多面体日時計 ― 2012年01月29日 17時17分22秒
周囲を見回すと、なんだかんだ言って、リプロの品は結構あります。
たとえば下の品もそうです。
たとえば下の品もそうです。
この不思議なオブジェは、「多面体日時計」と呼ばれる、日時計の一種。
ちょうどヴンダーカンマー全盛の16世紀頃に流行ったもののようです。
各面がそれぞれ日時計になっていて、時針(ノーモン)が、ウニのようにツンツン突き出ています。こうすれば、太陽がどの高度にあっても、最も影を読みとりやすい面を選ぶことで、時刻をより正確に知ることができる…という効用があったのかもしれません。
ただ、人々の意識としては、そういう実用的な理由よりは、もっぱら細工の精妙さを愛でることに力点があったようです。まさにヴンダー志向が生んだ品。
オリジナルは、イタリアの地図製作者、Stefano Buonsignori(ステファノ・ブオンシニョーリ、?-1589)が製作したもので、現物はメディチ家コレクションを引き継いだ、フィレンツェの科学史博物館、「Museo Galileo」に収蔵されています。↓
実物と比べてみると、当然いろいろ違いもあります。
それに、遠目ならまだしも、近づいて見ると、リプロの方はプラスチックの多面体にプリント・シールを貼っただけなのが分かって、何となく侘しさが漂います。とはいえ、これは本物を望みがたい部類なので、これで良しとせねばなりません。
この日時計は、アンティークのリプロを多数手掛けている、スペインの Antiquus 社の製品で、オンラインで購入可能です。↓
■ http://www.antiquus.es/catalogo_en.php?sm=2&g=19
ジョバンニが見た世界「時計屋編」(9)…宝石を乗せて回る硝子盤(第4夜) ― 2011年12月07日 22時39分24秒
前回のつづき。
「…いろいろな宝石が海のような色をした厚い硝子の盤に載って 星のようにゆっくり循(めぐ)ったり…」
この一節からオーラリーをイメージしたという話を書きます。
「…いろいろな宝石が海のような色をした厚い硝子の盤に載って 星のようにゆっくり循(めぐ)ったり…」
この一節からオーラリーをイメージしたという話を書きます。
まず、海のような色合いの盤上をゆっくりと星が回る…という部分から連想した品はこれです。
(出典:Bruce Stephenson et al, THE UNIVERSE UNVEILED. Cambridge University Press, 2000)
Pieter Isenbroek 作のグランド・オーラリー(18世紀)で、現在はシカゴのアドラー・プラネタリウムが所蔵しています。青と金の対比が実に美しい逸品。
この回転盤をガラスで作るのは、ちょっと難しい注文ですが、もしそんな品ができたら素敵ですね。
★
そして、宝石が星のように回る…という部分からの連想はこれ。
Science Art Company という、アメリカのメーカーが作った現代のオーラリーです。
木製の台座、歯車を覆うガラスのドーム、そこから生えている樹状の角。クラシック・モダンな雰囲気を漂わせる不思議な作品です。
木製の台座、歯車を覆うガラスのドーム、そこから生えている樹状の角。クラシック・モダンな雰囲気を漂わせる不思議な作品です。
このオーラリーは独自のメカニズムにより、太陽の周りを各惑星が、正確に公転周期の比に合わせて回ります。(動力は電池。1地球年は75秒に設定されています。)
太陽と惑星は、それぞれの色をイメージした貴石、半貴石を削り出して作られており、太陽はオレンジ方解石、水星は青めのう、金星はアベンチュリン、地球はラピス、火星はカーネリアン、木星は縞めのう.....という具合。
この角度からだと、各惑星はてんでバラバラの軌道を描いているように見えますが、実際には、ほぼ同じ平面(黄道面)を行儀よく回ります。
★
どうでしょうか、ジョバンニはこうして太陽系に一瞥を投げかけてから、星座絵や星座早見によって表現される恒星世界へと旅立った…というふうに考えてみては?
