死と再生…年の瀬雑感2020年12月28日 21時17分46秒

今日は仕事納め。少し仕事を早上がりして、年末の用事を済ませてから、久しぶりに名古屋・伏見の antique Salon さんのドアをくぐりました。

午後のひと時、店主の市さんにコーヒーをご馳走になり、あれこれ四方山話をしながらも、いろいろ物想うことが多かったです。市さんが語る、業界の世態人情に関わるもろもろの話も興味深かったですし、このお店ばかりは、師走の風も、コロナの風も無縁に見えて、やっぱりその影響は及んでいるらしく、特に海外への買い付けが全くできないのが困ると、市さんは渋い顔でした。

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「玉青さん、最近手に入れて嬉しかった物はありますか?」
「今これが欲しいなあとか、これはぜひ手に入れたいと思う物は?」

突然そう聞かれて、いずれも即答できなかった自分に少しく驚きました。
市さんは特に深い意図なく、世間話の延長で聞かれたのだと思いますが、私にとってはかなりドキッとする問いで、帰り道もその言葉をずっと反芻していました。

私の蒐集行為が、最近どうもピリッとしないのは、結局この点に尽きるのでしょう。
もちろん、ちょっといいなと思う品や、こんど小金を手に入れたら、きっとこれを買おうと思っている品は、いくつかあるのですが、身を焦がすほどに憧れる対象が、最近どうも無いなあ…と、改めて自覚されたのでした。

これは私が「得るべき程のものは得つ」という境地に達したからなのか、あるいは寄る年波で物欲が衰えたせいなのか、はたまた世間の沈滞ムードが知らず知らずのうちに私にも伝染したからなのか…?

答はにわかに出ませんが、ひそかに煩悶を抱きつつ、antique Salon さんで買わせていただいた物がひとつあります。


薄青の小さな擬卵。
卵は言うまでもなく復活のシンボルであり、この私自身の似姿(=玉青)に、自分自身の再生の祈りをこめた…というのは、つまらない自己満足に過ぎませんが、明くる年への期待を込めて、今年の買い納めにはふさわしい品だ…と、自分では思っています。