トルーヴェロ天体画集 ― 2025年12月13日 08時27分22秒
最近の買い物から。
天体画の名手、エティエンヌ・トルーヴェロ(Étienne Léopold Trouvelot、1827-1895)による天体画を、絵葉書サイズでプリントした15枚セット。
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その名前から分かるように、トルーヴェロはもともとフランスの人で、20代でアメリカに渡り、最初は昆虫学者として世に出ようとしましたが、途中で天文学に転身し、天体画家として名を成した人です。
彼は昆虫学も天文学もアマチュアの立場でしたが、並外れた画力の持ち主だったので、最初はハーバード大学天文台に、次いでアメリカ海軍天文台にスタッフとして招かれ、あまたの天体スケッチを描きました(その後フランスに戻り、晩年はムードン天文台で働きました)。
(Étienne Léopold Trouvelot。出典:Wikipedia同人の項)
その作品の中でも最高レベルのものを15枚精選して、石版で再現したのが、『トルーヴェロ天体画集(Trouvelot’s Astronomical Drawings)』です(Charles Scribner's Sons〔NY〕、1881/ 82。各図版のサイズは約41×51cm)。
ニューヨーク・パブリックライブラリーの解説によれば【LINK】、当時おそらく300部程度が刷られ、現存する完品は4セットが知られるのみとのことです。
トルーヴェロの作品は“美術作品”ではなく、あくまでも“科学資料”でしたから、天体写真の進歩とともに、その資料的価値が失われた(と考えられた)ことで、各地の図書館もずんずん廃棄するし、マーケットに流れた分も速やかに散逸した…という事情があるようです(ニューヨーク・パブリックライブラリーと並んで、その完品を所有するカリフォルニアのハンティントン・ライブラリーの解説が、その点に触れています【LINK】)。
このスケッチ集が厳密な科学資料である証拠として、そこに詳細な解説書(『The Trouvelot astronomical drawings manual』)が付属し、観測データが明記されていることが挙げられます。このマニュアルは現在オンラインで読むことができます【LINK】。
まあ何にせよ、この石版画は今では非常な稀品で、入手困難と思います。
以前、海外の古書店で1枚だけバラで売っているのを見ましたが、それにはウン十万円もの値がついていました。したがって私にはとても手の届かない「夢の逸品」ですが、いつか実物を拝めるなら拝みたいものです。
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このカードは、トルーヴェロの名品を手にとって眺めるためにEtsyで買いました。(眺めるだけならネット上でも簡単にできますが、それだと手に取ることができません)。
まあ、公開されている画像データをインクジェットでプリントしただけの品ですから、通常の意味での「印刷」ですらないんですが、しかし発色の良い紙を使っているおかげで、見る分にはなかなか美しい仕上がりになっています。
(同じものを買われる方への注意喚起ですが、このカードは決して個袋(アクリルポケット)から出してはいけません。指ずれしてインクが剥落します。私もそれで失敗して、1枚作り直してもらいました。)
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今ではこういうプリント作品を、もったいぶって「ジクレー版画」と呼んだりする向きもあるようですが、少なくともこれは版画ではないですね(何しろ「版」がありませんから)。こういうのを「版画」とネーミングすること自体、「印刷よりも版画の方がえらい」という思い込みが、売り手にも買い手にもあることの証しでしょう。




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