ジョバンニが見た世界「時計屋編」(8)…宝石を乗せて回る硝子盤(第3夜) ― 2011年12月05日 20時51分53秒
ふと思い立って記事のカテゴリーを新設しました。
またカテゴリーの並び順も整理して、天文に関連するものを上位にまとめました。(一応「天文を中心に…」とうたっているので。)
またカテゴリーの並び順も整理して、天文に関連するものを上位にまとめました。(一応「天文を中心に…」とうたっているので。)
今回増やしたのは、「天文余話」、「極地」、「驚異の部屋」、「長野まゆみ」、「ヴンダーショップ・イベント」、「博物館」の6種類です。(「天文余話」というのは、他のカテゴリーに入れづらい天文関連の記事を整理するためのものです。)
それにしてもバカバカしいほどカテゴリーが多い。ご当人は整理したつもりなのに、いっそう取り散らかった印象を生むという矛盾。なんだか自分の部屋や、頭の中を見せつけられるような気がします。
★
さて、ジョバンニの話。
「銀河鉄道の夜」には、いろいろな宝石名が登場します。
しかし改めて読み返すと、その多くは比喩表現として使われていて、実際に宝石そのものが登場する場面は少ないことに気付きました。
比喩表現というのは、次のようなものです。
「金剛石を、誰かがいきなりひっくりかえして、ばら撒いたという風に」
「月長石ででも刻まれたような、すばらしい紫のりんどうの花」
「金剛石や草の露やあらゆる立派さをあつめたような、きらびやかな銀河の河床」
「水晶細工のように見える銀杏の木」
「真珠のような実」
「日光を吸った金剛石のように露がいっぱいについて」
「ルビーよりも赤くすきとおりリチウムよりもうつくしく酔ったようになってその火は燃えている」
それに対して、宝石そのものが登場するのは、以下の2か所ないし3か所のみです。
「あまの川のまん中に、黒い大きな建物が四棟ばかり立って、その一つの平屋根の上に、眼もさめるような、青宝玉(サファイア)と黄玉(トパース)の大きな二つのすきとおった球が、輪になってしずかにくるくるとまわっていました。」
印象的な「アルビレオ観測所」の描写。
はくちょう座のくちばしに当たるのが二重星のアルビレオで、望遠鏡でのぞいた時のオレンジと青の美しい対比で知られます。
「河原の礫(こいし)は、みんなすきとおって、たしかに水晶や黄玉(トパース)や、またくしゃくしゃの皺曲(しゅうきょく)をあらわしたのや、また稜(かど)から霧のような青白い光を出す鋼玉やらでした。」
透明で涼やかな、銀河のほとりの光景。
「鋼玉」(コランダム)というのは酸化アルミニウムを主とする鉱物で、鉱物学的にはルビーやサファイヤもコランダムの仲間です。ここでは「青白い光を出す」とあるので、明らかにサファイヤのこと。もちろん賢治もそのことは承知で、ただ文字と音の印象から、ここでは「鋼玉」を使いたかったのでしょう。
なお、上記の2か所以外で探すと、「水晶の数珠」という表現が出てきますが、これは天上世界の超現実的な美を表現しているわけではなくて、現実世界にも存在するモノなので、ちょっと性格が違うかもしれません。
★
結局、作品中に宝石として登場するのは、サファイヤ、トパーズ、水晶の3種類のみです。時計屋の店先には色々な宝石が並んでいたはずですが、ジョバンニに深く印象されたものとして、この3種の宝石は外せないところです。
そして、この3種をメインに、銀河鉄道の世界のイメージを喚起する存在として、比喩的に登場した他の宝石も取り混ぜて、これらを青いガラス盤に乗せてぐるぐる回してやれば、一応所期の目的は達成されたことになります。
ただ、それを実現するには相当な資金力が必要で、私にはそれが欠けています。
万やむを得ず、ここでは若き日の賢治さんの情熱に応えて、合成宝石を用意してみました。これならばぐっと経済的です。
