三葉虫を懐かしむ2021年11月28日 15時54分52秒

昨日のオレノイデス社のロゴを見ながら、三葉虫のことを思い出していました。


三葉虫はその形態の多様性から、世界中にコレクターが多いと聞きます。
私ももちろん気にはなりましたが、集め出すとキリがないのを悟って、いわゆる「沼」に陥ることはありませんでした。それでも当時――というのは15年か20年ぐらい前、ゼロ年代のことです――の品が入っている引き出しを開けると、その頃の記憶や、さらに遠い理科室の思い出がよみがえってきます。


初期の小さくて単純な形状から適応放散により多様な形態へと分化し、中には驚くほど巨大な種も出現した三葉虫の仲間たち。



古生代に栄えた三葉虫は、私の個人史を1000万倍ぐらい引き延ばしたタイムスケールの存在なので、「三葉虫の化石を見て懐かしむ」なんて、考えてみればおこがましい話かもしれません。三葉虫に言わせれば、「お前さんなんかが懐かしむのは、1億年早い」といったところでしょう。

それでも、やっぱり三葉虫は懐かしいです。
何しろ、私だって10億年の生命進化の歴史を母胎内で経験しているし、生まれ落ちてからだって、三葉虫の1個体にくらべれば、優にその1000万倍を超える記憶を有しているはずだから、懐かしむ資格はあるぞ…と、三葉虫に理解を求めたいところです。

コメント

_ S.U ― 2021年11月28日 18時51分57秒

三葉虫、いいですよね。
 私も、自分は三葉虫だけは1つは持っていないといけないということで、学生時代に、新宿の紀伊國屋で脱脂綿入りで標本箱にはいっているごくごく小さい全長20mmくらいのを1つだけ買いました。

 三葉虫と双璧をなすアンモナイトもいいのですが、三葉虫は誰が見ても、有無を言わさず、「古生代だぞ!、恐れ入ったか!」という感じで、これはもう恐れ入らざるを得ません。

_ 玉青 ― 2021年11月29日 06時01分10秒

アンモナイトも捨てがたいですが、あれは結局「殻」ですからね。そこにはイカやタコのような生物本体の姿がありません。それに対して三葉虫は(外骨格も殻といえば殻かもしれませんが)、彼らが生きていたときの姿そのままで、その向こうに広がる古生代の海を想像すると、ただただ恐れ入るほかありません。

_ S.U ― 2021年11月29日 07時37分23秒

私は、アンモナイトの化石も、断ち割った断面を磨いて文鎮にしたのを持っています。それは「殻」ですが、縞模様が美しく、10~20くらいの部屋に分かれています。ここで疑問に思うのは、アンモナイトの生体がこの隔壁内にズタズタになって入っていたのかということです。

 調べてみると、もちろんそんなことはなく、この部分は浮力を調節するための気室だったそうで、アンモナイトの本体はここにはほとんどなく、殻のその外側に隔壁のない本体の入る部分があるのですが、断面化石では、そこは強度がないので失われてしまったか目立たないのかということになるのです。つまり、私が持っているようなアンモナイトの断面化石で目立って美しい部分は、アンモナイト本体の殻ではなく、空気の殻ということになりますのでしょうか。

_ 玉青 ― 2021年11月30日 06時02分44秒

あれは確か「部屋」の増築を繰り返して、外へ外へと螺旋状に成長していくんでしたね。そして、その時々で一番外側の「部屋」に本体が収まっている…ということは、今は空気の殻でしかないものも、幼少のみぎりには立派な本体の殻だった部位ですから、結局、全体が本体の殻(だったもの)と呼びうるのではないでしょうか。

そういえば、葛飾北斎は一つの部屋を借りて、そこをゴミだらけにすると、次の部屋に引っ越すことを繰り返し、生涯に転居すること93回に及んだ…と新聞で読みましたが、まあそれに比べれば、立つ鳥跡を濁さず、すっきりと次の部屋に移っていくアンモナイトは、さっぱりとしたもので、北斎以上に江戸っ子らしいと言えるかもしれません。

_ S.U ― 2021年11月30日 09時40分46秒

>「部屋」の増築
なるほど、これは存じませんでした。アンモナイトでは、「頼朝公ご幼少の砌の シャレコウベ」が実存するような感じですか。

_ 玉青 ― 2021年12月01日 07時36分13秒

あはは。まあ、頼朝公も下のページに出てくるカメノコハムシのような塩梅だったら、あり得たんでしょうけれどね。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20140421/393881/

_ S.U ― 2021年12月02日 15時44分11秒

この昆虫はすごいですね。文字通り、過去を引きずって生きているのですね。

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