ヘイデン・プラネタリウムのペンダント2023年09月19日 17時54分44秒



ニューヨークのヘイデン・プラネタリウムで、かつてお土産として売っていたペンダント。気楽なお土産品ですから、全体の作りは安手な感じですが、青緑の背景に光る銀のプラネタリウムは、なかなか美しい配色です。

(ペンダントの裏側)

で、気になったのは「これって、いつぐらいのものなのかな?」ということ。
鉄アレイ型の古風な投影機のシルエットは、これが少なからずビンテージな品であることを物語っています。

下はWikipediaの「Zeiss projector」の項に挙がっている同館の投影機の変遷を日本語化したものです(Zeissの型式呼称は、「Mark 〇〇」とか「Model 〇〇」とか、表記が揺れていますが。Zeiss社自身は後者を採用しているようなので、ここでも「モデル〇〇」で通します)。


ヘイデンは一貫してツァイス社の製品を使っており、そこには長い歴史があります。このうち明らかに異質なのは、ずんぐりしたお団子型のモデルIXです。

(ヘイデンの現行機種であるモデルIX。American Museum of Natural Historyのサイトより「Zeiss Projector」の項から転載)

日本でも最近はこういう形状のものが大半なので、「プラネタリウムというのはこういうもの」というイメージにいずれ変っていくのでしょうが、私にとってはやはり旧来の「ダンベル型」のイメージが強烈です。

下はヘイデンを被写体にした同時代の報道写真で、eBayで見かけた商品写真をお借りしています。


左は1935年、右は1960年とクレジットされていたので、それぞれモデルIIモデルIVでしょう。本体の見た目はそんなに変わりませんが、昆虫の脚っぽい支柱がすっきりしたのが目立つ変化です。これはその後のモデルVIも同様で、モデルVIになると、さらに支柱のみならず、投影機の胴体周りも幾分すっきりしています。

(ヘイデンの画像が見つからなかったので、これはシュトゥットガルト・プラネタリムに設置されたモデルVIの写真です(1977)。出典:ZEISS Archive

ペンダントに描かれた投影機はデフォルメと簡略化が著しいですが、もろもろ考え合わせると、どうやらモデルVIの時代(1973~1997)のものらしく、全体がピカピカと新しいのも、この推測を裏付けています。


とはいえ、これでもすでに四半世紀以上昔の品であり、「プラネタリウム100年」の歴史の一コマを飾る品と呼ばれる資格は十分ありそうです。