賢治とサイダーと銀河鉄道2009年06月22日 20時56分06秒


うっとうしい天気が続きますね。
今日はスカッとした絵柄を載せます。

写真は2008年6月に販売されたe-センスCard。
「e-センスCard」とは、あまりセンスの良くないネーミングですが、要は企業と日本郵便がタイアップして発行した、絵入り官製葉書のことらしいです。

この葉書は、三ツ矢サイダー(昔の平野水)の125周年を記念して売り出されたもの。モチーフは、いずれもサイダー好きだった賢治と漱石で、デザインは(言わずもがなの)和田誠氏。「線が命」の和田氏ですが、そのクールで温かい線が、ここでは賢治のイメージによく合っているように思います。

心にまで黴が生えそうな気鬱な夜、降り注ぐ雨粒を星の光に見立てて、遥かな銀河鉄道を幻視するのも良いかもしれませんね。

   ★

さて、以下は余談メモ(なんだか余談が多いですね)。

「賢治の好物は天ぷらそばと三ツ矢サイダー」という話が人口に膾炙(?)していますが、今ネットを走り読みしたところでは、これは彼が稗貫農学校(途中から花巻農学校)の教師を勤めた、大正10年代のエピソードのようです。賢治自身が書き残したものはなくて、彼の親戚筋で、彼と親しかった歌人の関登久也(徳弥)氏の回想記がソースの模様。(氏は戦後、『賢治随聞』、『宮沢賢治物語』、『宮沢賢治素描』など一連の著作をものしており、その中に出てくる話のようです。)

コメント

_ S.U ― 2009年06月22日 22時59分54秒

はたして、賢治の時代の三ツ矢サイダーと今の三ツ矢サイダーは同じ味なのでしょうか。
昔のお菓子やビールの「復刻版」の宣伝を見ていつも思うことですが、昔と同じ「味」かどうかは、確かめる手段が全くなくて、メーカーさんにも手も足も出ないと思います。レシピが残っていても材料が違うでしょう。
 さらに言えば、自分が子供の頃に飲んだ三ツ矢サイダーですら、今の三ツ矢サイダーと同じ味かどうか、私が今飲んでもサッパリわかりません。「味」の情報を維持することは恐ろしく困難なことだと思います。

_ shigeyuki ― 2009年06月22日 23時33分19秒

サイダーと宮沢賢治は、確かに合う気がしますね。イメージ的にも。
そう、S.Uさんのおっしゃるとおり、僕もよくビールの「復刻版」を飲んだ時など、そう思いますね。でも、こんなの、本当に確かめようもないんですよね。あ、あと、「昔の食べ物を再現しました」というやつも、もっとそう思いますね。

_ 玉青 ― 2009年06月23日 19時57分44秒

○S.Uさま&shigeyukiさま

そうですねえ…仮に物理的・化学的に100%同じだとしても、100年前の人と今の人では、口にしたときの感じ方が違う(たぶん違うでしょう)というのが、難しいところですね。「味」というのは、詮ずるところ「心理的経験」ですから。

子どもの時に口にした「泡立つ琥珀色の液体」は、今のそれと成分は大差ないはずですが、味わいの方はだいぶ違いますしね(笑)。

_ mistletoe ― 2009年06月24日 16時43分53秒

大阪の焼却所コメントに夢中になっていてコチラの
コメント失念していました;
サイダーってステキな飲み物ですよね。
確かに賢治とのイメージに繋がりますね。
和田誠さんのイラスト和みます。ステキ☆

_ 玉青 ― 2009年06月24日 21時22分09秒

サイダーは透明な液体の中に、無数の泡が生まれては消えていくさまがいいですね。耳を澄ますとシュワシュワとかすかな音がするのもいいです。
私はカルピスも好きなんですが、カルピスはコップの中で氷がカランカランと涼しげな音をたてるところが昔から好きです。

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