輝くラピスの天文古書2012年10月27日 15時18分27秒

緊張感もゆるみ、心に平安が戻ってきた休日。
寝床から起きた私はまず何をしたか?

(答)ネットオークションのページからページへと、あてどなく徘徊した。

いったい他にすることはないのかね…と、自分でも思いますが、その誘因力に打ち克つことは容易ではありません。病臥中、せっかく煙草をやめていたのに、治ったとたんに一服つけるスモーカーのようです。

そして、勢いにまかせて、即落価格が設定されていた本を1冊買いました。

 (↑売り手による商品紹介写真。ちょっと画像をいじりました。)

■ヴィルヘルム・シュッテ(著)『星空 ― やさしい宇宙論』
  Wilhelm Schütte
  Der Sternhimmel. - Eine populäre Darstellung des Weltgebäudes.
  Leipzig, ca. 1880

19世紀後半の一般向け天文学書ならば、買う前からその内容はだいたい想像がつきます。どんな章立てで、どんな図版が載っているか、類書はお互い金太郎飴式によく似ているからです。ひょっとしたら嬉しい誤算も無いとはいえませんが、まあ多分思った通りの本でしょう。

しかし、この装丁を見せつけられては、もはや買う以外の選択肢はありません。
19世紀天文学書の最大の見どころは装丁だ…というのは、ずいぶん偏った主張だし、愚かな話だと思いますが、しかし「モノとしての本」の魅力(の相当部分)が、そこにあるのは否定できません。そうした観点からすると、この本は、最近の買物の中でも出色の品です。

モチーフからすると、これは新ロマン主義を背景としたデザインでしょうが、流麗な線には次代のユーゲントシュティール的感性も混入している気がします。
青と金のラピスラズリのような配色にも心惹かれます。