ベルヌイ法や熱水法で作られた人工結晶の美。
サファイヤ、ルビー、トパーズ、エメラルド、そして金剛石を欺くジルコニア。あとは月長石とか水晶とか、これらは宝石というよりも「貴石」のたぐいかもしれませんが、そんなものを散りばめたら、まずは上出来。
★
さて、以上はある意味「公式見解」です。
作品に出てくる宝石のターンテーブルとして、私は現時点では上のようなものを思い浮かべますが、実は最初にこの文を読んだときには、まったく別のものを想像していました。それはオーラリーです。
青いガラスの上を、色とりどりの宝石でできた惑星がすべるように回るオーラリー。このイメージは今でも個人的に気に入っていて、時計屋の店先を再現するとしたら、むしろこの案を採用するかもしれません。
何といっても、そうすれば星関連のアイテムで場面に統一感が生まれますし、それにオーラリーの製作は、歴史的に時計職人の領分でしたから。
話を妙に引っ張りますが、これについてもう少し書いてみます。
(この項つづく)
足穂の里へ(9)…番外編・天文科学館(後編) ― 2011年09月16日 05時48分24秒
子どもたちに人気の手回しオーラリー…と書きたいところですが、たいていの子どもはグルグルとハンドルを2、3回まわしただけで、ダーッと次の展示に走っていきます。惑星の公転は、あまり子どもたちの興味を引く対象ではないようです。
(「オーラリーについて講じる哲学者」 ジョゼフ・ライト画 油彩 1766年頃.
出典:http://en.wikipedia.org/wiki/File:Wright_of_Derby,_The_Orrery.jpg)
出典:http://en.wikipedia.org/wiki/File:Wright_of_Derby,_The_Orrery.jpg)
かつては、大人も子どももオーラリーに夢中という時代もあったのに、現代人には、当時の人々の心境を想像するだけでも一苦労。まあ、人間の視野の広がりを喜ぶべきかもしれませんが、現代の科学館の担当者の苦労も多とせねばなりません。
昔の北京天文台に置かれた(今もあるはず)渾天儀のミニチュア。
(以前、コメント欄で渾天儀の模型があったら欲しいという声があったのを思い出しました。たぶん、中国現地に行けば、類似の品が土産物として売られているのではないでしょうか。)
かつて記事(http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/11/18/4703549)にしてから、2年目にしてついに対面した、カール・ツァイス・イエナ製のプラネタリウム。
現役としては国内最古、世界でも5本の指に入るという古参兵の雄姿と、「にっぽんの伝統話芸」とも呼ぶべき生解説の魅力を、心ゆくまで堪能してきました。
現役としては国内最古、世界でも5本の指に入るという古参兵の雄姿と、「にっぽんの伝統話芸」とも呼ぶべき生解説の魅力を、心ゆくまで堪能してきました。
★
以下、おまけ。
天文科学館のお土産のポップアップカード。(100円也)
天文科学館のリーフレットより。これぞ日本のローズライン。明石には東経135度を示すモニュメントがいろいろあります。
天文科学館に行く前に、付近をぶらぶらしている時に見つけた、国道沿いの標柱(昭和8年=1933年建立)。現在は鞘状の覆いですっぽり覆われて、ちょっと窮屈そうです。

(天文町のバス停)
この辺は前述のように寺社も天文尽くしですし、おまけに「天文町」という町名までできています。天文趣味の徒にとっては端倪すべからざるエリアです。
この辺は前述のように寺社も天文尽くしですし、おまけに「天文町」という町名までできています。天文趣味の徒にとっては端倪すべからざるエリアです。

天文町1丁目1番地に暮らすなんて、なんだか素敵じゃないでしょうか?
