絵葉書の時代区分(1)2006年02月18日 10時58分23秒


(上・1898年ウィーン、下・1905年ベルギーの消印の押された絵葉書)

 昨日、undivided-back、divided-back の話が出たので、コレクションの参考として、絵葉書の時代区分について簡単にまとめておきたいと思います。
(とは言え、以下はすべて、Lisa's Postcard Page の受け売りです。各々の具体例についても、同ページで見ることができます。なお、用語については、絵葉書趣味の世界ではすでに定訳があるのかもしれませんが、今仮に宛てておきました。)

(1)草創期(Pioneer Era)…1898年以前

 絵葉書の始まりといえば、これまで1893年のシカゴ博覧会で売りに出されたものと考えられてきました(官製はがきに絵柄を刷り込んだものと、切手を貼って使う私製カードの2種類がありました)。しかし、その後の研究によって、今では1848年12月の消印を持つ絵葉書も見つかっています(これが現在知られている最古の絵葉書です)。

 1898年(次項参照)以前の絵葉書の特徴は、①裏面区画(住所欄と通信欄を区切る縦線)のないこと、②住所や宛名を書くための罫線が印刷されていること、です。

 この時代は、官製はがきのみが「POSTCARD」の語を使うことができたので、私製はがきには「Souvenir Card」「Correspondence Card」「Mail Card」などの文字が印刷されていました。


(2)私製郵便カードの時代(Private Mailing Card Era)
  …1898年~1901年12月24日まで


 1898年5月19日、法律で「Private Mailing Card」の文字を入れた絵葉書の販売が認められました。略してPMCと呼びます。この時代、草創期の絵葉書の多くがPMCとして再版されました。この時代の絵葉書も裏面区画がありません。この間、1900年ごろに「写真(Real Photo, 略してRP)絵葉書」の製造も始まりました。


(3)裏面区画のない「郵便葉書」の時代(Undivided Back "Postcard" Era)
  …1901年12月24日~1907年3月1日まで


 「POST CARD」あるいは「POSTCARD」の語の使用が官許されたのが1901年12月24日です。しかし裏面には依然として通信文を書くことは禁止されていました。(したがって、この時代の絵葉書は表面に文字が書かれていても、コレクションの価値を損なうことはないとされています。)

 この時代、ヨーロッパの版元がアメリカに現地事務所を開設し、大量の絵葉書を輸入販売していました。米国内で売られる絵葉書の実に75%以上がヨーロッパ製だったと言われます。

 そして、この時期の末には、絵葉書蒐集が非常にポピュラーな趣味となっていました。

(この項続く)