『ジョン・ハーシェル伝』の見本が届きました2009年03月13日 20時18分30秒


(この記事は自ブログと協会掲示板に同報です。)

ついに出ました!(見本が本日届きました。)

■ギュンター・ブットマン(著)、中崎昌雄・角田玉青・日本ハーシェル協会(訳)
 『星を追い、光を愛して― 19世紀科学界の巨人、ジョン・ハーシェル伝』
 産業図書、260ページ(3月19日発売予定)
 2,625円(税込み)

ただいま予約受付中です。(↓はアマゾンの該当ページ)
 http://tinyurl.com/bjbzym

この本は、産業図書の理解もあって、客観的にはそう難産ではなかったと思いますが(何と言っても中崎先生の訳文が最初にあって、そこからのスタートでしたから)、それでもそれなりに苦労はあるもので、いろいろ思い起こすと感無量です。。。

邦文のジョン・ハーシェルの伝記としては、協会HPに掲載されているコンサイス版のさらにソースともいえる内容であり、この大科学者の全体像を知る上では必須の文献だと自負しています。19世紀の天文趣味史に関心のある方にとっても必読。

協会の方で草した本の紹介文も引用しておきます。

「天王星を発見した偉大な天文学者、ウィリアム・ハーシェル。その一人息子として、ジョン・ハーシェルは、父親の背中を追い、さらにその先にある科学のフロンティアをひたすら歩み続けた。イギリスで、そして遠く南アフリカで、巨大な望遠鏡を操り、あらゆる天体を目録化するという、前人未到の偉業を達成した男。光の科学を愛し、写真術の実用化をもたらし、あのダーウィンも深く尊敬した「万能の科学者」。19世紀のイギリスに花開いた、ヒューマニズムあふれる「理想的哲人」の生涯を描いた名著。」

店頭に並んだら、ぜひ御手にとってご覧下さい。
そして宜しかったら御買い上げ下さい。

【ちょっと付記】

このブログをお読みの一部の方へ。
上の紹介文に「写真術の実用化」云々とありますね。
ジョン・ハーシェルは、ある意味、ルイ・ジャック・ダゲールよりも、写真術初期の歴史において重要な役割を果たしました(ネガ、ポジという言葉は彼の造語です)。そして、訳者の中崎昌雄氏は、『完訳ダゲレオタイプ教本』(朝日ソノラマ)という労作をものされた写真史の大家。

―というわけで、鳩山郁子さんの『ダゲレオタイピスト』(↓)に関心のある方ならば、あるいは興味を持っていただけるかも。本書の第6章はまるまるジョンと写真術の関わりに当てられています。

○ダゲレオタイピスト
http://www.gettosha.com/04-@spangle/c-books/pigeon-dague/s-dage-top00.htm

コメント

_ shigeyuki ― 2009年03月13日 22時28分18秒

出版おめでとうございます。
とても面白そうですね。
書店に並ぶのが楽しみです。

_ S.U ― 2009年03月14日 07時16分25秒

おめでとうございます。
 これで、ついに、よくわからない人ジョン・ハーシェルの全容が明らかになります(私個人においてですけど)。

_ 玉青 ― 2009年03月14日 12時30分47秒

>shigeyukiさま

ありがとうございます。
冷静に考えると、ちょっと特殊な題材であることは否めないので、「ええ、とても面白いですよ!」…と自信満々に言うこともできず、「ええ、面白いと思える人には、とっても面白いですよ!!」ぐらいの感じかもしれません。機会があれば、ぜひ内容をご確認下さい。

>S.Uさま

会員の方には近日中に送本予定ですので、今しばらくお待ち下さい。ジョン・ハーシェルの謎がこの本によって解けるか、ますます深まるか…??

(私見では、ジョンは円満な人柄で、円満な人生を送った人なので、そういう人物はかえって人間として分かりにくい部分がありますね。人間には必ず影の部分があるはずですが、ジョンの影とは何だったのか…。この本の英語版のタイトルは、『Shadow of the Telescope』と言いますが、ジョンが巨大望遠鏡に象徴されるその偉大な父親を、心の底ではどう思っていたのか、その辺の心理ドラマが分かると面白いと思うのですが、それはまあ永遠の謎でしょう。)

_ かすてん ― 2009年03月14日 13時57分27秒

おめでとうございます。
 世界天文年2009の今年、大きく話題になると良いですね。
 さっそくAmazonでポチッと予約しておきました。

_ 玉青 ― 2009年03月14日 17時14分22秒

おお、ありがとうございます!
大きく話題には…絶対ならないと思いますが、細く長く読み継がれるといいなと思っています。よろしくご高覧下さい。

_ SBOD ― 2009年04月21日 00時41分47秒

So, that is your work? Congratulation! It makes me want to know more about you. Are you a stargazer? Or a scholar in the field of history in astronomy? Or a collector? I am a stargazer, and leaned some in Gestalt psychology. I think we share something similar, though we speak two very different languages.

