大きな水色の天球儀2013年11月22日 20時48分19秒

唐突に天球儀の登場です。
我が家でいちばん大きな天球儀(全体の高さは約60cm)。


木製の架台に載った姿は、なかなか堂々としています。
フランスで作られたもので、星座の名前もすべてフランス語(星座の名前はラテン語表示が正式という通念があるので、これは必ずしも当たり前のことではありません)。


星座の境界が曲線で描かれていることから、国際天文学連合(IAU)が星座の境界を確定した、1928年以前の品であることが分かります。おそらくは世紀の変わり目ごろのものでしょう。

天球儀の仲間には、美麗な星座絵を描き込んだものも多いですが、これは簡単な線画のみで星座を表現しています。もっぱら実用的な教育目的の品のように思われ、そのシンプルな表現と、スッキリした水色の地色が、理科室備品として至極相応しいように思います。


メーカーの Forest については、以下に記述があります。19世紀後半から20世紀前半にかけて、主に学校や一般家庭向けの球儀を販売していたメーカーのようです。
http://www.georgeglazer.com/globes/globeref/globemakers.html#forest

   ★

ここまでは大いに結構な話なんですが…
大宇宙に歴史あり。その似姿である天球儀もまた然り。
この天球儀には仄暗い歴史があって、私はいたましい思いなしにこれを眺めることができません。

喜び勇んで開梱したものの、架台が大破しているのを知ったときの衝撃。延々と続く憂鬱な補償交渉。意図したものかどうかは分かりませんが、その後露見した重大な売り手側の瑕疵(天球儀本体にも大きな補修痕が!)。
思い描いていた夢が、シュー…と音を立ててしぼんでいくのを感じました。

   ★

とはいえ、よくよく考えてみれば、ガラクタばかりの我が家に、ガラクタがもう1個増えたからと言って、今さら動揺するには及ばないのでした。
それに、天球儀自身には本来何の罪もない話ですし、人間界のいざこざを押し付けられて、天球儀もさぞ迷惑でしょう。

…と気を取り直して、この明るい水色の宇宙と、今一度向き合うことに決めました。