月街星物園2026年02月11日 13時41分14秒



イラストレーター、まりの・るうにいさんの『月街星物園(つきまちせいぶつえん)』(北宋社、1979)は、るうにいさん初の画文集です。その成立事情は、「あとがき」にこう記されています。

「古本屋をぐるりぐるりとまわっているうちにみつけたのが、星の散りばめられた青い表紙の本、稲垣足穂著『宇宙論入門』でした。読み終わってすぐに描きあげたのが、「『青い花』の断片」です。それ以来ルフランのパステルでタルホ・コスモスの飾画があっという間に二百枚ほどできあがり、そのなかから三十数枚の作品を選びだしまとめられたのがこの画文集です。」

(タイトルページ。ブック・デザインは羽良多平吉(はらたへいきち))

上の文章の後に続けて、「ここに収録した作品は主に一九七三・四年までのものが中心です」ともあるので、るうにいさんと足穂の出会いは1970年代初頭のことと想像します。

1970年代以降、るうにいさんは絵筆で、パートナーの松岡正剛さんはペンで、足穂の魅力を存分に描き、足穂ブームの牽引役を果たされました。この『月街星物園』も、1977年に没した足穂に捧げる玲瓏とした花束だと感じます。

(土星酒場)

足穂との出会い…というと、多くの人が挙げるのは『一千一秒物語』でしょう。
るうにいさんも、もちろん同書に親炙されたはずですが、「タルホ画」制作のきっかけとなったのは、あくまでも『宇宙論入門』でした。何かそこに意味があるような気がして、私も「星の散りばめられた青い表紙」の『宇宙論入門』を取り寄せることにしました(1947年に新英社から出た初版です)。届いたら、それを眺めながら、るうにいさんにとってのタルホイメージを、今一度考えてみようと思います。

(ウェルズ氏の最後のラッパ)

   ★

ところで、『月街星物園』には、ここで紹介したオリジナル版のほか、2014年にLIBRAIRIE6(シス書店)から出た再版もあります。

(手前が再版。判型がひと回り小さくなりました)

ただし、「再版」といっても、その内容はかなり異なります。
画文集の「文」の方は6篇のエッセイで変わりませんが、「画」の方はオリジナル版がカラー8点、モノクロ22点の計30点を収めるのに対して、再版はカラー12点のみです。

参考として、両者の収録作品一覧を挙げておきます。

(薄青の網掛けが両者で共通する作品)

ご覧の通り、オリジナルと再版で共通するのは7点のみです。
したがって、るうにいファンや足穂ファンは、これは両方入手して然るべきで、そうしても決して無駄にはなりません。