(この項つづく。次回は明石最後の目的地、無量光寺を目指します)
真・天文古玩…スウェーデンに住む驚異のコレクター ― 2011年05月27日 21時15分12秒
例の仕事は全然片付きませんが、気分転換に記事を書いてみます。
このブログは「天文古玩」を看板にかかげているものの、これはいわば羊頭狗肉の類で、世の中には、本当に天文古玩の名にふさわしい場所や人が、他にいろいろと存在しています。
たとえば、スウェーデンのThomas Sandberg(トマス・サンドベリ)さんの驚きのサイト。
「スウェーデンと驚異科学の世界へようこそ!
私は、主に科学の歴史と、19世紀に関連した品に興味を持っています。
私たち夫婦は、ともに珍奇なものや非凡なものに惹かれており、
そのことは以下の各項目をご覧いただければお分かりでしょう。
私たちのコレクションの一部を展示した、この小旅行を
皆さんが楽しんでいただければ幸いです。」 (トップページのサイト紹介文より)
サンドベリさんの蒐集は、オーラリーや天文古書といった天文系のモノに加えて、光学応用玩具(optical toys)や、解剖モノ、オカルト関係、吸血鬼グッズなど、まさにヴンダーな品揃えで、見ているだけで子供のようにワクワクしてきます。しかも量だけでなく、質の方もすばらしい。いずれも保存状態の良い美品ぞろいで、きっとお値段の方もすばらしいに違いありません。
このサイトを知ってから、私もマネをして同じ(と言っても、保存状態は今イチの)古書を買ってみたり、あるいは、サンドベリさんから直接モノを購入させてもらったこともありますが、スケールの違いは明々白々。まあ、目標とするには余りにも険峻な存在ですけれども、こういう人を知るにつけ、天文古玩の世界の奥深さをしみじみと感じます。
それに、サンドベリさんは、「モノとしての天文古書」の魅力を説いて止まぬ人であり、しかも「学問的な著作よりも、通俗天文学(Popular Astronomy)の本こそ、自分の関心の的だ!」と公言する、私が知る限りでは唯一の人なので、その点でも頼もしい先達として、勝手に私淑しているような次第です。
皆さんも、是非そのコレクションの凄さを味わってみて下さい。
魅惑のペーパー・オーラリー ― 2011年05月08日 06時15分02秒
さて、シリーズの合間に、また番外編をはさみます。
今日はプラスチックではなく、紙製オーラリーの紹介です。
残念ながら、この品は自分の手元にないのですが、前から気になっていたので、このタイミングで載せることにします。
今日はプラスチックではなく、紙製オーラリーの紹介です。
残念ながら、この品は自分の手元にないのですが、前から気になっていたので、このタイミングで載せることにします。
どうですか、このデザイン。素材は厚紙ですが、なかなか重厚な雰囲気です。
惑星は木球で、組立キットに入っているのは無地なので、自分でペイントする必要(or 楽しみ)があります。メカに関しては、さすがに「歯車」は無理なので、ゴム紐で滑車を回す仕組みを採用しています。中央の太陽がちゃんとLEDで点灯するのも楽しいですね。サイズは高さ29センチ。
まあ、見かけは立派でも、やっぱり紙は紙なので、どれだけ耐久性があるかは分かりませんが、でもこれは、「オーラリーを自分の手で作る」ところに醍醐味があるんじゃないでしょうか。「大人の科学」を愛読する、クラフト派の人にお勧めしたいです。
(メーカーの説明によると、このオーラリーの組立所要時間は20~30時間。かなり作り甲斐がありそうです。)
肝心の商品情報ですが、製造元はSunwatch Verlag というドイツの会社。
日本に代理店があるのか不明ですが(探したけれど見つかりませんでした)、とりあえず日本に発送してくれるオンラインショップを見つけました。
肝心の商品情報ですが、製造元はSunwatch Verlag というドイツの会社。
日本に代理店があるのか不明ですが(探したけれど見つかりませんでした)、とりあえず日本に発送してくれるオンラインショップを見つけました。
■Astroshop.eu http://www.astroshop.eu/
小売価格は31.9ユーロ(約3700円)で、紙工作としては若干高めです。
