ムードン天文台の謎(後編)2013年10月31日 20時28分19秒

ムードン天文台の<謎>は、航空写真(絵葉書)を見ればただちに氷解します。


堂々たる宮殿風の建物下部は、土地の高低差を利用して建てた、いわば「地階」部分に相当するのでした。手品のタネと同じで、そうと知ってみれば「なーんだ」です。

上の写真でも分かるように、ムードン天文台には複数のドームが存在しますが、そちらの方もなかなか歴史があるようで、古絵葉書にも大きな顔をして写り込んでいます。


キャプションには、「シャトー・ド・ムードン。森に面した正面。昔は皇帝や王族の住まいだったが、1870~71年の戦争〔=普仏戦争〕の際に焼け落ち、現在は天文台となっている」と、その歴史が記されています。
この地には16世紀以来、シャトーが造営され、現存する建物は、ルイ14世の息子ルイ・ド・フランス(1661-1711)が建てたものだそうです。

かつて麗人たちが明るく舞い踊った城館も、今は暗く静まり返って、星の光を追い求める学者たちの足音とささやきだけが聞こえる…のだと想像します。

【11月1日付記】
と書いてみましたが、聞けば現在のムードンは太陽観測施設だそうですので、星の光を追い求めることはあまりなさそうです(まあ、太陽も星には違いありませんが)。