科学の目…科学写真帳(前編)2020年12月16日 18時36分04秒

なかなか寒いですね。昨日は初雪。

年内に雪が降るのは久しぶりな気がします。でも、今調べてみたら、この20年間で12月に初雪が降らなかったのは3回だけで(名古屋の話です)、昨シーズンが2月10日と飛び切り遅かったので、何となく早く感じただけのことです。前回の末尾で「人間の目と心は案外いい加減」と書きましたが、記憶もかなりいい加減ですね。

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昔、NHKの科学番組で「レンズはさぐる」(1972-78)というのがありました。
さまざまな事象を科学的に検証し、それをビジュアルに見せる番組で、子供の頃に見て大層おもしろかった記憶があります。


早野凡平さんが体を張って「雨の降り方が一定なら、走っても歩いても濡れ方は同じだ」と喝破した回などは、今でも知識として大いに役立っています(走れば濡れる時間は短い代わりに、前面から雨を浴びやすくなるためです)。

さらにそれ以前は、「四つの目」(1966-72)という子供番組があって、こちらは記憶が曖昧ですが、狙いは同じものでした。(4つの目とは、「拡大の目、透視の目、時間の目、肉眼の目」で、テーマに応じて、いろいろ撮影の工夫を凝らしていました)。

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この手の番組は、テレビが普及する前からあって、岩波映画製作所が老舗です(1950年設立)。ここは“雪の博士”中谷宇吉郎が中心になって設立された…というのは、さっき知ったんですが、紙媒体の「岩波写真文庫」と並んで、多くの良質の映像作品を生み出し、そのうちの1つである「たのしい科学」というシリーズは、半ば伝説化しています。

(岩波写真文庫7 『雪』、1950)

戦後の一時期、科学映画と呼ばれる一群の作品が確かにありました。
そして、風景写真や人物写真と並んで「科学写真」というジャンルもまたあったのです。これは日本だけのことではありません。

(この項つづく)