ファーブルと天文学2007年10月27日 20時04分17秒


さて、そろそろ昆虫から天文に話を戻そうと思いますが、そのためにちょうどいい本を見つけました。

■天体の驚異 (ファブル科学知識全集1)
 安成四郎(訳)、アルス(発行)、昭和4年(1929)
 四六版、425p.

装丁は恩地孝四郎。
表紙は、凝った唐草模様の空押しに、燃え盛る太陽プロミネンスのカラー図版を貼り込んであります。

原著の題名がどこにも書かれてないのではっきりしませんが、どうも Le Ciel. Lectures et lecons pour tous. 『宇宙-万人のための講義-』(1913、パリ)という本がそれらしいです。

ただ、当時ファーブルは既に90歳ですから、これは若い頃に書きためた文章を再編集したものだろうと思います。巧みな比喩を多用した、生き生きとした語り口は、1867年に出た『薪の話』(邦題『ファーブル植物記』)とよく似ています。日食の項を見ると、最新の日付が1865年になっていることも、その傍証になるでしょう。

(『薪の話』については、http://mononoke.asablo.jp/blog/2007/03/08/1242170を参照)

それにしても、「あの」ファーブルが、天文学書を書いていたんですねえ。

内容については改めて見るとして、一つ疑問に思うのは、ファーブルは自ら望遠鏡をのぞいたことがあったのだろうか?という点です。もちろん彼は顕微鏡の扱いはお手の物でしたが、望遠鏡は果たしてどうだったのでしょうか?気になります。