青い鳥2022年08月06日 08時10分24秒

最近の買い物から。


いささか季節外れですが、オリオン星雲の幻灯スライドです。
販売者は、イーストロンドンのモーティマー通り82番地にあった幻灯機器の店、「W. C. ヒューズ商店」(創業者はWilliam Charles Hughes、1844-1908 【LINK】)で、ラベルを見ると「天文学シリーズ」の第49番にあたるようです。


オリオン星雲は人気の被写体ですから、そのスライドも無数に存在しますが、このスライドの特徴は、なんといってもその色合いです。青い光をまとった、ほの白い姿。空をゆく巨大な鳥のようでもあり、蝙蝠のようでもあり、天使のようでもあります。もちろん、実際の夜空はこんなふうに青みを帯びているわけではありませんから、これは人々のイメージの中だけに存在する姿です。


   ★

今日は8月6日。
あの日焼かれた無数の魂を、天の翼がどうか平安の彼岸へと導いてくれますように。

(ルネ・マグリット「大家族」、1963)

コメント

_ T.TAHARA ― 2022年08月14日 06時59分05秒

幻灯という言葉は一気に賢治の世界に連れて行ってくれます。
映像媒体が発展した現代では、この「幻灯」は郷愁と温もりに満ちていますね。ロンドンの街の片隅の古い幻灯機のお店に長い間眠っていた幻灯がお手元に届かれたことも、時空を超えた青い鳥の羽ばたきのような気がします。ありがとうございました。

_ 玉青 ― 2022年08月14日 09時58分05秒

素敵なコメントをありがとうございます。
「幻」灯といい、「magic」 lanternといい、いかにもこの世ならぬ世界への入口めいた感じのする名称ですね。そして、その入口を潜り抜けた先には、きっと賢治の作品世界に通じている道も幾筋か続いているのでしょう。

「やまなし」は、作品全体が美しい幻灯会という結構でしたが、賢治がこの青白いオリオン星雲の幻灯を手にしたら、いったいどんな作品を生み出していただろうか…?コメントを拝読し、そんなことを想像して、私なりの「幻」をいっとき楽しみました。

_ T.TAHARA ― 2022年08月18日 08時38分19秒

「やまなし」はニ枚の青い幻燈から始まりますね
また「雪渡り」でもきつねの学校の幻灯会に子どもたちが招待されますね。私の幼い頃も学校の理科室などで、暗幕をひいて雨が降るような映像の幻灯会がありました。あの摩訶不思議な感覚は貴重なものだったなといまは思います^_^

_ 玉青 ― 2022年08月20日 07時07分59秒

幻灯会、いいですね。
現代の視聴覚教材も、もちろんいろいろ工夫されているのでしょうけれど、詩情という点では幻灯会に軍配が上がりますね。幻灯会の場合、「光と影」の「影」の部分の果たす役割が大きくて、そこから子供たちの想像力がいたく刺激された…ということがあるような気がします。

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