理科室少年の面差し2017年01月12日 21時14分31秒

前回登場した「理科室少年」という言葉。
この言葉は、いろいろな思いを誘いますが、彼はきっと下のような面持で教場に座っているに違いありません。


彼は普段は「ふーん」と、先生の話を聞いています。
彼は実に頭の回転が速いので、「ふーん」レベルでも、そこそこ理解できてしまうのですが、彼が本領を発揮するのは、何か心の琴線に触れる話題に出会ったときです。


そのときの彼は、まさに全身を耳にして先生の話に集中する…ということはおそらくなくて、むしろ「ふーん」レベルよりも、外界への注意力は低下するはずです。


新たな観念との出会いに興奮した彼の耳に、もはや先生の話は断片的にしか入って来ず、彼の思考は急速に内界へと沈潜し、忙しく自問自答を繰り返しながら、その新たな真理に瞳を凝らす…というような仕儀と相成るのです。

その顔は一見無表情のように見えて、目には何か不思議な光を宿しているはずです。


そんな彼らが大きくなると、その一部はこんな理科の先生になって、また次代の理科室少年を育むわけです。

   ★

この絵葉書、キャプションがないので、具体的なことは不明ですが、おそらく時は1920年代、所はイギリスの寄宿制学校に設けられた物理実験室の光景じゃないでしょうか。


右手前に写っている筒先は、物質のスペクトルを観測する分光器のように見えます。
とすると、この少年たちはかなり高度なことを学んでいることになりますが、彼らはそれを「ふーん」で済ますのか、それとも目に不思議な光を宿すのか…?

コメント

_ S.U ― 2017年01月13日 18時19分21秒

 私には「学校の理科室の謎」というものがあって、いくつか不思議に思うことがあります。かつて、私たちが現役の生徒、児童であった頃、学校の理科室には、何か威厳とノスタルジーを感じさせる無限の絶対的な雰囲気がありました。しかし、理科室そのものは、人間、それも親しみ深い先生たちが合理的な考えにもとづいて人工的に作った空間なので、これは腑に落ちにくいことのように思います。

 また、私たちの子どもの頃インパクトを受けたような理科室が健在も残っているのかという問題もあります。現代の大学や研究所の研究施設は理科室の大がかりなものと言えますが、何かちょっと違うようで、無限な絶対性はないように思います。これは、私が年を取ったせいかもしれません。私の職場には、1970~80年代に作られた装置も多く残っていて、私から見ると古い機械というのに過ぎませんが、現代の青少年は、これに威厳とノスタルジーと無限の絶対性を感じるかもしれません。自分が知らない歴史というものが絶対性をもっているのでしょうか。または、Nakamori様のおっしゃるたとえのようなこともあるのかもしれません。これらは基本的なことだと思いますが、まったくわからないことです。

_ 玉青 ― 2017年01月14日 12時34分43秒

理科室の意味合い。それは広く学校や教育の意味合いでもあるのでしょう。明治、大正、昭和、平成と、その意味合いはずいぶん変わりました。昔の学校は偉かったですが、今はそうでもないですし、先生の威信低下たるや、目を見張るものがあります。
かつての理科室の絶対的な雰囲気と、今の理科室の平板な表情の対比も、(それだけではないかもしれませんが)上のこととパラレルな面があるように思います。
理科室独自の要因については、またおいおいと考えてまいりましょう。

_ S.U ― 2017年01月15日 09時13分40秒

>先生の威信低下
 確かに低下しましたねぇ。先生方のご努力が不足するようになったわけではないと思いますが、多忙と時間不足、それから何よりもPTAや地元組織の疲弊があるのでしょう。学校が自校の伝統をことさら生徒に誇り、自分の親も同じ学校にお世話になったことを語ったことが懐かしく思い出されます。

 私の「学校の理科室の謎」はいくつかあって、その最大の謎は今回のに関していて、つきつめれば「理科室の絶対的な雰囲気は、先生の作為の技術に因るものか」なのですが、玉青さんのお見立てをおいおいお聞かせください。

_ 玉青 ― 2017年01月17日 06時51分27秒

承知しました。ではおいおいと…

_ shimanuki ― 2018年07月04日 19時26分54秒

初めてご連絡させて頂きました。
私、株式会社スプリックスの島 貫と申します。
突然のご連絡で大変失礼致します。

弊社では、学校の先生方向けに授業準備のための無料情報サイト
「フォレスタネット」を運営しております。
この度、貴ブログに投稿されている記事の数々を拝見し、
是非私共にお力をお貸し頂けないかと思いご連絡致しました。

「フォレスタネット」は全国の先生方が実践等を共有し合うことで
先生方の授業準備をご支援するサイトです。
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しかし、全国の先生をご支援する為に
より多くの情報を揃えていきたいと思っております。
つきましては、貴ブログにございます記事について、
是非フォレスタネットへ掲載させて頂けませんでしょうか。
掲載作業の一切は全て我々の方で進めさせて頂き、管理人様のお手間はとらせません。
また、記事を掲載する際の名義は管理人様の名義のまま掲載させて頂きます。
理科教育に関する豊富な話題は、小中高問わず、幅広い先生方にとって非常に貴重な情報になるかと存じます。


ご不明な点も多々あるかと存じますので、何なりとご質問頂ければと存じます。
この度は突然の不躾なお願いとなり、大変申し訳ございません。
ご検討の程、何卒宜しくお願い申し上げます。

ご連絡いただける際は下記のメールアドレスまでお願い致します。
r.shimanuki@sprix.jp

_ 玉青 ― 2018年07月06日 07時00分13秒

島貫様 はじめまして。管理人の玉青と申します。
お問い合わせ並びに勿体ないお申し出をいただき、どうもありがとうございました。しかしながら、拙ブログの記事は先生方の教材にするほどの精度には到底達しておりませんので、その儀はどうぞご容赦ください。勝手を言いまして申し訳ありません。貴社のますますのご発展をお祈り申し上げております。

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