チョンマゲと星のロマンス2008年08月13日 22時09分03秒

↑「浅草鳥越の図」 (出典: http://library.nao.ac.jp/kichou/open/006/index.html

昨日からせっせとコピー本を作っていたのは、『天文暦学諸家書簡集』という、題名からして渋い本。切った貼ったが終わった時点で、すっかり安心してしまい、結局中身を読まないんじゃないか…という気もしますが、それはともかく、なぜこんな渋々な本を借り出したか。

拙ブログの大目標は(最近忘れがちですが)、天文趣味の歴史をたどることでした。
そして、そのサブテーマに「江戸時代の天文家は、いったい何に動機付けられて空を眺めていたか?」というのがあるのです。

天体の運行を精密に予測することは、それ自体強力な知的動機付けであり、観測と理論によって予測精度を高める作業には、理知的な興奮が伴ったと思います。いわば神が出題したパズルを解く喜びであり、これはたぶん洋の東西を問わないでしょう。

しかし、今日の天文趣味に通じるような、「大宇宙のロマン」といったものを、江戸時代の学者(あるいは市井の人)は感じたのかどうか。望遠鏡で覗いた月や惑星の姿を見て、純粋に感覚的な喜びを味わったのかどうか。「趣味の天体観測」という概念は、西洋でも18世紀の末ぐらいまでなかった気がしますが、はたして日本ではどうだったか。

そうしたことは、当時の刊本を眺めても、なかなか見えてこないのですが、仲間内の書簡から何か浮かび上がってくるものはないだろうか?というのが、ひそかな期待です。

このテーマはかなり大きな課題で、すぐには答が出ないと思いますが、今後もライフワーク的に取り組んでいくつもりです。(先回りして予想を述べると、上の問いに対する答はいずれもイエスだと思っています。)

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さて、明日から3日間の小旅行に出かけます。ブログもその間お休みです。