は、科学と社会とを結び付ける必要性を理解していたし、政治的に機敏な彼は、ショーマンシップの価値を十分に承知していた。〔…〕したがって、公衆の支持を得るという目的のためならば、ガリレオは自分の死後の探査計画に、多少なりとも寛容さを発揮したのではあるまいか。

 だが、ガリレオだったら、この計画を認めるだろうと思える、もう1つ別の理由がある。彼は望遠鏡を通して明らかになった宇宙の姿にすっかり魅了されていた。「地球半径の60倍も離れている月の本体が、わずか2倍しか離れていないように近くにみえる。美しい、心をそそる事実ではないか」。彼は1610年に著した『星界の報告』の中で、月の表面について、こう書いた。探査機ジュノーは、ガリレオにとって月と同じぐらい魅力的な天体、すなわち木星の表面からわずか4,800キロのところをかすめることになる。彼は月よりもいっそう間近で見る光景に、きっと満足するにちがいない。」

  ■  □  ■

この事実、天文関係者にとっても寝耳に水だったみたいで、いぶかしむ声がMLに寄せられていました。「NASAは、こういうことはいつも大々的に宣伝するのに、なぜ今回は沈黙してるんだろう?誰か詳しい事情を知っている人はいないか?」 そして、ネイチャーの編集子が肯定的に書いているこの計画に対して、「何か意味があるのか?」「とんでもない愚行だ!」と憤る声も聞かれました。

日本語のジュノー関係の記事を読んでも、今のところ、この件は出てこないので、私ばかりではなく初耳の方が多いのではないでしょうか。

私には、この件について特に定見はありません。

 「夢のある話じゃないですか。」
 「夢がある、の一言で済ませていい問題じゃないでしょ。」
 「いや、今の地上は、それほどまでに夢を必要としてるんですよ。」
 「君のいう夢が、政権の人気取りのことを言うならばね。」

…いろいろ内なる声が聞こえてきますが、さて、どんなものでしょうか。


【付記】 記事中、「10億円」→「10億ドル」に修正。額が2ケタも違っていました;

ガリレオ vs. マリウス2009年08月25日 22時13分50秒

列をなして空中を飛行する本?

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今日、8月25日の Google のロゴは、ガリレオ望遠鏡。
今から400年前の今日、彼の望遠鏡が誕生したから―というのがその理由ですが、実際には望遠鏡はもうちょっと前に完成していて、8月25日はヴェネチア共和国のお偉方にそれをお披露目した日…ということのようです。

彼はその後精力的に天体観測を行い、月の山岳、木星の衛星、天の川を満たす星々などの観測成果をまとめて、翌1610年、あの記念碑的な著作『星界の報告』を世に問いました。

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その評判に刺激されて、「自分はガリレオよりも先に木星の衛星を見た」と言いだしたのが、ガリレオよりも9歳年下のドイツ人天文家、マリウス・シモン(メアー・ジモン、1573-1624)で、彼は1614年に『木星の世界 Mundus Jovialis』を出しますが、ガリレオはこれを剽窃呼ばわりして、両者はかなりもめたようです。

こういうと、マリウスは何だか胡散臭い人物のように思えますが、彼はアンドロメダ星雲に最初に言及した人であり(彼はそれを“角を透して輝く蝋燭の炎”という美しい比喩で述べました)、また木星の衛星についての表は、ガリレオのそれよりもむしろ優れていたと言われます。

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上の画像に話を戻せば、これは大英図書館が所蔵するマリウスの『木星の世界』のマイクロフィルム。いかにも渋い品ですが、こんな読めもしない資料がなぜ手元にあるのかといえば、要はこれも日本ハーシェル協会絡みで届いた品です。

マイクロフィルムというのも、最近ではいささか古風なメディアとなりつつありますが、とりあえず虫眼鏡さえあればどこでも読めるというのは、電子メディアにはない一大特長ですね。

元のフィルムはネガなので、それを白黒反転処理したら、何だか不思議な浮遊感が生まれました。(本の幽魂のようです。)

惑星装置(2)…木星とその衛星2007年03月24日 08時42分29秒

一昨日の挿絵の下に掲げられた図。

キャプションには、「故 W. Pearson 師の手になる、木星の衛星のための巨大な装置」と記されています。地球とその月を木星とその衛星に置き換えた、テルリウムの応用品でしょうが、こちらは衛星が多い分、機構がいっそう込み入っています。

ウィリアム・ピアソン(1767–1847)は、英国王立天文学会の創設メンバーの1人で、天文機材万般について並々ならぬ知識を有していました。

机上でカタカタ動く大小の球体。ランプの明かりを受けて鈍く光る真鍮の歯車群。マホガニーの深い色合い。…想像するだけで、そのクラシックな香気に陶然となります。

そしてまた、これは太陽系を外から眺める神の視角でもある…というのが、往時の人々を興奮させたのだと思います。