Back to the topic, I have recently read a book about John. The Cambridge Illustrated History of Astronomy noted that John was not particularity interested in Astronomy, he just wanted to refine his father's work and to be a dutiful son.

He was however in a dilemma. Either he doubted his father's work in evolution of stars, or to be a dutiful son. Hence he had a longtime struggle.

I know also that it was John who first used the term photography. Both astronomy and photography are my major hobbies, he is really a remarkable man.

(I consider you a remarkable person too!)

_ 玉青 ― 2009年04月21日 22時37分03秒

SBODさま、お祝いありがとうございます。
私は自分では amateur & armchair astronomer だと思っています。SBODさんと、いろいろ共通点があるのは嬉しいですね!今後ともどうぞよろしくお願いします。

さて、ジョンと父ウィリアム。二人の間に、葛藤が皆無だったとは思えません。それに時代も半世紀ずれているので、学説面での不一致も確かに目につきます。

ただ、それでもジョンにとって父親は何よりもまず「尊敬の対象」であり、それは終生変らなかったのも確かでしょう。全体として見れば、二人は良き父親であり、良き息子だったと思います。(何と幸福な父子でしょう!)

両者の葛藤が決定的に深刻にならずに済んだのは、二人の科学者としての資質(タイプ)に大きな違いがあったからではないか?という指摘を、ある方から受けました。私もその意見に賛成です。

_ nakamori ― 2013年02月20日 20時45分29秒

時々貴ブログを拝見し、刺激を受けている者です。さて、最近読んだ本に『ギデオン・マンテル伝 恐竜を発見した男』(デニス・R・ディーン著、月川和雄訳)があり、その中にジョン・ハーシェルが登場する頁がありましたので、コメントさせていただきます。p139、p185、p250、p317、p318、p325です。例えばp325では、会食の場にギデオンが顕微鏡を持ってきて、「…ハーシェルは生涯ではじめて滴虫類を見た…」という記載がありました。何かの参考になれば幸いです。

_ 玉青 ― 2013年02月20日 22時01分31秒

nakamoriさま

拙いブログをお読みいただきありがとうございます。
『ギデオン・マンテル伝』は未読ですが、「ハーシェルは生涯ではじめて滴虫類を見た」という記述は大層興味深いです。というのも、ジョン・ハーシェルは望遠鏡の操作はお手の物でしたし、光学にも大層入れ込んだはずなのに、当時一世を風靡した顕微鏡趣味とは没交渉だったらしいことが、この一文から伺えるからです。19世紀の万能人、ジョン・ハーシェルにも、いろいろ縁遠い領域があったということなのでしょうね(まあ、あって当然ですが)。『マンテル伝』、機会があれば読んでみたいと思います。

_ nakamori ― 2013年02月21日 09時26分53秒

ご返事、ありがとうございます。『マンテル伝』には博物学の巨星であるキュビィエやライエル、オーウェンなど蒼々たるメンバーが登場し、書簡に裏付けられた人物群像も楽しめます。ただし、比較解剖学の細かい記述も多く、少々読みづらいかもしれません。ジョン・ハーシャル伝は原著を本棚に積んでおりましたが、邦訳本も注文いたしました。楽しみにしております。

_ 玉青 ― 2013年02月21日 22時09分11秒

お買い上げ有難うございます。
私の方も歩を進めて、『マンテル伝』を先ほど購入しました。
ご紹介によれば、これは腰を据えて読む価値のある、かなり濃い本のようですね。手元に届くのが楽しみです。

_ nakamori ― 2013年03月16日 13時04分33秒

ジョン・ハーシェル伝を拝読し、認識を改めました。父をも凌ぐほどの素晴らしい人間性をもった人だったのですね。ニュートンのプリンキピアを見ると(読むのではなく(汗))ほとんど幾何学の本のようで、微分積分の記号が一つも出てこないのに驚きます。当時のイギリスにおいて、それをエレガントな数学の言葉に変換するのに寄与したのが、ジョンとその友人達であったことを知り、感動しました。若き日のひとつのエピソードに過ぎないのかも知れませんが、素晴らしい出発点でした。

_ 玉青 ― 2013年03月16日 13時40分29秒

ご高覧いただき、まことにありがとう存じます。
ジョン・ハーシェルの人柄と業績が多くの方に知られることは、日本ハーシェル協会の会員として、たいへん嬉しいことです。どうぞジョンの世界をじっくりご堪能くださいますように!

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック