棚の隅の昆虫記2016年06月13日 07時02分39秒

現在徘徊している「棚」というのは、私が坐っている机のすぐ左手の本棚のことで、本を並べた手前の空きスペースに、いろいろモノが置かれているのを、漫然と眺めている…というのが、最近の続き物の中身です。

その実際の状況はというと、こんな感じです。


この棚に並ぶ本とモノは、基本的に天文と関係がないので、話の内容も天文からちょっと遠ざかりますが、もうしばらくお付き合いください。
今日の話題の主は、上のファーブルのボトルキャップです。

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覚えている方もおいででしょうが、これは2005年、セブンイレブンがペットボトル飲料の販促のため、店頭で無償配布していたものです(ペットボトルを買うとオマケに付いてきた)。


こうして写真に撮ると、すっかり埃にまみれ、いささか草臥れた感じですが、でもこの品、オマケにしては大変よく出来ています。原型を作ったのは、例によって海洋堂さんで、当時の製品紹介ページは以下。

食玩:ファーブル昆虫記 http://kaiyodo.co.jp/products/fabre.html

 「だれもが子供の頃には昆虫に対してあこがれや、興味、情熱を持っていたのではないでしょうか。そして、そのころ学校の図書室や教科書の中で「ファーブル昆虫記」という物語に出会ったはすです。

  「ファーブル昆虫記」から特に印象深い物語の主役達をフィギュア化。ファーブルが行った独自の観察・実験や、 虫たちの生態描写、なんとファーブル自身までもフィギュアなって登場しております。多くの人が人生で最初に出会うであろう、上質の博物学「ファーブル昆虫記」をフィギュアでお楽しみ下さい。」
 (上記ページより)


「裏庭の猛獣」キンイロオサムシと、「聖なる昆虫」ヒジリタマオシコガネ


「麻酔針を持つ狩人」アラメジガバチと、ランドックサソリのダンス。
食玩のラインナップとしては、ほかに「羽化するトネリコゼミ」、「遠来の求婚者・ヒメクジャクヤママユ」、それに梨玉作りに励むヒジリタマオシコガネが入ります。


それと昆虫ではありませんが、ファーブル先生自身。
ミツカドセンチコガネを観察するファーブルです。

『ファーブル昆虫記』には、糞虫類の記録がたくさん出てくるので、どれがどれだか私も記憶がごっちゃになっていますが、ミツカドセンチコガネは、タマオシコガネのようないわゆる「フンコロガシ」ではなく、替わりに土中に長い縦穴を掘り、そこに獣糞を蓄積して子育てをする種類です。トンネルの長さは約1.5メートルに達し、ファーブルはその観察に大変苦労しました。

フィギュアになっているのは、その最初の観察装置で、結局これでは上手く行かなかったので、その後2番目の装置を作り、ようやく観察に成功しています。

(右が最初の装置、左が2番目の装置。出典:『ファーブルの写真集・昆虫』、新樹社)

ともあれ、いずれも『ファーブル昆虫記』を読んだ人には、深い印象を残した虫たちで、ただのオマケとはいえ、ファーブル好きには嬉しい企画でした。(この品は、今でもその手の店で―ヤフオクやアマゾンでも―売買されているので、手に入れるのは簡単です。)

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『ファーブル昆虫記』とフィギュア。
ある意味、たいへん日本的な光景だともいえます。