渋川春海の望遠鏡2012年09月17日 10時18分17秒

今日、ネットを徘徊していて、映画「天地明察」の公式フェイスブックページ(http://www.facebook.com/tenchimeisatsu.movie)で、下の画像を目にしました(すみません、勝手借用です)。


ページの説明には、<映画『天地明察』の世界>算哲〔引用者注:渋川春海の別名〕使用の望遠鏡です。宮崎あおいさん演じるえんが覗く姿も印象的ですねとあります。

うーむ、これは。
接眼部近くに膨らんで見える合焦装置から、一目でインド製の安価なレプリカと分かる望遠鏡(こうした合焦機構は、17世紀はもちろん、18世紀にも19世紀にもないはず)。

そもそも、春海当時に真鍮製鏡筒の望遠鏡があったかどうか、それが木製三脚に乗っていたかどうか、大層お金をかけた映画のはずなのに、肝心の天文機器に関する心配りが足りないのは惜しい。誰か助言する人はいなかったんでしょうか。

…と、何となく上から目線で書きましたが、私だって別に当時のことに詳しいわけではありません。でも、その筋の人に聞けば、すぐ分かることが出来ていないのは、やっぱりよろしくないと思います。

舞台となった貞享の頃は、通常の「まげ物」で見慣れた江戸時代後期の世界とは、服装も髪型も、習俗一般から人々の気風に至るまで相当違ったらしいので、時代考証的に誰もが満足する映画化は難しいと思います。が、何といっても天文がテーマなのですから、個人的にはその方面の正確な描写を望みたいです。
(望遠鏡以外の儀器についての考証はどうでしょうか、そちらも気になります。)

   ★

今日はちょっとイチャモン的な記事になりました。
でも本当は、そういう「重箱の隅」よりも、改暦事業の経緯と意味合いが、事実、冲方氏の原作に描かれた通りであったかどうか、そういう観点から史実を見直すほうが、個人的には得るところが多いと思うので、これは自分への宿題とします。