魂は地上を離れて ― 2014年03月20日 06時15分16秒
春は物憂い季節。
忙しい忙しいと言ういっぽうで、たとえようもなく寂しい気持ちに襲われることがあります。この感情は桜が爛漫と咲き誇る時期がピークで、それが散ってしまえば春の心ものどけからまし。
忙しい忙しいと言ういっぽうで、たとえようもなく寂しい気持ちに襲われることがあります。この感情は桜が爛漫と咲き誇る時期がピークで、それが散ってしまえば春の心ものどけからまし。
★
紺の布表紙に、別刷りの土星と彗星の絵を貼り込んだ、凝ったデザイン。
表紙から一切の文字を排した、愛らしくも静謐な本。
まりのるうにい(画・装丁)。
稲垣足穂(著)『私の宇宙文学』 特装版(幻像社、1977)
★
…と、こう書けば大抵の人は信じてしまうでしょう。
でも、上に書いたことは嘘で(4月1日には早いですね)、この本は戦前にドイツで出たものです。ドイツ語が読めないのに、自分がドイツの天文古書を買い込むのは、その「星ごころ」あふれるブックデザインに惹かれるからだ…と、以前書いた気がしますが、この本もその一例です。
(以下本当)
■Bruno Bürgel (著) 『遠い世界から―みんなの天文学』
Aus fernen Welten: Ein volkstümliche Himmelskunde.
Im Deutschen Verlag (Berlin), 1939.
15×21cm、560p.
ご覧のように、相当部厚い、束(つか)のある本です。
ついでですから、中身の方も次回見てみます。
それにしても、こういう本を撫でさすりながら、窓の外をぼんやり眺めていると(今はそういう余裕が失われていますが)、やっぱり紙の本も良いものだと、しみじみ思います。
(この項、間は空くかもしれませんが続きます)
コメント
_ S.U ― 2014年03月20日 18時56分36秒
_ 玉青 ― 2014年03月22日 06時00分10秒
してやったり(笑)
でも、本当にそんな感じですよね。
ドイツ語の語感は全くあれですが(そもそも読めませんから;)、ネット上を徘徊して、強いて英語を使って訳し分ければ、von が from なのに対し、aus は out of だと説明している一文を目にして、S.Uさんのおっしゃっているニュアンスが何となく分かった気がします。aus には一種の移動感覚がこもっている感じですね。
Welten はまさに然りかと。
惑星は地球の似姿で恒星は太陽系の似姿。この宇宙は諸世界に満ちている…
ふと山片蟠桃のことも思い出しました。
でも、本当にそんな感じですよね。
ドイツ語の語感は全くあれですが(そもそも読めませんから;)、ネット上を徘徊して、強いて英語を使って訳し分ければ、von が from なのに対し、aus は out of だと説明している一文を目にして、S.Uさんのおっしゃっているニュアンスが何となく分かった気がします。aus には一種の移動感覚がこもっている感じですね。
Welten はまさに然りかと。
惑星は地球の似姿で恒星は太陽系の似姿。この宇宙は諸世界に満ちている…
ふと山片蟠桃のことも思い出しました。
_ S.U ― 2014年03月22日 11時15分43秒
語感がそんなに外れてなかったようでほっとしました。
ドイツ語は、比較的、語感が強く素人にも汲みとりやすいように思います。でも、これは素人の偏見かもしれません。
哲学などで出てくる ヴィセンシャフト、ガイスト、ザインなど、それぞれ、science、spirit、being よりもずっと根性の入ったもののように聞こえます。でも、ドイツ人が日常、科学や精神や物の所在を語るたびに強烈なイメージを思い浮かべていては、彼らも身が持たないでしょうから、やはり偏見かもしれません。
>山片蟠桃
こういう時は、名詞に複数形がある言語は一語で済んで便利ですね。蟠桃はどう書いてあるかさっと見てみますと、「諸曜に(それぞれ)其の世界(がある)」というふうに表現していました。
ドイツ語は、比較的、語感が強く素人にも汲みとりやすいように思います。でも、これは素人の偏見かもしれません。
哲学などで出てくる ヴィセンシャフト、ガイスト、ザインなど、それぞれ、science、spirit、being よりもずっと根性の入ったもののように聞こえます。でも、ドイツ人が日常、科学や精神や物の所在を語るたびに強烈なイメージを思い浮かべていては、彼らも身が持たないでしょうから、やはり偏見かもしれません。
>山片蟠桃
こういう時は、名詞に複数形がある言語は一語で済んで便利ですね。蟠桃はどう書いてあるかさっと見てみますと、「諸曜に(それぞれ)其の世界(がある)」というふうに表現していました。
_ 玉青 ― 2014年03月25日 21時45分51秒
>科学や精神や物の所在を語るたびに強烈なイメージを思い浮かべていては、彼らも身が持たない
あはは、そうですね。
ところで全然関係ないですが、「ドイツ語、語感」で検索したら、こんな質問をしている人がいて、回答が微笑ましかったです。
「ドイツ語で語感がかわいい単語ってありますか?」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1055483810
あはは、そうですね。
ところで全然関係ないですが、「ドイツ語、語感」で検索したら、こんな質問をしている人がいて、回答が微笑ましかったです。
「ドイツ語で語感がかわいい単語ってありますか?」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1055483810
_ S.U ― 2014年03月26日 06時54分38秒
>ドイツ語で語感がかわいい単語
これは思いのほか難問ですね(笑)。リンク先の回答者も苦労されているようですね。
私が思いつくのは、そこにも挙げられている「メルヘン」系くらいです。トロイメライ、メートヒェン、...ぱっと考えていちばんかわいいと思うのは、ミルヒかな?
でも、グリム童話みたいに、カワイイだけではすまされない裏が見えそうです。
これは思いのほか難問ですね(笑)。リンク先の回答者も苦労されているようですね。
私が思いつくのは、そこにも挙げられている「メルヘン」系くらいです。トロイメライ、メートヒェン、...ぱっと考えていちばんかわいいと思うのは、ミルヒかな?
でも、グリム童話みたいに、カワイイだけではすまされない裏が見えそうです。
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ドイツ語の知識の薄い私が言うとは笑止千万でしょうが、騙された仕返しに、いいかげんなことを、毎度ながらタイトルついて。
このタイトル先頭の"Aus"というのはドイツ語独特の語感が出ていていいと思います。ausは、英語のfromですが、奥深い雰囲気があって、宇宙の遠くから何か真理がやって来た、というふうに感じます。ドイツ語には、aus と von があって、どちらも「どこどこ(場所)から」という意味ですが、vonはただ軽く出発点を示すという感じです。
でも、もし "Von fernen Welten"だったら、遠い宇宙から突然かすかに呼び声が聞こえたようで、これはこれで違った味があるような気もします。
以上、無責任な主観ですから、ドイツ語に慣れた人から見るとまったく無茶苦茶かもしれません。
それから、この Welten(世界)は、複数形ですね。星がたくさんあるからかな?