「天界」2006年3月号2006年02月27日 21時01分04秒



一昨日、「天界」(東亜天文学会の機関誌)の最新号が届きました。
今号は、広い意味での天文学史に関する記事が多く、たいへん読み応えがありました。

内容の一部をあげれば…

★「『ラランデ暦書の仏原書のタイトルと冊数』を拝読して」<高橋健一>
2005年9月号に載った横塚啓之氏の論文へのコメント。ラランデ暦書は、江戸時代に翻訳され、近世天文学の発展に大きな影響を及ぼした書。その原著に関する書誌学的話題。

★「戸田茂睡著『御当代記』に記された天文現象について」<江川文治>
今から300年ちょっと前、延宝から元禄年間に書かれた、戸田茂睡(とだもすい)の雑録・「御当代記(ごとうだいき)」に録された彗星・日食等の天文現象に関する考証。

★「『我が国におけるケプラーの第三法則の受容』を読んで」<佐久間幸太郎>
2005年6,7月号に載った上原貞治氏の論文へのコメント。近世天文学の巨星・麻田剛立がケプラーの第三法則を独立再発見したのかどうか、という争点をちょっと別の視点から見てのコメントです。

★「探していた『星座行脚』」<小川誠治>
天文趣味の啓発に大いに力のあった故・小森幸正氏の戦前の著作にまつわる随想。

★「佐伯恒夫氏と私」<佐藤明達>
1996年に80歳で没した佐伯恒夫氏(元・大阪市立電気科学館天文主任)に親しく接してこられた佐藤氏の回想記。1950、60年代の天文界の一断章です。

むむ!…しぶい取り合わせ。
こういうラインナップを見ると、天文趣味の世界は「月刊天文ガイド」に尽きるものではないな、と改めて思います。
(もちろん「天ガ」には「天ガ」の意義があるので、どっちがどうということではありませんが。)