円錐、彗星、光の都(後編)2013年10月27日 08時53分44秒

足穂氏が幻想した、巨大な円錐の頂点に存在する霊妙不可思議な都市。

「これより前に、パナマ太平洋万国大博覧会の夜景の絵葉書を知っていた。それは会場で呼物の宝玉塔から五彩のサーチライトが、夜空を蔽うて放射している原色版だった。これを「ポン彗星の都」の見本にしようと考えた。(「私の宇宙文学」)


ここで足穂氏が言及しているのは、1915年、サンフランシスコで開かれた「Panama-Pacific International Exposition」のことであり、宝玉塔とは上の「Tower of Jewels」のこと。それにしてもビジュアル的にすごい絵葉書ですね。


こちらも同じ対象を捉えた絵葉書。
上の絵葉書に比べてインパクトは弱いですが、虚空を思わせる闇の中に白々と浮かぶパビリオン群は、いっそう美しく、幻想的です。
足穂氏の脳裏に宿ったのは、あるいはこちらのイメージだったかもしれません。