老いの思案 ― 2024年04月25日 19時02分03秒
こないだ「博物蒐集家の応接間」にお邪魔した際、「何せ円安だし、送料は爆上がりだし、それに現地物価の高騰という三重苦」…といったことを、会場でしんみり話したと書きました。
私事ながら、今年度からはさらに役職定年に伴う給与カットも加わり、実質収入が半減、これは上の3つを足したよりも、さらに大きな影響を私に及ぼしています。もちろん世代間の公平性確保は喫緊の課題ですから、単に愚痴をこぼすだけではいけないのですが、「もう大きなモノは買えんなあ…」というのは、寂しいことには違いありません。
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モノの値上がりと収入の減少。
買い物が困難になる原因として、これらはよく分かります。でも、さっき懐手をしながら考えていて、自分がもう1つ別の困難に直面していることに気が付きました。
(AIが思い描く老コレクターのイメージ)
例えば奮発をして、50万円の天文アンティークをドンと買ったとします(私の手元にそんな品はありませんが、仮にの話です)。買ったのが30歳のときで、80歳まで大切にしたとしたら、50万円で50年間愉しめるわけです。すなわち年額1万円。
でも同じ品を60歳のときに買ったら、愉しめる期間は20年間ですから、年額にすると2万5千円で、コストパフォーマンスはだいぶ悪くなります。趣味の話にコスパを持ち出すのは不粋ですが、そんなことが頭にちらつけば、「残りの人生も少ないし、無理をするのはやめようか…」ということに、どうしてもなるでしょう。
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上のことを裏返せば、若い時の買い物はそれだけコスパがいいわけです。
そして、若い時から経験を積めば、それだけ目も肥え、知識も増え、趣味の階梯を上がっていくことで、その後の人生はいよいよ豊かなものになるんじゃないでしょうか。
まあ、何をもって豊かな人生というかは人それぞれだし、上に書いたことは多分に自己弁護の色彩があるので、ちょっと眉につばをつけてお読みいただきたいですが、若い方に「世の中にはこんな考え方もある」と伝われば望外の幸せ…とかなんとか。
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