八月尽 ― 2017年08月31日 18時03分40秒
八月尽(はちがつじん)。
8月の終わりを示す俳句の季語です。私がよく引く山本健吉氏(編)の歳時記には、「弥生尽、九月尽などに準じて、近ごろ詠まれることが多い。暑中休暇や避暑期が終るので、この語に特別の感慨があるのである」と解説されています。
まさに「特別の感慨」でこの日を迎えた少年少女も多いでしょう。
私も子供の頃の特別の感慨が、鮮やかに甦ります。
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山本氏は「八月尽」の例句として、以下の句を挙げています。
八月尽の赤い夕日と白い月 中村草田男
8月最後の一日がまさに暮れようとするとき、作者の目に映った光景は、鮮やかな朱の太陽と、白光をまとった月でした。
ありふれた光景といえば、たしかにそのとおりです。
でも、ひとつの季節の区切りに際して、その至極ありふれた光景が、何か常以上の意味を持って作者の胸に迫ったのでしょう。
そして、その光景がありふれているのは、天体が常に変わらず空をめぐっているからに他ならず、ふと立ち止まって考えれば、そんな風に過去から未来にわたって、天体が永劫ぐるぐる空を回り続けているのは、やっぱり不思議なことです。
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何だか要領を得ませんが、この世界は不思議に満ちており、旅を続けるに値する場所だと、自分はおそらく言いたいのです。「あの赤い夕陽と白い月を見るだけでも、それは分かるじゃないか」と、見も知らぬ人に説いて回りたいのです。
毎年、9月1日に命を絶つ若者が、その前後に比べて有意に多いと聞き、そんなことを思いました。
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