熱い話…古書と古書肆2011年06月24日 21時08分39秒

3日ほど前、某古書検索サイトからメールが来ました。
だいぶ以前、「探索本」に登録しておいた本が、カリフォルニアの本屋から売りに出ているよ…という連絡でした。

その本は、Deborah Jean Warner という女性研究者が著した、『The Sky Explored: Celestial Cartography 1500-1800』という、星図史の分野では、いちばん信頼できるソースとされる本です(最近は、これに Nick Kanas の『Star Maps: History, Artistry, and Cartography』が加わりました)。近年(1979)の出版物のわりに、相当な稀書で、市場に滅多に出てこない本です。私も結局入手をあきらめて、近くの大学図書館から借りだして、せっせとコピーした思い出があります。

上のメールは、この貴重な本が100ドルで販売されていることを告げていて、これははっきり言って大変な破格値です。よっぽど買おうかと思いましたが、でも本のコピーは手元にあるし、情報のためだけの本にそこまでこだわる必要もないと思って、見合わせることにしました。(最近は、私もだいぶ自制心が備わりました。)

もちろん、この本は私が買うまでもなく、すぐに売れていきました。

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そして今日、また同じサイトからメールが来ました。
同じタイトルの本が、カリフォルニアの別の本屋から、649ドルで売りに出ているというのです。この2冊が同じ本だという証拠はありません。でも、ふつうに考えれば、2番目の本屋が抜け目なく立ち回ったか、あるいは地元のセドリ師(転売屋)が機敏に立ち回ったかのいずれかでしょう。

これは完全に合法的な行為ですし、世間的に珍しい話でもないのでしょうが、「熱い話」ではあるなあ…と思いました。古書の世界はまだまだ熱く、掘り出し物を狙う人々の視線も実に熱いものがあるゾと、今宵はビールと団扇を手にボンヤリ考えました。