天文古玩・再考(10)…オーラリーと天球儀(4)2011年05月09日 21時43分44秒

さて、オーラリーの話題が続いたので、天球儀についても触れます。
天球儀については、これまで何度か取り上げましたが、あまり古い時代の品は登場していません(関心のある方は、カテゴリー欄の「天球儀・地球儀」を見て下さい)。

天球儀というのは、元々ものすごく狭い市場しかなかったように思います。
観念としては、地球儀と対になるべきものですが、地球儀の実用性に比べて、多分に装飾的なものですから、普及の度合いが全然違ったのでしょう。アンティーク市場での地球儀と天球儀の圧倒的な数の違いからも、そのことは伺えます。

天球儀がポピュラーに、つまり誰でも入手できるようになったのは、1950年代以降のことかなあ…と思います。企業の近代化とマスプロ製品の普及、それに宇宙ブームという追い風があったことが、その要因でしょう。この辺は、前に書いた望遠鏡のたどった道とパラレルです。

当然、私の手元にあるのも、戦後のものです。
そして、しゃらくさい「本物志向」には目をつぶって、古風な味わいはリプロの天球儀を眺めることで満足するという、小市民的な形に落ち着いています。

それに冷静に考えたら、もし本物のアンティークが我が家に来たら、その豪華な味わいが、周囲のたたずまいと合わずに、そこだけ浮いてしまうおそれもあるし…というのは、まあ完全に負け惜しみで、やっぱり本物のアンティークに憧れますが、無い袖を振るわけにはいきません。

とまあ、そんなことを呟きつつ、落ち穂拾い的に「ありがちな天球儀」を見てみます。


(意味不明のまま、この項つづく)

コメント

_ たつき ― 2011年05月09日 22時35分45秒

こんばんは。
天球儀というのはそんなに最近になって一般化したものだったのですか。でも、古い物もあることはあるのですよね。貴族の館か博物館の写真のどこかで、見たような記憶もあるのですが、勘違いでしょうか。
それと、さきほどドイツの会社からメールがありまして、今日送ってくれたそうです(と書いてあったはずです)。ドイツは9時間遅いですから、今日の集配には間に合ったかなと思います。一番安い料金にしたのでいつ着くかは分かりませんが、楽しみに待ちたいと思います。

_ 玉青 ― 2011年05月10日 20時38分37秒

待つのも楽しみの内、ですね^_^

さて、天球儀。天球儀自体は、古代からあったと推測されています。そして、ルネッサンス期以降は専門の工房組織もできて、商品として流通するようになりました。貴族なんかは、自分の権勢を示すために、これ見よがしに豪華な天球儀(と地球儀)を館に飾ったりしたので、たつきさんがご覧になったのも、きっとそんな情景でしょう。

ただ、相棒の地球儀の方が、近代以降、学校教育に取り入れられたこともあって、一般に急速に普及したのに対し(マスプロ体制が一足先にできた)、天球儀の方はそういうことがなかったので、庶民には一貫して縁遠い存在でした。まあ、今でもそれほど縁が近くなったわけではありませんが、その気になれば、リーズナブルな価格でいつでも買えるようになったのは、前代と比べて大きな違いです。そういう変化の節目が、第2次世界大戦後あたりじゃないかなあ…と漠然と考えています。

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