気になる送料は、いちばん安い方法を選んでんも、36.9ユーロ(約4300円)で、これ単品で注文すると全然割に合いません。ですから、他の品といっしょに送ってもらうのが良さそうです。
気になる送料は、いちばん安い方法を選んでんも、36.9ユーロ(約4300円)で、これ単品で注文すると全然割に合いません。ですから、他の品といっしょに送ってもらうのが良さそうです。
幸いというか、Astroshopには、他にもSunwatch Verlag の製品が並んでいるんですが、いずれもドイツ版「大人の科学」的な渋い品で、なかなかそそられます。
例えば、多面体を組み合わせたケプラーの宇宙モデルとか、アンティークデザインの星座早見盤とか、ガリレオが使った望遠鏡のレプリカとか。(最後のは本家・「大人の科学」にもありましたが、それよりも装飾性の高い仕上がりです)。
夏休みにはまだ間がありますが、のんびり紙工作を楽しみながら、冷えたビールなんていうのも、震災疲れを癒すには良いのではないでしょうか。
天文古玩・再考(9)…オーラリーと天球儀(3) ― 2011年05月06日 17時08分08秒
このシリーズはけっこうしんどいです。
というのも、かなり無理をして書いているからです。
というのも、かなり無理をして書いているからです。
たしか望遠鏡の記事を書いたときに、「鶏口牛後」とか「本物志向」とか、強く出たわりに、オーラリーと天球儀については、本物の古玩が登場する可能性は限りなくゼロに近いです。それぐらい、壁の厚い世界です。再三お金のことを言って恐縮ですが、「古いものは高い」という、非常にシンプルな世界なので、その中でいったい何をどう再考すればいいのか、若干戸惑いがあります。
しかし、落ち着いて考えてみれば、私が直面している問題は、我が国の(←なんだか話が大きいですね)平均的趣味人が等しく抱えている問題であり、そうした限られた資力の中で可能なことは何か?を書くことには、それなりに意味があるかもしれません。
★
ところでお金のからむ話として、1つの情報をお伝えします。
以前記事にしたデアゴスティーニのオーラリー(http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/01/16/4061703)、あれが新品として叩き売りされているという、購入をためらっていた方には朗報ですが、正規の価格で購入された方にとっては、かなり衝撃的なニュース。
それはeBayでのことで、問題のページは以下。
http://cgi.ebay.com/Planetarium-Brass-Orrery-Solar-System-Model-Trippensee-/170634995174?pt=LH_DefaultDomain_0&hash=item27baa365e6
まさにデアゴのオーラリーそのものです。それが今なら399ドル。送料が109ドルと大分かさみますが、それでも合計約500ドルですから、ちょうどデアゴの半額です。電圧はちゃんと日本向けに調整してくれるそうで、その組み立て済みの新品が上記の価格。
いったい何が起こっているのが一瞬分かりませんでした。
でも、売り手の所在地を見て納得しました。この品は中国の深セン市(センは土偏に川)が発送元になっています。要は、デアゴのオーラリーの製造を請け負った中国メーカーが、そのまま独自に製造を続けて(権利関係がどうなっているかは不明)、安売り攻勢をかけている…のではないかと思います。
なんとも商魂たくましいというか、でもこれで利益が出るのですから、デアゴも結構マージンを取っていたんだなあ…と思わなくもありません。
私自身は購入の予定はありませんが、発売当時、「半額なら買う」と言っていた人が結構いた記憶があるので、とりあえず判断の材料に供したいと思います。
ちなみに、その後デアゴから出た「三球儀タイプ」も、439ドル+送料109ドルで販売しているそうです(これもちょっと気になりますね)。

(↑売主さんによる写真を寸借。商品のページは以下。http://cgi.ebay.com/Planetarium-Orrery-Solar-System-Model-Sun-Earth-Moon-/170635031292?pt=LH_DefaultDomain_0&hash=item27baa3f2fc)
