ケミカル蛍狩り2019年08月14日 19時03分00秒

蛍狩りの時期はとうに過ぎましたが、棚の隅からこんなものを見つけたので、暑中に涼を求めることにします。


幅14.5センチの箱に書かれた文字は「蛍光物質」

「昭和40年 理振法」のラベルが貼られた、半世紀余り前の理科教材です。
今も甲府盆地の中央に立つ笛南中学校が、開校と同時に購入したもので、さすがに教材としては使用に堪えないので、廃棄されたのでしょう。メーカーは内田洋行科学教材部で、「Kent」はそのブランド名。


ぱかっと開けると、中に管瓶が5本並んでいます。
この赤ん坊の人差し指ほどの、ちっちゃな瓶に紫外線を照射すると、



…といった感じで、涼やかな化学の蛍を楽しめるのですが、でも、今も元気なのは、左の2本の「有機蛍光塗料」だけです。


真ん中の瓶は「石油」で、石油が蛍光物質とは知りませんでしたが、石油は可視光線を受けて暗緑色の蛍光を発するとあります。今では完全に揮発して、石油は影も形もありません。ただコルク栓に塗られた塗料が、鮮やかな蛍光を発するばかりです。

右側の2本は「ハロゲン化物」「炭酸カルシウム」で、紫外線を浴びると、オレンジやら何やらの光を放つはずですが、今はその能力を失い、単なる“白い粉”として、紫外線LEDの光で青っぽく見えているだけです。

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50年もたてば、「蛍雪の功」も、自ずと空しくなるのもやむを得ません。
古い理科教材を前に、わが身を省みつつ、まあそんなことも含めての「涼」ですね、これは。