1910 ― 2026年03月16日 22時15分54秒
ひどく分りやすい絵葉書です。
一見して、1910年を記念するニューイヤーカードとすぐ分かります。
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1910年はハレー彗星の年でした。
その近日点通過は4月20日で、さらに1か月後には地球に最接近し、その壮麗な、あるいは畏怖すべき姿を人々の目に焼き付たのです。(最接近時の距離は0.15AUといいますから、月までの距離の約60倍、火星最接近時の距離の半分弱です。遠いといえば遠いですが、この広い宇宙の中では、たしかにかなりの接近です。)
この年のハレー彗星は、「彗星騒動」の面が強調して伝えられがちですが、パニックになったのはごく一部の人で、大多数の人は「ふーん、彗星ねえ…」ぐらいの感じだったんじゃないでしょうか。当時の新聞では、彗星よりも国際紛争や景気の話題の方が大きな扱いだったことはもちろんです。
この絵葉書はハレー彗星がくる前年、1909年に作られたもので、例によってドイツ製。その繊細なクロモリトグラフと、金のエンボス加工に、ドイツ製絵葉書の黄金時代が偲ばれますが、ここでもハレー彗星は「怖いもの」というより、ひたすら「愛すべきもの」とイメージされていることが分かります。
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この絵葉書は以前、1910年のハレー彗星グッズのコレクター氏(ひどくニッチなコレクターですね)の本で見た記憶がありました。
著者の Roberta Etter と Stuart Shneider の両氏は、表紙ばかりでなくタイトルページにもこの絵葉書を登場させているので、かなり思い入れがあったのでしょう。
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絵葉書の裏面を見ると、消印は1909年12月30日付けで、あて先はシカゴに住む「Master Victor Herman」です。「マスター・ヴィクター・ハーマン」と聞いて、私は最初立派な髯の紳士を想像しましたが、AIによれば、「Master」というのは、「Mr.」未満の子どもに使う尊称で、「ヴィクター・ハーマン坊ちゃんへ」といった意味合いだそうです。髯を生やすのはもうちょっと先のようですね。





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