瞳の中の天の川 ― 2025年08月27日 05時40分35秒
今日も七夕の絵葉書の話題です。
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天の川を描かずに天の川を表現する。
…果たしてそんなことが可能でしょうか?
石渡風古(いしわた・ふうこ、1891-1961)作、「天の川」。
現在の日展の前身、「帝展」の第11回(1929/昭和4)出品作です。
この絵葉書を見たとき、「ああ、やられたなあ」と思いました。
ご覧のとおり、七夕飾りをした商家の前に立つ2人の若い女性を描いた絵で、ここには天の川はもちろん、一片の空すら描かれていませんが、それでもこの二人の視線の先に、我々はたしかに銀の砂をまいた天の川の姿を「見る」ことができます。
絵画作品としての評価は、また自ずとあると思います。
しかし、この絵を「天の川」と題した作者の機知は大いに評価したいところです。
なお、ネット情報によると、作者の石渡風古は川合玉堂に師事し、大正~昭和初期に文展・帝展で活躍した日本画家で、人物画を得意とした由。



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