それにしても、いずれこの会社から買った人が、中古で再出品したら、それこそ価格破壊でしょうね。。。
【付記】
スチームパンク大百科(by 麻理様)の記事を読むと、元々イギリスでの売価は日本の半額だったそうで、そうなると「叩き売り」というほどでもないですね。
正規版がドル建てでいくらだったか不明ですが、イギリスの例だと、正規版は307ポンド(約4万円)、そして上の中国版は、イギリスのeBayにも出品していて、そちらは現在243ポンド(約3万2千円)、つまり正規版の2割引きです。
もともと日本の価格が高過ぎたのかも…。
PLANETICA…プラスチックの太陽系 ― 2011年05月04日 20時21分31秒
連休も中盤ですね。
さて、今日も番外編。オーラリーの話のついでに、ちょっと便利な品を載せます。
さて、今日も番外編。オーラリーの話のついでに、ちょっと便利な品を載せます。
任意の時点の惑星の位置を手軽に調べることができる小道具、「プラネティカ」。
フランスで生まれた、現代の手動式オーラリーです。直径は14cm。
この品、いざ写真を撮ろうと思うと、光が映り込んで、撮影が難しいです。
というのも、どら焼きというか、シンバルというか、表面の形状が独特のカーブを描いているからです。
↑裏側もどら焼き状態。据わりが悪いことこの上ないですが、これがフランスの造形感覚なんでしょうか。
★
使い方は簡単です。
まず外枠(透明カバー)を回して、年月日をセットします。すると、それに連動して惑星がその日のポジションに移動します。内部では沢山歯車が回っているのでしょうが、それはすべてブラックボックス化していて、外からは見えません(スケルトン版がほしい…)。
残念ながら、実際に動くのは天王星までです。海王星と冥王星(発売当時はまだ惑星でした)は、あらかじめプリントされたドットを見て、その位置を判断します。
次に地球をはめ込んだ円盤を回して、時刻をセットします。それによって、同時に東西南北の方向も定まります。自分の体の向きをそれに合わせれば、今惑星がどちらの方向に見えるかが分かる仕組みです。
ためしに、今日の惑星の位置を表示してみました↓
太陽を間において、お行儀よく列を作っています。
念のため、先日の「電脳惑星儀」と比べてみると(向きを揃えるため180度回転)↓
いちばん外側の海王星が列を乱しているので、「惑星直列」とはいきませんが、確かに同じ配置(当り前か…)。
底部のボタンを押すと、中央の太陽(LED)が点灯します。
全体にとてもよく出来ていますが、構造的限界のため、表示できるのが1970年~2049年に限定されるのが玉に瑕。
★
この品、今でもいろんなところで通販していますが、結構店によって値段が違うようです。購入される場合は、買う店を選んだほうが良いですね。
天文古玩・再考(8)…オーラリーと天球儀(2) ― 2011年05月02日 20時28分05秒
オーラリー基礎講座をひとくさり。
そもそもオーラリーとは何ぞや?ということなんですが、一昨日の記事にあるように、オーラリーというのは貴族の名前、すなわち第4代オーラリー伯チャールズ・ボイル(1676-1728)に由来し、彼が、ジョン・ローリー作の太陽系を模したカラクリ装置を所有していたことにちなむものと言われます。
そもそもオーラリーとは何ぞや?ということなんですが、一昨日の記事にあるように、オーラリーというのは貴族の名前、すなわち第4代オーラリー伯チャールズ・ボイル(1676-1728)に由来し、彼が、ジョン・ローリー作の太陽系を模したカラクリ装置を所有していたことにちなむものと言われます。
ジョン・ローリー(1665頃-1728)は、ロンドンの科学機器製造メーカー。サンダーソンさんは、オーラリー誕生の年を、1712年としていましたが、こういうことの常で、その辺の経緯はちょっと曖昧です。
