江戸の天文学者のスピリッツ…焼酎GORYU2009年04月11日 15時31分04秒

いやー、しばらくぶりだね。
その…何だっけ?ん?…そうそう、ハーシェル協会。君もあっちの方でだいぶ忙しいみたいだから、今日は陣中見舞いにね。うん、丁度いいものを手に入れたから、お目にかけようと思って持ってきた。

「粕取り焼酎 GORYU」。そう、ゴーリュー。
まあ、そう変な顔をするなよ。かの剛立先生も、今や我らが酒徒の友となりにけり。まったくいい時代になったものさ。え、どうしてこんなものができたかって?うん、ここにメーカーの説明書がある。見たまえ。

「大分二番手の男は、西洋の先端技術と日本の
心で暦を近代化し、月に名を残した。『クレーター
・アサダ』。―その天文学者、じつにハイカラ・ジャ
パネスク」

「和の心を持ちながら、洋の価値観も取り入れた
大いなる精神(スピリッツ)。/天文学者 麻田剛立
(アサダゴーリュー)/そのスピリッツを継承する
清酒『ASADA』、本格焼酎『GORYU』いよいよ待望
のデビューです。」

…というわけさ。今の時代、和にも洋にも合わないと需要がないしね。その辺を考えて、剛立先生の地元、大分の酒屋さんが知恵を絞ったのさ。いや、粕を絞ったのかな。実に大いなる酒精(スピリッツ)じゃないか。

デザインもなかなか凝っててね、この首からかかってるタグは、剛立先生が描いた、日本で最初の月面図だそうだ。え?剛立先生は酒に強かったのかって?それは分からないな。君お得意の天文酔狂史で調べてみたらどうだい。

じゃあ、今日はこれから星見だから失敬するよ。
え?焼酎?僕は「お目にかける」とは言ったが、別に飲ませるとは言ってないぜ。ははは…冗談さ。いや、まあ君の仕事が片付いたら、ゆっくり飲ることにしようよ。だから、せいぜい頑張って早く仕上げることだね。じゃ。

■中野酒造HP http://www.goryu.jp/index.html
■麻田剛立(Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BA%BB%E7%94%B0%E5%89%9B%E7%AB%8B

コメント

_ S.U ― 2009年04月12日 08時56分44秒

天を愛し酒を愛し、義理人情に厚かった麻田剛立に日本人の美徳の典型を見出す、うれしいことを言ってくれますねぇ。ではここで、お酒好きの天文愛好家の方にはうらやましい、剛立翁の人柄をしのばせるエピソードを伝聞書から紹介させていただきます。

「翁常に酒を嗜む。弟子等折にふれて翁が近隣の酒店にて酒を調へ携行する時は、店主是は麻田翁に参らする処かと問ふ。然りと言へば、常に定価より酒を益して与ふと云ふ。」
                         (「渋川先生の伝聞」より。一部仮名を置き換え)

麻田剛立は、生きている時も、没して200年経っても、酒屋さんからの熱い支持は変わらないようです。

_ 玉青 ― 2009年04月12日 21時00分26秒

いつもながら、素早い情報をありがとうございます。
なるほど、翁と酒は元より深い関係があったのですね。
それならば、例の瓶を開けるときも、いっそう興が乗ります。善哉、善哉…!

それにしても、弟子の方も、自分用の酒を買うときに、師匠の名を騙って、酒をオマケしてもらおうなどと、セコイことを考える不心得者は一人もいなかったと見えますね。酒徒たるもの、すべからくそうありたいものです。

  +

さて、平成の天文酒徒も、翁に負けず気宇壮大に行きたいですねえ。ここは一つ酒盃を傾けながら、星間雲中のエタノールに思いを馳せてみましょうか。何光年という広大無辺な空間に広がる酒精の海…。霞よりも希薄な、まさに仙境の酒ですな。

_ S.U ― 2009年04月13日 07時36分07秒

おっしゃる通りです。それでは、剛立の遺徳を肴として「ゴーリュー」を召し上がっていただけるよう、同様に伝聞書等にある他のエピソードも紹介させていただきます。

- 剛立は、手紙が来ると飛脚を待たせて即座に返事を書いて返した。そして、「手紙にすぐに返事を出さないのは、人に話しかけられて黙って無視しているようなものだ」と言った。

- 弟子が肴代としてお金を贈ってくれた時は、いつもその全額を肴代にあて、他の用向きに使うことはなかった。

- 門人・高橋至時の家が火事で焼けてその助力をしている時、子どもを連れて見舞いに来た別の門人を不平に思い絶交してしまった。

- 新しい暦学の計算法を知った時に、それ以前の自分の計算記録をすべて焼却しようとした。また、死去のあとには、机の辺には天文学、医学に関する遺稿は一冊も残されていなかった。(弟子と息子にはちゃんと伝授していた)

>師匠の名を騙って、酒をオマケしてもらおうなどと、セコイことを
こりゃ、ばれたら、即刻破門だったでしょうなぁ..

_ 玉青 ― 2009年04月13日 19時26分00秒

人間というのは枠をはめないと、底なしにだらしなくなってしまうことを痛感していたからこそ、剛立は自分を厳しく律していたのかもしれませんね。ある意味、人間の弱さをよく知っていた人、という気もします。

「剛立」という名前そのままの超堅物…という印象も受けますが、とにもかくにも酒を好まれたというのは、百難(?)を隠して余りある美徳でしょう。

_ S.U ― 2009年04月13日 20時26分14秒

>酒を好まれたというのは、百難(?)を隠して余りある美徳でしょう。

 酒を好む人は、堅物であっても人間味が感じられます。
 
 その一方で、「この人は酒さえ飲まなければ...」というような人がいるのも事実で、とかく世の中ままならないものです。

_ 玉青 ― 2009年04月13日 20時49分20秒

(笑・笑)激しく同意。改めて自戒が必要と思いました。まあ、それも「人間味」の一側面ではあるんでしょうけれど…。

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