ジョバンニが見た世界…天文掛図の話(8)2008年07月27日 19時48分15秒

(昨日のつづき)

賢治世界の深みを求めつつ、遂に発見した最もそそる品。

○全国教図版 『詳密大星座図』 5尺×3.6尺(約152×109cm)

説明には「中央に大星座を表わし、四隅に四季の星座、下段には流星の一例、黄道十二星座等も収録してある教授用掛図」「軸製 ¥1,200 裏打常掲用 ¥400」とあります。

組み物ではなく単品、しかも立派な軸製の大星座図です。
たぶん、星座の教育用掛図としては、最大で最も完備したものだと思います(あくまでも、たぶん、ですが)。もし空の地色が黒かったら―ぜひそうあってほしいです―、完璧に「午後の授業」に出てくる星図そのもの。

サイズが尺になっているので、あるいは戦前に版を起こした製品かとも思うのですが、版元の「全国教育図書」自体は、戦後にできた会社。本社は銀座西3丁目にあり、国会図書館の目録によると1949年~1968年まで出版を続けています。

しかし、この『詳密大星座図』。ネットでは全く情報が見つかりません。
国会図書館、Webcat(全国大学図書館横断検索)、教科書図書館(http://www.textbook-rc.or.jp/library/index.html)、東京書籍の東書文庫(http://www.tosho-bunko.jp/)等々、いろいろ探したのですが、影も形もありません。たぶん、どこかの学校にひっそり眠っているんじゃないかと思うんですが、今のところは完全に幻の星図です。

死ぬまでに一度はお目にかかりたいと思う一方、目指すものが世界のどこかに「ある」と分かっただけで十分満足な気もします。実物を見て幻滅することも、ないとはいえませんから…。