はっきりしたところでは、1713年にリチャード・スティール卿という人が、「ザ・イングリッシュマン(新聞名)」紙上で、ローリーの作った機械と、ローリーがこれをオーラリーと呼んだ事実を記事にしており、これが装置としての「オーラリー」という語の初出のようです。そして、装置自体は前年にできていたらしいので、そこから1712年という年次が導かれるのですが、いずれにしても、来年か再来年が「オーラリー誕生300周年」ということになります。イギリスあたりでは、何か記念の催しがあるかもしれません。
上のことは、この方面の基礎文献である、Henry C.King の 『Geared to the Stars』(University of Tronto Press, 1978)に書かれていることの受け売りですが、キングはさらにオーラリーの定義について、次のように書いています(p.154、適当訳+適宜改行)。
★
「1713年以降、『オーラリー』という単語は、太陽系を表すさまざまな機械模型に対して用いられるようになった。
ただし厳密に言えば、既に見たように、軌道を回る地球(earth-ball)が、常に平行を保つ軸を中心に日周運動を行い、かつその周囲を月球が回る装置だけを、その名称で呼ぶべきであろう。もし月球が欠けていたら、それは『テルリアンtellurian』〔地動儀、の意〕であるし、もし月球部が主役(dominant)なら、その装置は『ルナリウムlunarium』〔月動儀、の意〕である。
結果的に、『オーラリー』という語は、地球と月の様子を示す装置を指すことが多かったとはいえ、必ずしも地球を回転させたり、月を動かしたりする機械装置を備えているとは限らなかった。さらに、地球以外の惑星の公転を示す装置についても『オーラリー』の語が用いられるようになった(その中には惑星の自転を表現したものも、そうでないものもあった)。
もし、その装置が、惑星の公転だけを表現して、(ホイヘンスの作った装置のように)地球の自転を無視していたら、それは『プラネタリウム』〔惑星儀、の意〕と呼ばれるのが常だった。本書の以降のページでは、可能な限りこうした厳密な呼称を使うことにしよう。」
★
要するに、一昨日のトリッペンシー社の製品のような、いわゆる「三球儀」こそが、厳密な意味でのオーラリーだというのですが、この辺はもうハッキリ言ってゴチャゴチャです。
現在、アンティーク市場で「テルリアン」(あるいはテルリウム)の名で売られているのは、ほとんどが月球の付属する三球儀式のものなので、キングの用語法からいえば、ちょっとおかしいことになりますが、もう今さらどうしようもありません。
そして、オーラリーはと言えば、現在ではデアゴスティーニのオーラリーのように(→ http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/01/16/4061703 )、たくさんの惑星がにぎにぎしく回るモデルをもっぱら指すことが多い印象を受けます。
結局、キングが言うように「月があるかないか」「地球が自転するかどうか」といった、原理・原則的な部分よりも、地球が円盤上を回るのがオーラリー、長いアームの先に地球がくっついていてアームごと回るのがテルリアンだという風に、パッと見の外形的違いによって区別しているのが、実態かもしれません。(ただし、後者のタイプでも、内惑星や外惑星がおまけに付いていると、「プラネタリウム」と呼ばれたりします。)
昔のクリスティーズのカタログ(※)から、その実例を挙げるので、名称を当ててみてください。なお、呼び方はカタログに記載されている通りのものです。
(※)Globes and Planetaria (South Kensington, 1999年11月24日)
左)プラネタリウム
右)テルリウム(キングにならえばオーラリーでしょうが、今ではこのタイプを普通テルリアン、あるいはテルリウムと呼んでいます。)
右)テルリウム(キングにならえばオーラリーでしょうが、今ではこのタイプを普通テルリアン、あるいはテルリウムと呼んでいます。)
オーラリー(地球と月と太陽しかない、元祖オーラリー。ジョン・ローリーが最初に作ったのもこれに似ています。)
プラネタリウム
オーラリー(太陽がランプで表現されています。これも三球儀タイプのオーラリー)
テルリウム
どうでしょう、当たりましたか?
