北の海へ2022年08月07日 18時16分28秒

夏の風物詩である、甲子園の熱闘が始まりました。
特に野球ファンでなくても、スイカやかき氷を食べながら甲子園を観戦することは、歳時記的な感興を催すことで、このひとときの平和に感謝しながら、ついテレビに見入ってしまいます。

   ★

今日は涼を呼ぶ品を載せます。


昨日につづき、古い幻灯スライドです。


ハンドルを回すことで絵柄が変化する「メカニカル・ランタン」の一種で、カーペンター・アンド・ウェストリー社(ロンドン)が、19世紀半ばに売り出したものです。


その絵柄は、北の海をただよう氷山の景。
氷山は南極にも北極にもありますが、南極の氷山は、平らな棚氷がそのまま海中に漂い出したものであるのに対し、氷河がちぎれてできた北極の氷山は、こんなふうにてっぺんがギザギザしているのだそうです。

メカニカル・ランタンといえば、はでな視覚効果で見る人を楽しませるのが常ですが、この幻灯スライドは、ハンドルをくるくる回しても、「あれ?壊れているのかな?」と思うぐらい、変化がありません。でも、よーく見ているとその変化に気づきます。

下の写真は購入時の商品写真の流用で、ボックス式の外蓋を外して、内部の仕組みを見たところです(私自身はまだ中を見たことはありません)。


スライドは絵柄が3枚重ねになっていて、固定された背景の上を、2枚の絵柄がゆっくりと上下左右に、微妙に回転運動をします。それによって、手前の波の絵と、遠くを舞い飛ぶ海鳥が、妙にリアルな動きを見せてくれます(いわゆる「ぬるぬるした動き」ですね)。


その動きは決して派手ではありませんが、それだけに臨場感に富んでいて、水の音や、鳴き交わす鳥の声が、すぐ耳元で聞こえてくるような気がします。


コメント

_ S.U ― 2022年08月08日 08時37分19秒

あまりに涼しげなので、「メカニカルランタン」の和訳は、「回り灯籠」で決まりかと思ったのですが、ネットで調べるとそうでもないようです。なんなのでしょう。

_ 玉青 ― 2022年08月08日 11時39分47秒

メカニカル・ランタンは幻灯文化はなやかなりし頃、相当流行ったみたいですね。
天文関係だと、惑星が太陽のまわりをくるくる回ったり、日食・月食を説明したり、潮の干満の様子を見せたりというのが定番で、まあ天文関係だと、そういうお勉強っぽい内容になるわけですが、メカニカル・ランタンにはもっと他愛ない仕掛けもたくさんあって、日本の影絵芝居で女性が化物に早変わりしたりとか、ちょうどあんな具合で、向こうでも夕べのひとときを楽しく過ごすために、いろいろ工夫したようです。

_ S.U ― 2022年08月08日 13時05分58秒

メカニカルランタンは、回り灯籠のようにボーと眺めるものではなく、上演、上映するものなのですね。和訳として適当かどうかはわかりませんが、日本では、広義の「のぞきからくり」に分類されるのかもしれません。

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