プラネタリウム100年2023年10月08日 23時03分18秒

プラネタリウム100年を追体験するため、遅ればせながら地元の名古屋市科学館に足を運びました。


■企画展「プラネタリウム100周年」
○期間 : 2023/9/26(火)~ 2023/10/22(日) 9:30~17:00(入館16:30まで)
     休館日 10/9(月・祝)を除く月曜日、10/10(火)、10/20(金)
○場所:名古屋市科学館 天文館5階「宇宙のすがた」
○公式サイト:LINK

同館にはいわば「常設展」として、昔の投影機の展示も以前からあるのですが、こういう機会に眺めると感慨もひとしおで、改めてすごい迫力だと感じ入りました。

(名古屋市科学館プラネタリウムの先代機、ツァイスⅣ型)

(かつて愛知県東栄町の御園天文科学センターに設置されていた金子式プラネタリウム)

天体望遠鏡と並んで、プラネタリウムは星空への憧れが凝縮された装置です。
ただし、天体望遠鏡が「野生の星たち」の生態を観察する道具であるのに対して、プラネタリウムは「飼育環境下の星たち」を学習/鑑賞するためのものという違いに加え、有り体に言えば、それは星ですらなく、単なるその似姿にすぎないんですが、人々の星ごころの発露という点では両者甲乙つけがたく、その進化の歴史は多くの人間ドラマに満ちています。



かつて幾人のプラネタリアンが、この操作盤に手を触れたことでしょう。
その解説の声に耳を傾けた人々のことを想像すると、何だか無性に愛しさが募ります。



会場には、名古屋市科学館に納入された「ツァイスⅣ型263番機」の、貴重な設計図面も展示されていました。古風な青焼きから、往時の技術者の肉声が聞こえてくるようです。



プラネタリウムの歴史を説く壁面投影のスライドショーも充実しています。


「医薬品、光学機器の興和(Kowa)が2台だけ作った伝説・幻の早すぎたプラネタリウム」、「その後、あっさり製造打ち切り」――この辺の口吻は、何となく公立科学館のお行儀の良い解説を逸脱した、純粋なプラネタリウムファンのコメントのような趣があって、好感度大。


こちらは小型ホームプラネタリウムの展示です。同じ条件で実際の投影像を比較できるのは貴重な機会で、購入を考えている人には大いに参考になるでしょう。

(個別に撮った写真を並べたもので、実際の並び順とは違うかもしれません。)


これも常設展示ですが、ツァイスの光学式プラネタリウムに先立つこと約140年、18世紀後半に作られた、世界最大・最古の機械式プラネタリウム「アイジンガー・プラネタリウム」のレプリカです。


その脇には、オランダの時計メーカー、クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ【LINK】 が制作した「ロイヤル・アイゼ・アイジンガー リミテッドエディション」が展示されていて、「おお、これが」と思いました。といってもムーブメントのない外身だけですが、実物は世界に6つしかない、1000万円超えの逸品だそうですから、そう滅多矢鱈に展示できるものではありません(でも、明石の天文科学では今年6月に、その紛れもない実物が展示された由↓)。


   ★

こうして展示をゆっくり見てから、現役のプラネタリウムを鑑賞し、豊かな気分で家路につきました。一口にプラネタリウム100年といいますが、アイジンガーのことまで勘定に入れると、その歴史は250年にも及ぶわけで、これはウィリアム・ハーシェルに始まる現代天文学の歴史とちょうど重なります。1年前にハーシェル没後200年展が同じ会場であったことなども、道々ゆくりなく思い出しました。

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