でも、これはあくまでもクリスティーズの用語法で、他の業者はまた違った呼び方をするかもしれず、結局なんだかよく分かりません。それに、英語圏の外に出れば、きっと違った分類・用語法があるはずなので、もうあまり細かいことを気にせず、全部ひっくるめて、「惑星装置planetary machines」と呼んでいいのかもしれません。
(この項つづく)
【おまけ】 ちなみに、上に掲げたクリスティーズの売り立て品の評価額は、いちばん安いのが300~500ポンド(現在のレートで4~7万円)、高い方が2000~3000ポンド(同27~40万円)になっています。今だともうちょっと値が張るかもしれませんが、それにしても大型テレビを買うことを考えれば…とも思います。まあ、この辺はかなり価値観が入るでしょうね。
天文古玩・再考(7)…オーラリーと天球儀(1) ― 2011年04月30日 20時29分41秒
例によって、サンダーソンさんのコラムを再掲。
(元記事はこちら。http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/01/29/230488)
(元記事はこちら。http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/01/29/230488)
★
「何世紀にもわたって、学校ではオーラリーと天球儀が、宇宙について生徒達に教えるのに使われてきた。オーラリーとは、太陽と地球と月―他の惑星を含むこともある―の動く模型であり、操作者がハンドルを回すことによって、地球が回転しながら太陽の周りを回る様子を示すことができる。この装置の名は、第4代オーラリー伯チャールズ・ボイルちなむもので、彼はジョン・ローリーが1712年に彼のために作った太陽系の機械モデルを所有していた。
オーラリーを使うことで、地球と月の動きを示したり、月の満ち欠けや日食、それに季節の変化を説明したりすることができる。オーラリーは今でもTrippensee社(ニューヨーク州バッファロー)で製作されており、これは全ての理科室が備えてしかるべきものである。
天球儀は19世紀において一般的な教具であったが、その現代版はSky Publishing社から購入することができる。天球儀では、地球が天球儀の内部にあり、見る人は宇宙の外に立って、星の配列を背後から見ているかのように、ふつう星座が裏返しに描かれている。18~19世紀の天球儀やオーラリーは非常に稀であり、それこそ天文学的値段で売られているが、20世紀前半のものであれば、いくらかリーズナブルな価格である。」
★
オーラリーと天球儀。
望遠鏡と並んで、これまたクラシックな天文趣味には欠かせない名脇役ですが、しかし望遠鏡と同様、このブログで取り上げるには、いずれも微妙なテーマです。何と言っても、アンティークの品となれば、サンダーソンさん曰く「天文学的値段」だというのですから、なかなか気軽に手元に置くことは難しい。
むう…と悩みながらも、ここは氏のアドバイスに従って、まずはトリッペンシー社のオーラリー(日本風にいえば三球儀)から入門することにします。
これは20世紀初頭の発売以来、モデルチェンジを繰り返しながら、アメリカ中で大売れした商品らしく、オークションでも常連なので、見つけるのは簡単です。
トリッペンシー社は、もともとミシガンが本拠地でしたが、1999年に理科教材販売を手がける Science First 社(ニューヨーク)に身売りして、今は同社がトリッペンシー・ブランドで製造を続けています。
現行モデルは電気で太陽が光りますが、これはそれ以前のもので、本体はまだベークライトを使っています。時代的には1950~60年代と思います。
↑台座部分のアップ。
アームを回して地球を公転させると、チェーンとギアによって、地球がクルクル自転し、同時に月も公転を始めます。見ていていちばん面白い部分ですが、現行モデルはメンテナンス・フリーを意図しているのか、この機械部分がすべてプラスチックのケースに収められ、ブラックボックス化しています。でも、これは歯車の動きが見えないと魅力半減ではないでしょうか。
↑下から見上げた機械部分。
★
サンダーソンさんは、「これは全ての理科室が備えてしかるべきもの」と書いていますが、同時に「全ての‘理科室風書斎’も備えてしかるべきもの」だと思います。
(この項つづく)










































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