色あせた標本、台湾幻想 ― 2007年10月22日 19時31分13秒
昨日の写真の背後に写っていた標本です。
手工芸的な木製フレームを見ても分かるように、純然たるお土産用の標本です。中身の蝶や蛾も、すっかり色あせ、どれもみな白っぽくなっています。学術的な価値はもとよりなく、既に「商品」としての価値も失った品ですが、私はこれを見ると、ある種の連想というか、ぼんやりとしたストーリーが心に浮かびます。
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久しぶりに旅装を解いた叔父さんのつやつやした顔。台湾土産に目を輝かせる少年。少年の父と酒を酌み交わしながら、叔父さんが上機嫌で語って聞かせる、台湾の豊かな自然と暮らし。少年は、亜熱帯の叢林にふりそそぐ強い陽光と、極彩色の昆虫が群れ飛ぶ様を思い浮かべ、うっとりとします。台湾が人々に夢をかき立てた時代…。
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この台湾産の標本を見ていると、そんな戦前ののどかな情景が浮かんできます。
(この項つづく)
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