改めてアンティーク星図の話(5)…古星図を買う ― 2012年09月28日 09時05分56秒
浮世離れした天文古玩趣味も、先立つものがなければどうにもならず―。
Kanas氏の文章では、お金の話がいちばん後回しになっていますが、やはり問題はそこに収斂すると思うので、今日はずばり古星図の値段についてです。(以下、青字はKanas氏。例によって適当訳)
Kanas氏の文章では、お金の話がいちばん後回しになっていますが、やはり問題はそこに収斂すると思うので、今日はずばり古星図の値段についてです。(以下、青字はKanas氏。例によって適当訳)
「星図は一般に地図より安いとはいえ、ときには1枚の星図が1万ドル以上することもあるし、完品のアトラスともなれば10万ドル以上になることもある。だが、買い手が慎重に振る舞えば、古星図の圧倒的多数は100ドル未満から2千ドルまでの間で購入することができる。」
日本円にすれば、数千円~10数万円といったところでしょうか。
まあ、ただの古びた紙に、大枚はたくのは馬鹿らしいと思われる方も多いでしょう。しかし、その気になりさえすれば、古星図は小学生にだって手の届くところにあることは確かです。
「現状では、多くのマップコレクターの関心が地図に向いているが、星図も徐々に人気を高めつつあり、今後は値上がりも予想される。〔…〕現在、とりわけその価値が過小評価されているのは、19世紀~20世紀の星図である。」
Kanas氏はここでだいぶ煽っていますが、ここには氏の願望も多分にまじっているかもしれません。価格は希少性の関数であり、機械で大量に刷られた19~20世紀初頭の星図が、今後バンバン値を上げることはないだろうと私は思っています。ただ、マーケットでは評価されないチープな星図にも、味わいの豊かな品は多いし、それ自体100年以上の時を経た立派なアンティークなのですから、もっと注目されても良いとは思います。
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↓は19世紀末にドイツで出た『マイヤース百科事典』からバラした挿絵。シートサイズは30.5×24cm(画像は外周の余白が少し切れています)。
(藍の地色が美しいカラーリトグラフ印刷)
(滔々と流れる銀河)
額に入れたら映えるであろうこの星図、値段は数千円どころか数百円でした。それでも美しいものは美しいと感じます。
かつてボードレールは、「生活を美しく!生活を美しく!」と狂気のごとく叫びました。
その真意は分かりませんが、弛緩した日常の只中にも何か美しいモノがほしい、そうでなければとても耐えられない…と、私も時折思うことがあります。
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