恐るべき星景画2008年12月21日 18時23分26秒

とにかく写真をクリックして、とっくりと眺めてください。

画題は一応、海の向こうに伸び上がる黄道光(*)なんですが、これはもう何なんでしょうか。妙にとんがった富士山のそばに、伊勢の夫婦岩みたいなものがあって、丘の上の中国風の建物から、花魁が二人、黄道光を眺めているという…。

(*)太陽系の惑星軌道面に沿って分布する微小な塵が、
太陽光を反射して見える光の帯。ごく淡いので、都会地
では全くみえません。もちろん私も見たことはありません。

  ★

今日は(も)他人のふんどしで恐縮です。

この絵(水彩画)は現在eBayで売りに出ているものです。
フランスの売り手は、1920年ごろの作品だと主張しています。
R. Kienerというサインがあって、名前と書体からすると、Robert Kiener(1866-1945)というスイスの風景画家のものらしいのですが、もちろん真作である保証はありません。

この奇妙な画面構成と、シュールな味わいは、江戸時代の洋風画ないし泥絵に通じるものがあります。何とも恐るべき作品です。ひょっとしたら大傑作かもしれません。部屋に飾ったら、良くも悪くも雰囲気が一変しそうなパワーを感じます。

私も思わず入札しようかと思いましたが、寸前で思いとどまりました。
勇気のある方はぜひ購入されて、差し支えなければ私に見せていただけないでしょうか。(嗚呼…ため息)

コメント

_ S.U ― 2008年12月21日 21時11分30秒

この絵はかなりの傑作のように思います。絵の金銭的価値は画商以外は買う人の感性で測るしかないのでしょうが、木のかたち、建物、富士山の火口付近など文句なしに力がこもっています。ふだん真面目な風景画を描いているそれなりの力量のある画家が、突然血迷って描いた絵ではないでしょうか。1920年頃ならシュールで東洋風というだけでは価値はないでしょうが、黄道光が妖しさを演出しているのが天文愛好家にはうれしいです。残念ながら、私は現在、絵を買うことは控えているので、ちょっと遠慮させていただきます。(入札される方はどなた様も私の評価を真に受けないで下さい)

 ところで、私が見た黄道光は、この絵のように縦長で境界くっきりとは見えませんでした。明け方の空に見たのですが、暁の前の薄明のようで、もっと境界不分妙でべたーっと広がっていました。天文薄明開始より早い時刻から黄道付近だけかなりの高度まで明るくなるので、薄明と区別が出来ます。

_ 玉青 ― 2008年12月22日 19時56分39秒

それにしても微妙な絵ですねぇ。己の眼力を問われるような感じです。もうこのレベルまで来ると、多少のデッサンの狂いなど、どうでもいいのだ!…という気さえしてきます。

しかし、黄道光で影ができているというのは、一寸やりすぎのような。。。

_ S.U ― 2008年12月22日 23時02分04秒

>多少のデッサンの狂いなど、どうでもいいのだ!

そう。 力がこもっておれば、デッサンなどもうどうでもよいのです。

芸術は爆発だ! 黄道光も爆発だ!?

_ 玉青 ― 2008年12月23日 16時49分28秒

S.Uさん、クールダウン!(笑)
いや、それにしても、誰も入札しませんねえ…。

_ S.U ― 2008年12月23日 18時36分19秒

ご忠告に従って落ち着いて、eBayで、R.Kiener を検索し、他の作品を当たってみると、同じ作者のオーロラとか、衛星から見た?木星や土星環の絵がオークションに出ているのが見つかりました。
 ご紹介の黄道光の絵も含めて、何らかの天文書の挿絵にインスピレーションを得て描いたものではないかと思います。たとえば、タネ本があるとして、以前、議論されていた"SPLENDOUR OF THE HEAVENS" →「天空旅行」展 の似たような絵のことを思い出しました。

_ S.U ― 2008年12月23日 19時05分58秒

すみません。上のeBayでの他の絵の検索は、フランスのサイトから行って下さい。
http://www.ebay.fr/

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