水晶山脈2008年10月07日 22時47分41秒

『鉱石アソビ』を読んで、鉱物への興味が喚起されたところで、半世紀前の鉱物図鑑を引っ張り出してきて寝床に持ち込み、それが意外に面白いとなると、今度はさらに明治、大正時代の鉱物の教科書を読んでみたくなり、早速発注。鉱物のことを学ぶという、本来の目的からすると、おそろしく迂遠な、はっきり言って愚かな道のりなんですが、何が何だか分からぬまま一心に古さを求めて這い進むという…。あたかも蛾が灯火を慕うが如く、はたまた植物の根冠が重力に導かれるが如し。

  ○  ○  ○

さて、愚行はさておき、この本に教えられて、新しい本も1冊買いました。

■『水晶山脈』
 たむらしげる
 アノニマ・スタジオ(KTC中央出版)、2005

画文集というのか、「画」は鉱物の写真を画像処理して、イラスト風にしたもので、それを背景に不思議な物語が綴られています。主人公の「私」と、<鉱物標本店 Krustallos>の店主「山師のホラル」がコンビを組んで、鉱物採取のためにパラレルワールドに出入りし、水晶谷や水晶山に分け入って見たものは…

キレイな、甘いだけの話ではありません。ちょっとビターな味わいの、ひねりをきかせたストーリー。CGに重ね描きされた人物も、いつもの<たむらワールド>とは違いリアルな絵柄で、氏にとっては実験的な作品なのかもしれません。(でも、おなじみのフープ博士やランスロットもチラッと出てきます。)

中身のイメージは氏のサイトでも見ることができます。
http://www.tamurashigeru.com/imagebook8/suishousanmyaku.html

コメント

_ ami ― 2008年10月08日 07時43分15秒

おはようございます

たむらしげるさんのイラストはすきなので、
書店で絵本などを拾い読みしたことはあったのですが、
この作品集のことは知りませんでした
探してみなくちゃ♪
ご紹介ありがとうございます

_ 黒兎 ― 2008年10月08日 17時34分24秒

素敵な本ですよね。
たむら氏の映像作品も大好きです。
特に『銀河の魚』に出てくる巨大な鉱石が。。。
http://www.youtube.com/watch?v=wS0lfjK5BiM

_ 黒兎 ― 2008年10月08日 17時38分00秒

あ、こちらの方でした(連続投稿すみません!)。
http://www.youtube.com/watch?v=Zy6OOEj1hqE

_ 玉青 ― 2008年10月08日 19時59分41秒

>amiさま

『水晶山脈』は、それまでのたむらさんの作品とは一寸毛色が違うようでいて、でもやっぱり、これは<たむらワールド>そのものですね。というか、これはたむらさんの(絵本作家以前の)原点のような気がします。

>黒兎さま

いやー、ありがとうございます。「銀河の魚」(原作)は、私の大好きな作品で、アニメーション版をこうしてyoutubeで見られるとは思いませんでした。「クジラの跳躍」も見られたし、今日は本当に嬉しい一日でした。(たむらさんは渋い顔かもしれませんが…)

_ れいこ ― 2008年10月08日 21時57分24秒

『水晶山脈』、大好きな本です!『鉱物アソビ』の巻末にもとりあげられていて、読み返したいなと思っていたところです。

実験的なCGですが、鉱物の硬質感と神秘性とたむらワールドが、うまく融合しているような気がします。土星の救出の話はとりわけお気に入りです。

_ 玉青 ― 2008年10月09日 21時31分10秒

>れいこさま

うーん、何でも持ってますね!何事も先達はあらまほしきものかな。。。

水晶の中に封じ込められた土星。広い湖面に浮かぶ緑柱石の島。ピラネージの神殿に浮揚する巨大なサファイア。たむら氏もまた、すぐれた幻視者の一人ですね。

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