常ならぬモノをお手元に2013年08月12日 12時44分34秒

『天体議会』の続きを、とも思いましたが、何だか暑すぎてボーっとするので(年代物のエアコンのガスが抜けているらしく、部屋が冷えません)、他のことを書きます。

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(2mを優に超えるホラアナグマ)

巨大なダチョウの剥製、更新世のホラアナグマの全身骨格標本、絶滅した鳥の羽根、ワニの化石、ドードー鳥の骨格模型、エピオルニス(象鳥)の卵、トリケラトプスの頭部化石…と聞いて、皆さん何を連想しますか。

おそらく、どこかの博物館の展示を想起されるのではないでしょうか。、

(装飾として鏡筒に鯨のひげを巻いた望遠鏡)

では、18世紀のフランス製反射望遠鏡、華麗なクジャクの剥製、昔の中国の鍼灸用人体模型、双頭の奇形牛の頭部剥製、アポロ12号と共に月まで行ってきた宇宙船操作マニュアルの1ページ…と続くとどうでしょう。

何となく混沌としてきますが、ひょっとしたら東大のインターメディアテクの展示か、あるいはどこかの数寄者が作った、現代版ヴンダーカンマーの一室を想像されるかもしれませんね。

(19世紀半ばの棺桶台)

さらに、ヴィクトリア時代のゴシック調棺桶台、フリーメーソンに関連する板絵、昔の道化マスク、昭和天皇の蝋人形(!)、他にも現代美術の何やかんや…と続けば、いっそうわけが分からないですが、やっぱり驚異の部屋系の何かかな?と思われることでしょう。

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これら雑多な珍物は、実はすべて今度の9月5日、ロンドンのサウスケンジントンで開かれる、クリスティーズのオークションに出品される品々です。この珍妙なオークション、題して「OUT OF THE ORDINARY(常ならぬ物)」と云います。

OUT OF THE ORDINARY
  http://www.christies.com/sales/out-of-the-ordinary-london-september-2013/
  出品一覧はこちら[LINK
  ※個々の商品説明ページの画像をクリックすると、高精細画像を別ウィンドウで
    見ることができます。

その説明(下に適当訳)を読んでも、依然よく分からない企画ですが、クリスティーズ自身、どう自己規定すべきか、戸惑っているようにも見えます。あるいはイギリスにも「二八(にっぱち)」があって、8月はマーケットも低調だし、もう何でもいいや…という捨て鉢な企画なんでしょうか。

 「常ならぬ物」は、まさに今回限りの特別企画で、いつものクリスティーズ・サウスケンジントンとは一味違った品を入手できる、ユニークな機会をご提供いたします。ご用意したのは、いずれも一瞬で目を奪うもの、あるいは思わず人に話したくなるような興味深い来歴を持つものばかりです。しかも多くの品がオークション初登場。関連部門も多岐にわたりますので、8月5日から9月5日までの長期内覧となっております。皆様ぜひ足をお運びくださいませ。これぞまさに想像力を刺激する、驚異に満ちたセールです。

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クリスティーズの真意はさておき、その「変さ」が人目を惹くのは確かで、しかもどの品も条件が許せば我が物とすることができるのですから、変なもの好きで且つ条件に恵まれた方は、ホラアナグマでも、棺桶台でも、おひとつご自宅にいかがでしょうか。


※今回の情報は、アメリカの驚異系ブログ、Morbid Anatomy さんの以下の記事を通じて知りました。
http://morbidanatomy.blogspot.jp/2013/08/out-of-ordinary-auction-september-5th.html