ファーブルの本(5)…『植物』 (1892) ― 2007年03月07日 06時44分57秒
(左は『ファーブル植物記』 以下参照)
昨日まで取り上げた本は、1915年にファーブルが亡くなる直前に出た本ばかりですが、今日の本は、彼がまだ意気盛んだった1892年に出た本です(ファーブル、このとき69歳)。
『植物 ― わが子に語る植物学講座』
La Plante. Leçons à mon fils sur la Botanique.
Paris, Delagrave. 1892.
半モロッコ革装, 8vo, 354pp.
最初見たとき、邦訳されている 『ファーブル植物記』 (平凡社、1984)の原典かと思いました。が、それは私の早とちりで、後者は 『薪の話』 (Histoire de la Bûche)という本の訳だそうです。
一方この本も、最近(2004年)岩波から 『植物のはなし』 として翻訳出版されていることを知り、さっそく購入。これで本の中身について頭をなやませる必要がなくなりました。
(出版社による紹介は↓
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/00/7/0066890.html)
ところで、この本はなかなか豪華な装丁が施されていますが、これはいわゆる 「ご褒美本」 です。すなわち、フランスに限りませんが、当時成績優秀な生徒に対して、学校が本をプレゼントする習慣があり、日本でいうならば賞状・褒状の類です。イギリスのように版元装丁が普通の国でも、ご褒美本については、学校のエンブレムが入った特装本であることが少なくありません。
管見のかぎり、ご褒美本は、どれもきれいな、まっさらのままの本が多いようです。ご褒美を貰うぐらい優秀な生徒だから、本を扱うマナーも良かったのか、あるいはご褒美に貰うようなつまらぬ本だから、開きもせずに死蔵していたのか? その辺の真相は不明ですが、どうも後者の疑いが濃いような…。
コメント
_ T.Fujimoto ― 2007年03月09日 01時59分41秒
_ 玉青 ― 2007年03月09日 21時27分33秒
あ、優等生!(失礼)
冗談はさておき。なるほど、Fujimotoさんの中国語のバックボーンには、リアルな中国(台湾)体験があったのですね。
確かに、現在古書として売られているご褒美本は、「きれいだから」流通しているわけで、その影には無数のボロボロになった本があったことを勘定に入れる必要がありますね。
ただし、辞書の場合は、むしろ使いつぶされることこそ本望でしょうから、校長先生もご褒美の甲斐がありましたね!
冗談はさておき。なるほど、Fujimotoさんの中国語のバックボーンには、リアルな中国(台湾)体験があったのですね。
確かに、現在古書として売られているご褒美本は、「きれいだから」流通しているわけで、その影には無数のボロボロになった本があったことを勘定に入れる必要がありますね。
ただし、辞書の場合は、むしろ使いつぶされることこそ本望でしょうから、校長先生もご褒美の甲斐がありましたね!
コメントをどうぞ
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小学校の卒業式、ご褒美に「校長賞」の"英漢辞典"をもらったことを、思い出しました。
当時、台湾に住んでいて、向こうの学校に通っていたので、"英和"ではなくて"英漢"(笑)。
記憶はいささか曖昧ですが、各クラスで成績がトップの人は「台北市長賞」、2位の人は「教育局長賞」など...賞品はいずれも(違う種類の)辞書だったような気がします。
装幀も中身も普通に市販されたものと同じですが、やはり見返しか最初のページに、証書らしきものが貼ってあったと思います。辞書なのでうーんとサイズの小さいものでしたが。
大切にしていたわけでも、まあ学生用の辞書だからというのもあって、僕の場合、ボロボロに使って適当に捨ててしまったようです。記憶にだけは残っていますが。