天文古玩・再考(1)2011年04月21日 07時00分18秒

拙ブログも開設以来5年が過ぎました。思えば、私は人生の1割以上を「天文古玩」を書くことに費やしているわけで、本当にびっくりです。

内容もマンネリ化が著しいですが、マンネリついでに、ここでちょっと昔を振り返ってみます。昔よく話題にしたあのアイテムは、その後どうなった?とか、いろいろ語るべきことは多いのです。

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この雑文を書き始めた当初からお付き合いいただいている、ごく少数の方(皆無?)を除き、5年前に掲載した次の記事をご存知の方はほとんどいらっしゃらないでしょう。

しかし、「天文古玩とは何か」を考えるとき、これがすべての出発点なので、このコラムを再読しながら、今の時点で「天文古玩界」を一望してみようと思います。

■天文古玩の世界への招待(1)~(6)

(1)はじめに
   http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/01/28/228802
(2)望遠
   http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/01/29/230482
(3)オーラリー、天球儀
   http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/01/29/230488
(4)古書
   http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/01/29/230490
(5)星座早見盤、絵葉書、シガレットカード
    http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/01/29/230491
(6)むすび
   http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/01/29/230495

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ここで訳出したコラムの原題は、『過ぎ去りし天文学の形見(Relics of Astronomy's Past)』といいます。コラムの著者、サンダーソン氏は「形見(relics)」という言い方をしています。

氏は本格的な天文学史の研究の傍ら、こういう品々を愛でているので、過去とのつながりを回復し、自らの歴史性を確認するための手がかりという点が強調されているようです。

もちろん私の場合もそういう要素はあります。
が、それ以上に、「天文趣味史」をたどるための1次資料という意味合いが大きいので、当時の一般の人に天文学がどう受容されていたかを示す雑多な天文モチーフの品が、そこには混ざってきます。オーソドックスな天文学史では全く問題にされないような、通俗天文学Popular Astronomy の本や、天文モチーフの玩具やらなんやらがそうです。さらに、単なるムードとしての郷愁に酔ったり、古いがゆえの新鮮さ・カッコよさを味わったりしようという、ちょっと軟弱な要素もまじっているので、収集のフィールドは広いですね。

…そういうふうに考えると、ちょっと前に、「買いたい物はあらかた買った」と書いたのは大嘘で、実はまだまだほんの「とば口」なのかもしれません。何と嬉しくも、恐ろしいことでしょう。

さて、以下、具体的な個々のアイテムについて見ていきます。

(この項つづく)