紙物未満…パリ天文台を称えて ― 2022年09月16日 12時47分16秒
円安時代を生き延びるために、今でも気軽に買えるものを見つけました。
フランスのテレホンカードです。額面は50度数で、日本と同様、短時間ならこれで50回通話できたのでしょう。
特にプレミアがつくような品ではないので、換金価値は限りなくゼロですが、そうは言ってもタダというわけにもいくまい…と売り主は思ったのでしょう、1ユーロの値段が付いていました。
なぜそんなものを買ったかといえば、これも天文にちなむ品だからです。
背景はパリ天文台。そして「1891-1991」の文字。
下の説明文には、「パリ天文台は100年間、この国の標準時を定めてきました」とあります。
パリ天文台と報時業務については、以前ちょっと書いたことがあります。
■天文台と時刻決定
同天文台は、1891年からは1911年までパリを基準として報時を行い、その後、他国にならってイギリスのグリニッジを基準とするようになりましたが、その後もフランス標準時をつかさどり、100年休まずにチクタクチクタク、1991年にはそれを称えてテレホンカードのデザインにまでなった…というわけです。
私もパリ天文台に敬意を表して、今回1ユーロを投じました。
★
ちなみに裏面のデザインはこうなっています。
そこには「3699にお掛けいただくと、音声時計が正確な時刻をお知らせします。料金は1991年3月1日現在、1回につき1度数です」とあって、「へえ、フランスにも日本の〈117〉みたいなサービスがあるんだ…」と、意外に思いました。
でもちょっと検索したら、この1933年から続くサービスも、今年ついに終了したのだそうです。
■Technologie : l’horloge parlante tire sa révérence
こうして時代は少しずつ移っていくのですね。
日本の〈117〉も一体いつまで存続するのか…?まことに思うこと多々、です。
コメント
_ S.U ― 2022年09月16日 15時35分45秒
_ 玉青 ― 2022年09月17日 17時50分35秒
ありがとうございます。お話を伺うと117も粘り腰で、意外に頑張るのかもしれませんね。ただ若干不安なのは、もう家に固定電話のない人の方が多くなっていますから、そうするとスマホで117に接続した場合、やっぱり安定した精度は望み難いことになるんでしょうか?なんだか進歩しているのか、退歩しているのか分からない話ではありますが。
_ S.U ― 2022年09月19日 10時14分52秒
>若干不安なのは、もう家に固定電話のない人の方が多くなっていますから、そうするとスマホで117に接続した場合
ここだけは重要だと思いましたので、調べてみました。下が答えのようです。
「VoLTEのパケット遅延許容時間は100mS以下、エラー率はマイナス2乗以下と規定されている。」
後半については意味不明ですが、パケットロス確率上限1%が付いているという意味だと思います。0.3sくらいでは大丈夫でしょうか。ちょっと天体観測には不適かもしれません。
どころで、先日のauのVoLTEの大不調がありましたが、あれは、実質2日ほど通話とSMSが止まりました。賠償にはなりましたが。
ここだけは重要だと思いましたので、調べてみました。下が答えのようです。
「VoLTEのパケット遅延許容時間は100mS以下、エラー率はマイナス2乗以下と規定されている。」
後半については意味不明ですが、パケットロス確率上限1%が付いているという意味だと思います。0.3sくらいでは大丈夫でしょうか。ちょっと天体観測には不適かもしれません。
どころで、先日のauのVoLTEの大不調がありましたが、あれは、実質2日ほど通話とSMSが止まりました。賠償にはなりましたが。
_ 玉青 ― 2022年09月19日 17時39分47秒
重ねてありがとうございます。
ここで簡単な実験をしてみました。スマホと固定電話で同時に117にかけて、両耳で聞いてみたのですが、はっきりそれと分かるぐらいタイムラグがありました(スマホのほうがコンマ何秒遅れます)。たぶん接続状況によっても結果は変わるのでしょうが、これぐらい差があると、日常生活では問題ないにしろ、遠隔地で厳密に同期をとる等、用途によってはちょっと困る場面が出てくるかもしれませんね。
ここで簡単な実験をしてみました。スマホと固定電話で同時に117にかけて、両耳で聞いてみたのですが、はっきりそれと分かるぐらいタイムラグがありました(スマホのほうがコンマ何秒遅れます)。たぶん接続状況によっても結果は変わるのでしょうが、これぐらい差があると、日常生活では問題ないにしろ、遠隔地で厳密に同期をとる等、用途によってはちょっと困る場面が出てくるかもしれませんね。
_ S.U ― 2022年09月22日 09時40分07秒
実地試験ありがとうございます。
これは、時によって両者のタイム差は違うかもしれませんね。
たぶん、天体観測用には、今でも、固定電話はいいが、スマホはいけないということだと思います。ちなみに、普通の天体観測の用途で、この程度の精度が要請されるのは、電話時報→ストップウォッチ時間合わせ、またはビデオカメラの時計か時報音声同時録音 というルートだと思います。これらは古典的な手法ですが、ハイテク通信機器利用より確度はよいかもしれません。
これは、時によって両者のタイム差は違うかもしれませんね。
たぶん、天体観測用には、今でも、固定電話はいいが、スマホはいけないということだと思います。ちなみに、普通の天体観測の用途で、この程度の精度が要請されるのは、電話時報→ストップウォッチ時間合わせ、またはビデオカメラの時計か時報音声同時録音 というルートだと思います。これらは古典的な手法ですが、ハイテク通信機器利用より確度はよいかもしれません。
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
10年ほど前には、アマチュア天体観測の分野では、専用のGPS電波受信装置を持ちかつその保守の技術を持たない人は、NTTの一般電話で117を使えと言われていました。0.1秒よりずっといい精度は保障されていたと思います。電波時計は、電波の飛翔時間が無視出来たとしても、一般に購入した電波時計では針や表示を動かす精度が電波の保証外ですし、携帯電話やスマホの画面表示もアプリによるので同様です。
さて、現時点ではどうなのでしょうか?
電波時計のハードがアテにならないのは、価格の下落により今も同様と思います。デジタル配信の精度は向上し、NTT(117)と一般のネット回線の技術は接近してきたと思います。しかし、PCもスマホもデジタル端末である以上、一時的にフリーズしないと言い切れないし、というか、むしろデジタル端末のOSやアプリは人間が気がつかなくても受信ムラやフリーズを繰り返していて当たり前という利用者の認識になってきているのではないでしょうか。だとしますと、耳で聞ける範囲の精度(~0.1秒)を確証したい人には、今でもやはりNTT(117)に軍配が上がるのではないかと思います。ただし、事実上の精度については存じません。だれも保障していないかもしれません。また廃止になるかどうかは別問題かもしれません。