理科室趣味の聖地、豊郷小へ(4)2012年06月13日 20時32分36秒

さて、いよいよ理科室の肝である教材・教具の詳細を順に見ていきます。

今日は「動・植物編」の前編。
容易に予想がつくように、苦手な方には苦手であろう品が多数含まれるので、思い当たる方は用心しながらご覧ください。

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まず理科室の片隅に遺棄された、古い標本たち。


額縁が妙にデコラティブな貝類標本。貝殻拾いというのは、子供たちには至極ポピュラーな活動で、夏休みともなれば、多くの子供たちが箱に貝殻を並べたものです。しかし理科室に置くとなれば、せめて凝った額縁で差別化を図らねば、示しがつかん…と、先生は思ったのかもしれません。


うみうさぎ、かずら貝、みみがい…。
図鑑と首っぴきで行う分類作業は、博物趣味の愉しみのひとつ。
生物名をカタカナでなしに、ひらがなで書くと、なんとなく懐かしい感じがします。



ニワトリの発生順序を示す標本。
生命誕生の不思議にせまる品ですが、薄目を開けたヒヨコの姿は、子供心にもいたましく感じたものです。教科書にはヒヨコが「かわいいもの」として登場するのに、そのいっぽうで平然と殺戮して壜詰めにするなんて、教育って何だか矛盾しているなあ…と、子供は意外にそういうことに敏感です。


ニワトリのみならず、両生類も発生順序を示す標本として多用されました。
今回の訪問時、豊郷小の周辺では、蛙が盛んに鳴いていました。
オタマジャクシは蛙の子…というのは、子供たちは生活の中でよく知っていたはずですが、それを敢えて透明なガラス容器に入れて、理科室に陳列するところに「学問」は成り立つのかもしれません。ちょうど、額縁に入れて美術館に並べれば、あらゆるものが「アート」となるように。

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以下は理科準備室に残されたモノたちです。


先生のお手製らしい、色鮮やかな植物標本の棚。


中には古い標本がそのまま残されています。


これは昭和36年(1961)に作られたもの。生徒みずから採集し、押し葉にしたのでしょう。


別のひきだしには、もっと古い年代のものもあって、豊郷小では代々標本製作が続いていたことがわかります。


埃をかぶったアカウミガメ。


その隣に転がっているのもウミガメの甲羅で、昭和9年(1934)に小笠原で獲れたものであることが墨書されています。


棚には古い液浸標本の壜が並んでいます。ある意味、人体模型以上に理科室的なアイテム。もちろん理科室の怪談には欠かせません。


ここに並ぶ魚類標本は、地元で採集された主に琵琶湖水系の魚だと思いますが、琵琶湖の環境変化に伴い、中にはずいぶん貴重な種も含まれているのではないでしょうか。たとえば、写真で「マルブナ」とあるのは琵琶湖固有亜種の「ニゴロブナ」のこと。名産「鮒寿司」の原料で、昔は普通種でしたが、現在では絶滅危惧種に指定されています。


怪しげな標本が並んでいます。右端は何とパイナップルの標本。
瓶詰め標本にしたくなるぐらい、パイナップルが珍しい時代があった…そのことを雄弁に物語る資料。まあ、私の子供の頃も、パイナップルは(バナナも)貴重品で、必ず仏壇に供えてから食べていましたから、あまりパイナップルの標本を笑うことはできません。


並んでいる標本の中には、サルの胎児とか、かなりヘビーな品もあります。
今ではすっかり色が抜けて、真っ白になっているのが、美しいような、怖いような感じでした。

(動・植物編-後編-につづく)